RESEARCH AND PROJECT

April/2024-March/2025

International Conference Papers
(1) Somsaksith Sitthivan, Hirokazu Abe, Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, "Graphical Recognition of Landscape in Luang Prabang Province Using AI-based Technology", Proceedings of the 21st International Conference on Geometry and Graphics, #107 in Digital Volume 2024.8
(2) Sota Aida, Noriko Otsuka "The Evaluation on Walkability in an Aging Society: the Case of Senri New Town, Japan", Vol. 36 (2024), digital volume in AESOP Annual Congress 2024.7

Conference Papers (Domestic)
(3)林直樹, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, "中崎町の街並み景観と地域らしさに関する研究 ",日本建築学会大会学術講演梗概集2024年8月, No.7477
(4)Li Wei, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, "観光地におけるオーバーツーリズムが地域に与える影響に関する研究 台湾九份を事例として ", 日本建築学会大会学術講演梗概集2024年8月, No.7302
(5)山中淳史, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, "河川敷空間の活用と利用者行動に関する研究: 大阪中之島周辺エリアを対象として ", 日本建築学会大会学術講演梗概集2024年8月, No.7224
(6)山上宝, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, "廃線跡の活用と利用者意識に関する研究" 日本建築学会大会学術講演梗概集, 2024年8月, No.7153
(7)寺内真由, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, "住宅のリフォームにおけるフリースペースの状況に関する研究 ",日本建築学会大会学術講演梗概集2024年8月, No.5406,
(8)杉江真悠, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, "日本の鉄道駅舎における社会的表現性に関する研究 " ,日本建築学会大会学術講演梗概集2024年8月, No.5393

Grants
(1)安福健祐(代表者)阿部浩和、「大規模商業施設買い廻り行動のデータ駆動型モデルに関する研究」、共同研究(東急不動産・R&Dセンター),2019年~2025年3月
(2)西成活裕(代表者), 安福健祐(分担者), 「個人及びグループの属性に適応する群集制御」, 科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業(探求加速型)本格研究課題「世界一の安全・安心社会の実現「ひとりひとりに届く危機対応ナビゲーターの構築」」2020年4月 - 2025年3月
(3)高橋彰(代表者),“京都市都心部の密集市街地における連担京町家が作る共創的路地空間の維持・継承”,日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2021~2025年3月
Projects
(1) 黒川コモンズ再生プロジェクト、7領域全員

「黒川菊炭農家支援プロジェクト」

「黒川菊炭農家支援プロジェクトA案」

「黒川菊炭農家支援プロジェクトB案」

「黒川菊炭農家支援プロジェクトC案」


(2)2024年日本建築学会設計競技「コモンズの再構築」優秀賞(建築学会大会2024年8月) 森聖雅、田内丈登、李 蔚

「黒川熾火物語」


Master Thesis
(1) 岡千颯 「“抽象化された自然”を主題とした安藤忠雄の設計思想の探求」
(2) 竹原理生子 「ディープラーニングを用いた神戸市の街路景観における地域らしさとイメージについての研究」
(3) 田内丈登 「カルロ・スカルパの建築空間における部分的エレメントの全体調和への様相」
(4) 三島甲斐 「新駅開業に伴う大型商業施設の買い回りの変化の分析及び 購買行動モデルの開発に関する研究 」
(5) 森聖雅「実践研究型地域建築活動の記録―兵庫県川西市黒川の里山にて―」
(6) 陸洋「COMPARATIVE ANALYSIS OF HORIZONTAL AND VERTICAL TSUNAMI EVACUATION PLANNING AND GUIDANCE SYSTEMS IN URBAN UNDERGROUND STREETS」



Undergraduation Thesis

(7) 内田健太「群集シミュレーションを用いた大規模水族館の津波避難計画の安全性検証-海遊館を事例対象として-」
(8) 木内春希「住宅設計における大規模言語モデルを用いた3Dモデル生成に関する試み」
(9) 草田陸斗「小学校施設における余裕教室の地域交流利用に関する研究~兵庫県三田市を事例として~」
(10) 澤津陽伊人「Isovist理論を用いた歴史的ランドマークの眺望に関する研究」
(11) 田淵優希「都市に開かれた中間領域の類型化とその特徴-事務所建築を事例として-」
(12) 藤田慎平「現存する煉瓦造建造物の活用方法に関する研究-近畿地方の事例を対象にして-」
(13) 古川禄 「大催事場における入退場の効率化のための誘導方法についての検討」


Diploma Design
(1)内田健太「エミールの家」2024年度卒業設計(せんだいデザインリーグ100選)

この作品はルソーの教育論を元に作者の自己を内省的に見つめ直すことで自宅の改造を試みた作品である。ここで取り上げる「エミール」はルソーが書いた小説で架空の少年の誕生から結婚までの成長過程を描いている。そこでは大人の側からの強制的な教え込みを否定し、子どもの個性に合わせて、その発達を援助しようとするもので、この卒業設計ではルソーの思想をもとに作者自らがこれまでに受けてきた教育を批判的に見直し、理想の教育環境の姿をこの住宅に込めて設計している。ただルソーの言葉を元に提案される建築操作が必ずしも納得いくものでない部分もあるが、一歩間違えれば自己否定に繋がりかねない精神的葛藤を乗り越えて新しい住宅の提案に昇華している点は秀逸であり、迫力のある作品に仕上がっている。


" 「エミールの家」





(2)草田陸斗「月の住む家」2024年度卒業設計

本卒業設計は「月の人」と「太陽の人」という独自の視点から、現代社会における生活リズムの多様性に着目した意欲的な住宅提案である。作者は自身の経験を起点に、昼夜逆転の生活を送る人々の実態と心理に深く迫り、社会的な誤解や疎外感、夜間の孤独といった課題を建築的に解決しようとしている。提案された2つのケーススタディでは、Case1で夜勤労働者とその家族のための住宅を一般住宅街に、Case2では自宅で仕事をする音楽家のための空間を都市のビル間に設計している。同じ「月の人」でも、状況や必要とする環境が多様であることを示す構成は興味深く、「月の人にならざるを得なかった理由」に寄り添い、「他者の存在を感じ自身の生活リズムを肯定することができる住宅」を目指す姿勢は評価できる。しかし、問題の複雑性に対して建築的応答がやや表層的に留まっている印象は否めない。本テーマの潜在的可能性を十全に発揮するためには、単に孤独を癒す装置としての提案を超えて、「月の人」が豊かに暮らすための理論的深化と空間的探求を期待したい。


"「月の住む家」





(3)木内春希「Architectural Harmonics ―和声感覚による拡張空間―」2024年度卒業設計(大阪大学卒業設計優秀賞、Diploma×KYOTO8選、せんだいデザインリーグ10選)

この作品は音楽理論をもとに建築造形を試みた習作である。これまでも列柱のリズムや窓の配置などで音楽との類似性は議論されてきたが、ここではもともと形を持たない音楽によって想起される感覚的な身体性を緻密な操作によって建築化したもので、それが組み立てられていくプロセスは華麗で、その造形は繊細かつ魅力的である。ここでその造形操作の論理的正当性や妥当性の議論はあるかもしれないが、これはあくまで造形のための思考的試みとして理解すべきであろう。かつてバウハウスの教師をしていたカンディンスキーは抽象絵画の父といわれるが、音楽という目に見えないものを、色と形で表現したその作品が、彼の抽象表現のはじまりとされ、その絵画は音楽から受けた印象を平面に落とし込み視覚的に表現しようとする試みだったと言われている。この作品は同様に音楽という目に見えないものを、建築として造形化しようという挑戦と考えることができる。建築は視覚表現だけでなく空間体験を伴い、そこに実用としての機能が存在することで絵画とは異なっている。しかしカンディンスキーがシェーンベルグの革新的な音楽技法を絵画に応用したように、ここでもそれによって建築の新たな様式が生まれることを期待したい。


" 「Architectural Harmonics ―和声感覚による拡張空間―」





(4)澤津陽伊人「都市を覗く」2024年度卒業設計

本作品は、高密度化・高層化が進む都市において、「覗く」という行為を通して都市景観を再発見する可能性を探求した意欲的な提案である。大阪城というランドマークへの眺望が失われつつある現状に対し、従来の「上から俯瞰する」展望台ではなく、都市の隙間から「覗く」という視点の転換は新鮮である。実地調査とisovist理論を併用した分析手法は緻密であり、空中、建物間、植栽、仮囲いという4種の隙間を導き出し、「街」「季節」「歴史」「未来」を覗く多層的な体験へと昇華させている。特に、日常動線を延長して展望台へと誘導し、「覗く」行為から「滞在する」行為を生み出す空間構成は、都市の中の新たな居場所の創出としても評価できる。一方で、各展望台の造形的表現にはやや唐突感があり、都市の文脈との調和についてはさらなる検討の余地がある。都市の見過ごされた隙間に注目し、そこから新たな視点と体験を紡ぎ出す本作品は、建築が都市に対して持ちうる繊細かつ創造的な態度を示している。


" 「都市を覗く」





(5)田淵優希「川が都市に還るとき」2024年度卒業設計(大阪大学卒業設計優秀賞、Diploma×KYOTO8選、せんだいデザインリーグ100選、赤レンガ倉庫100選

玉川上水はかつて、江戸の人口増加に伴う飲料水確保のために多摩川から水を引いた重要な水インフラであった。現在の玉川上水は、人為的管理から離れた部分で、自然環境が再生している。作者は逆説的に、人間の管理から外れた空間に自然の再生力が働いている事実に着目し、「自然が都市を侵食していく」ことで、自然と都市の新たな共生関係を模索している。「自然を侵食させる建築(呼び水)」を玉川上水の約30kmという線形の水空間に対して戦略的に配置するという構想は、自然の力を都市計画に積極的に取り込む革新的な提案として秀逸である。また、都市開発における人間中心主義を再考し、人間を含む生態系全体を視野に入れた都市計画の必要性を示唆している点は、現代の環境問題や持続可能性の課題に対する重要な問いかけとなっている。一方で、作者が設定した呼び水が時代とともに、どのように都市に滲み出(侵食)し、豊かな生態系の広がりを作りだすかについての説明が不足していた点はさらなる研鑽を期待したい。


" 「川が都市に還るとき」



(6)藤田慎平「Terrestrial Universe -地上に宇宙を再現する―」2024年度卒業設計

これを建築と呼ぶのかどうかは疑問だが、この作品は宇宙を目に見える形で表現しようと試みた異色作である。かつてイームズがPowers of Tenで宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさを視覚的に体験させるムービーを作成した。そこでは視野面積の冪指数を増加・減少させたときのものの見え方の変化を描くことを通じて、物質の大きさの比較から宇宙の構成原理を表現しようとしている。一方、生物学の分野では、電子顕微鏡で覗けばアデノウイルスは各面が正三角形からなる規則正しい幾何学的形態であることが広く知られている。この卒業設計はそれぞれが幾何学的根拠に基づいて宇宙の仕組みを表現しており、それぞれに共通する原理が用いられていることは興味深い。


" 「Terrestrial Universe -地上に宇宙を再現する―」



(5)古川禄「色づく街の余白」2024年度卒業設計

本作品は、作者が幼少期に暮らした兵庫県神戸市中央区新神戸駅周辺を敷地対象として、自身の身体感覚を頼りにして見つけた街の「余白」に対し、小さな建築的介入を施すことで新たな人間活動を誘発する可能性を丹念に探った秀作である。30のシナリオそれぞれが緻密な観察に基づいており、既存環境の文脈を尊重しながらも、創造的な空間転用を提案している点は評価できる。各シナリオの図面表現は、建築的な介入だけでなく、そこで生まれる人々の交流や行為に焦点を当て、わずかな設計的操作が生み出す空間体験の変化を説得力をもって伝えている。その一方で、各提案間の関係性や序列についてはさらなる整理が望まれる。30の介入はどのような基準で分類されうるのか、また都市全体においてどのような波及効果をもたらすのかについての考察があれば、卒業設計としての普遍性がより高まったであろう。今後、これらの「余白」への介入が実際の都市政策や住民参加のプロセスとどう結びつくかという社会実装の視点や、長期的な時間軸における変化の可能性を探ることで、さらに深化することを期待している。


" 「色づく街の余白」




April/2023-March/2024

Journal & Book articles

(1)Tomoko Miyagawa, Clare Olver, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe, PARTNERSHIP-BASED POLICIES AND PLANS FOR OPEN SPACE MANAGEMENT OF CASE STUDIES IN POST-INDUSTRIAL LANDSCAPES, International Journal of GEOMATE 25(108) 97-105 2023.8

International Conference Papers
(2) Akira Takahashi, Kensuke Yasufuku, Muhammad Hegazy,Investigating Pedestrian Crowd Characteristics in the Vicinity of a Stadium after Large-Scale Events for Multi-Agent Simulation, Pedestrian and Evacuation Dynamics 2023, June 2023
(3)Muhammad Hegazy, Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, Developing an Urban Digital Twin for Real-Time Visualization of Pedestrian Flow in Large-Scale Environments, Pedestrian and Evacuation Dynamics 2023, June 2023
(4)Yang LU, Kensuke YASUFUKU, Akira TAKAHASHI, Hirokazu ABE, IMPROVING UNDERGROUND STREET EVACUATlON THROUGH DIGITAL TWIN-BASED CROWD SIMULATION, Proceedings of AFGS 2023 (19) 75-80 2023.8
(5)Rioko TAKEHARA, Hirokazu ABE, Kensuke YASUFUKU, Akira TAKAHASHI, EVALUATION OF REGIONAL CHARACTER IN STREETSCAPES BY USING DEEP LEARNING -A CASE STUDY OF YOKOHAMA AND KOBE, Proceedings of AFGS 2023 (16) 73-79 2023.8
(6)Masaya MUNETOSHI, Kensuke YASU'FUKU, Akira TAKAHASHI, Hirokazu ABE, Al-BASED DESIGN TOOL FOR EFFECTIVE COMMUN ICATION BETWEEN DESIGNERS AND CLIENTS IN SPATIAL DESIGN, Proceedings of AFGS 2023 (13) 65-71, 2023.8
(7)Kohei Nunokawa, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka, SOCIAL ROLE OF ZOOLOGICAL PARKS AS URBAN GREEN SPACES IN JAPAN, AESOP Annual Congress 2023, No.291 in Digital Volume 2023.7
(8)Kensuke Yasufuku, “GRAPHICAL ANALYSIS OF SHOPPING BEHAVIOR USING BIG DATA IN COMMERCIAL FACILITIES,” Proceedings of the 14th Asian Forum on Graphic Science (AFGS2023), pp.61-62, Aug. 2023
(9)Kensuke Yasufuku, “3D Visualization of Crowd Motion,” 10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics (ICIAM 2023) Minisymposium Recent trends on crowd management, Aug. 23th, 2023

Conference Papers (Domestic)
(10)田内丈登, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰,富士山をはじめとする山岳地帯における山小屋建築の独自性に関する研究 , 日本建築学会大会学術講演梗概集 415-416 2023年9月
(11)岡千颯, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, 外部空間を介した住空間の構成に関する研究 ―安藤忠雄の住宅作品を対象として― , 日本建築学会大会学術講演梗概集 937-938 2023年9月
(12)森聖雅, 阿部浩和, 安福健祐, 高橋彰, 里山をいかした循環性を持つ地域づくりの取り組み―兵庫県川西市黒川地区を対象として― , 日本建築学会大会学術講演梗概集 175-176 2023年9月

Grants
(1)安福 健祐(代表者)「機械学習によるデータ駆動型避難シミュレーションシステムの開発」,科研費・基盤研究(C)(代表者),2019~2023年
(2)安福健祐(代表者)阿部浩和、「大規模商業施設買い廻り行動のデータ駆動型モデルに関する研究」、共同研究(東急不動産・R&Dセンター),2019年~2023年
(3)西成活裕(代表者), 安福健祐(分担者), 「個人及びグループの属性に適応する群集制御」, 科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業(探求加速型)本格研究課題「世界一の安全・安心社会の実現「ひとりひとりに届く危機対応ナビゲーターの構築」」2020年4月 - 2025年3月
(4)高橋彰(代表者),“京都市都心部の密集市街地における連担京町家が作る共創的路地空間の維持・継承”,日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2021~2023年
(5)高橋彰(分担者),「景観まちづくり史」研究の概念構築と体系化に関わる基礎的研究”,日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2021~2023年
Projects
(1) 2023年度木の家設計グランプリ「リモートハウス-風景と調和する家」金賞、田内丈登、森聖雅

「砂時計仕掛けの家」


(2)第18回ダイワハウスコンペティション「笑う家」優秀賞(新建築住宅特集2024年1月号) 森聖雅

「朱傘と笑窪」

Doctor Thesis

(1)Yuan Kun, A study on comprehensive walkability assessment in historical cities: the case of Xi'an and Kyoto(歴史都市における総合的なウォーカビリティ評価に関する研究: 西安と京都を事例として)2023年9月

Master Thesis
(2) 布川航平 「動物園の施設計画における社会教育性の展開に関する研究」
(3) 宗利昌哉 「空間デザインプロセスにおけるAIデザインツールの利活用の研究」
(4) 林淳一朗 「⽇本のニュータウンの都市計画区域内外における宗教施設の状況と課題」



Undergraduation Thesis

(5) 会田壮汰 「高齢化社会に適応したウォーカビリティ指標に関する研究」
(6) 鍵野茜 「水都大阪における民間主体によるリバーフロント再生の取り組みに関する研究―β本町橋を事例として―」
(7) 杉江真悠「日本の鉄道駅舎における社会的表現性に関する研究」
(8) 寺内真由「住宅のリフォームにおけるフリースペースの状況に関する研究」
(9) 林直樹 「中崎町の街並み景観と地域らしさに関する研究」
(10) 藤原裕花「大規模施設におけるペデストリアンデッキを活用した人流制御に関する研究」
(11) 林直樹 「中崎町の街並み景観と地域らしさに関する研究」
(12) 山上宝 「廃線跡の活用と利用者意識に関する研究」
(13) 山中淳史「河川敷空間の活用と利用者行動に関する研究-大阪中之島周辺エリアを対象として-」
(14) LI WEI 李蔚「観光地におけるオーバーツーリズムが地域に与える影響に関する研究-台湾九份を事例として-」
(15)仁田峠菜々子「建築空間の把握における空間認識特性の研究」


Diploma Design
(1)会田 壮汰「ふるまいの進化論」2023年度卒業設計(大阪大学卒業設計優秀賞、せんだいデザインリーグ100選)

この作品は、人間のふるまいと建築形態との関係性を新たな視点から解釈する試みである。人々のふるまいが既存の建築形態に制約されているという課題に着目し、それを逆手にとって、ふるまいから新たな建築形態を生み出すという提案を行っている。一見すると、アクティビティから空間を設計するという既存手法とも捉えられるが、進化論の提唱者であるチャールズ・ダーウィンのふるまいと自邸を対象としたことで、ダーウィンの40年間ほぼ同じ生活を続けた中に潜む創造性と可能性を探求し、空間を形成するアプローチがユニークである。個人のルーティンや行動パターンを言語化し、巧みな形態操作によって、建築設計の新たな可能性が模索されている点は高く評価できる。惜しむらくは、「進化論=ダーウィン」にとどまらず、空間とふるまいの相互作用に焦点を当てた進化の可能性についても考察する余地があったかもしれない。総じて、「ふるまいの進化論」は建築とふるまいの関係性に新たな視点を提供し、創造性と可能性を探求する意欲的な試みであり、今後の展開に期待が寄せられる作品である。


" 「ふるまいの進化論」





(2)鍵野茜「まなざし合いの帳」2023年度卒業設計

都市が機能主義的に拡大する過程で人のスペースは車に侵食され、それはコミュニティを分断し界隈性を奪った。それを象徴するように水の都大阪の社交場であった水辺空間は高速道路が蓋をしている。作者は、高速道路によって閉塞された水辺へ向けて、手を差し伸べるように構造体を吊り下げ、そこに人の居場所を開放することで都市の界隈性の回復を試みている。連続するグリッド状の構造体は長大な土木構築物にパラサイトし、隣接、交差、積層しながら人々の居場所を拡張している。地域の生業であった染織布をモチーフとして、構造体に掛けることで明示的に居場所を仕切ることができる布(帳)は、人や集団がその空間に関与するための仕掛けであると同時に、風光(自然)と人の活動を視覚化し、生活景を形成する装置として機能している点は秀逸である。ただ高速道路から吊り下げられた構造体の連なりがいささか誇張されて映り、作者がヒューマンスケールの感覚で水辺のオープンスペースをリデザインしようとした姿勢とは若干の乖離が見受けられる点は惜しまれる。


"「茜まなざし合いの帳」





(3)杉江真悠「のこり香の蒔きかた」2023年度卒業設計(せんだいデザインリーグ100選)

この作品は、作者の祖父母の家での思い出を手がかりに、大人になって移住して暮らす理想の家を、時間と記憶を織り交ぜながら設計したものである。敷地は小さな集落でかつてみかん農家を営んでいた祖父母の家であるが、近年少子高齢化によってこの辺りの集落では荒れた農地や倒壊した小屋が目立ちはじめている。作者は祖父母の家に残された経験や知恵を「のこり香」と表現し、自分自身の過去と未来、また、まちの住人とを結ぶ橋渡しとして、のこり香を共有できる空間を設計している。作品の魅力は、そののこり香が香ってきそうな繊細かつノスタルジックに表現されたドローイングであり、祖父母の家が見事に再構築されている点である。設計の過程においては、祖父母との思い出を一つ一つ丁寧に拾い上げながら、改築・減築の操作を加え、豊かで彩りのある生活空間を作りだすことにも成功している。だからこそ、町の中で作者がどのような役割を果たすのかをもう少し明確化されることで、作品の理解が深まったであろう。


" 「のこり香の蒔きかた」





(4)寺内真由「かかわりあいのまにまに」2023年度卒業設計(Diploma x KYOTOサリー賞、せんだいデザインリーグ100選)

この作品は、住まい手を12種類の動物に見立て、それらが共存することによって生まれる関係性(生態系)を通じて、「一緒に住むこと」を再考するシェアハウスの提案である。作者は効率的かつ最適化された住居や住み方に対する常識を開放する手段として動物の生態系を参照している。まず、それぞれの動物の習性に基いた生活動線を設定し、次に、それらを動物間の関係性とともに立体的に組み上げる。そうすることで、必然的な配置と偶発的な構成が一体として生み出されており、それらが成立しているように見える点に本作品の面白さがある。それはまるで、だまし絵で有名なマウリッツ・エッシャーの「相対性」に見られる、一つの建物の中で異なる次元を生きる世界が交錯するような感覚を想起させる。本作品は、個(ミクロ)の関係性を数珠繋ぎするよう(まにま)に決定していくことで、ミクロで見ると普通に見える住み方が、「かかわりあい」を全体(マクロ)で見ると、これまでにない住まい方が示されている点が画期的である。ただ、本作品を正しく評価するための決定的な意味ではないかもしれないが、提示された3つのケーススタディの差異が明確に理解しにくい点は、設計手法として改善の余地があるだろう。


" 「かかわりあいのまにまに」





(5)林直樹「Architect terrorism」2023年度卒業設計

この作品は、ストリートアートの魅力を独自の視点で建築に融合させた試みである。公共空間に描かれたグラフィティが都市の景観に溶け込み、身近な芸術として感じられることに着目し、国際的に注目を集めるバンクシーの作品をその象徴として取り上げている。設計された空間には、バンクシーの作品から得られた風刺的要素(satirical)、小規模性(small scale)、対比的な特徴(contrastive)、サンプリング(sampling)という4つの特性が持ち込まれている。休むことのない工事現場でクレーンの上部に設けた茶室、高速道路からしか行けないファンズワース邸風のバーなど、日の当たらない公開空地に美術館を建てるなど、作者のユーモラスで独創的なアイデアが光っている。また、プレゼンテーションのスタイリッシュさと、軽妙な語り口が作品の特徴を引き立て、共感できるメッセージ性が観る者の心を捉えるだろう。一方で、もっと多くの作品(ケーススタディ)を見てみたいという期待に答えられていない点が惜しまれる。


" 「Architect terrorism」



(5)藤原 裕「花遊本道」2023年度卒業設計

この作品は長崎駅前の再開発地区でかつて川の上に建てられていた商店街の跡地に計画された本の道(図書館)である。そこには作者の原風景ともいえる賑やかな街と人々の生業があった。古びた家屋で遊んだ幼いころの思い出は今はない。この計画では再生された川に沿ってリニア―に伸びる図書館を計画した。近所の子供たちや家族が集まって立ち話をしたり、気に入った本を見つけては2階で読書もできる。昔の商店街の歴史を展示する資料館もあり、DVDは3階でオーディオルームで視聴することも可能だ。2つの道路が横切る交差点は車を避けて上階の廊下で繋がっている。今後、町の新たな中継点として様々な機能(カフェやクリニック、映画館、学校など)がここに接続されることでかつての賑わいが戻ってくることを願っている。


" 「遊本道」



(5)山上宝「再び軌道がつなぐもの」2023年度卒業設計

この作品は、兵庫県武田尾の集落再編計画である。かつて武田尾にはJR福知山線の駅が存在したが、路線の移設にともない駅は廃止され、2014年に起きた水害を契機にわずか6世帯となった。作者は卒業論文の調査からハイキングコースとして整備された廃線跡を訪れた人の中に、武田尾に魅力を感じて係わりを持つようになった人々がいることを知った。そうした人々の話を通じて、観光と地域活動を交差させる場所をつくることで、失われつつある武田尾の文化を循環できるのではないかと考えた。提案では廃線となった路線を復活させ、高架化された線路に沿って住宅、旅館、地域活動の場などを線状に配置し、駅舎集落とも呼べる独特の風景を作り出している。美しいドローイングで示された風景は、まるで伊根の舟屋が作り出す自然と人の営みが調和した美しく、懐かしい風情を漂わせている点は評価できる。一方で、舟屋の風景が持つような自然発生的な調和という点において、本作品は武田尾のコンテキストの分析をふまえた上で、廃線となった鉄道を復活させる必然性について納得がいく説明が必要であろう。


" 「再び軌道がつなぐもの」



(5)山中淳史「まちどころー風景装置としての3つのバス停の提案ー」2023年度卒業設計

この作品は宝塚の高台の住宅地をめぐるコミュニティバスの停留所の提案である。作者は日頃見過ごしてきた高台からの眺めに着目して3つの停留所を計画した。それは傾斜に沿った直線的な屋根から見晴らすもの、グリッド状のフレームに架けられた四角い床から緑を見下ろすもの、何層にも重なる四角の床にあけられた円形の穴を貫いて螺旋階段が屋上に伸びていくものなど、個性的な形態構成が魅力的である。村上春樹の短編小説では主人公が神戸の高台にある人気のないひっそりとした停留所のそばにある公園で休憩していると、ひとりの不思議な老人に出会う。そしてその老人から「中心がいくつもあって外周を持たない円」を想像しなさいと言われるのだが、この3つの停留所の本質的な意味は、そこでの図形的操作もおそらく具体的な図形としての円でなく人の意識の中に存在する円を考えることなのかもしれない。


" 「まちどころー風景装置としての3つのバス停の提案ー」



(5)李蔚「九份藝壇-An Encounter Between Village and Art」2023年度卒業設計(大阪大学卒業設計最優秀賞、せんだいデザインリーグ100選)

この作品は、台湾北部に位置する九份の町の歴史的遺産と風光明媚な景観を活かし、現代アーティストと観光客の参加を通じて地元住民の間で失われつつある文化の再興を目指す試みである。本作品の核となる魅力は、地理的調査から創出された99の形態モデルによって、九份の空間的特質を精緻に捉えたことにある。これらのモデルは、建築空間における非凡なガイドラインとなり、建築物がその周囲の景観との調和を保ちつつ、地域の歴史及び文化を体現する上で重要な役割を果たしている。設計されたアーティスト・イン・レジデンスは、九份の複雑な高低差と狭隘な街路を巧みに活用し、設計者の創造性が映し出された多様な要素が凝縮されている。こうして生みだされた空間は、九份の歴史的背景と現代性、観光業と地元コミュニティの交差点であり、その複雑な相互関係を見事に表現している。一方で、アーティストと観光業の新たな可能性に関する踏み込んだ提案に至っていない点について惜しまれる。九份の文化的再活性化を実現するには、地元コミュニティと観光客双方の間で新しい関係性を築くことが不可欠であり、「九份藝壇」は九份の歴史と景観を讃え、アーティストを介して住民と観光客の間で新たな文化的対話を促進する可能性を秘めている。


" 「九份藝壇-An Encounter Between Village and Art」



(5)仁田峠菜々子「屋上暮らしの手引き」2023年度卒業設計

大都会の中心部、高速道路の脇に林立する無数の雑居ビルの屋上には巨大な広告塔が立ちはだかっている。この作品はその広告塔に棲みついた或る屋上生活者の夢物語と理解できる。広告塔はもっぱら商品をPRする目的で建てられるが、それはビルの意匠に配慮する気配はなく、ただ商業目的で建てられる。それは都市の欲望によってマンハッタンができたとするコールハースの言説を思い起こさせる。彼らは広告を支える鉄骨のフレームにはそれ以外に目的はないことを発見する。そして彼らはそこに簡素な床をかけて生活を始めた。広告があるので外からは見られることのない特別な場所だ。住んでみるとなかなか居心地が良い。広告の隅に小さな穴をあければ、眺めはすばらしい。大きな音を立てても周囲に迷惑はかからない。このようにして彼らは最高の居場所を獲得できたように思われたが、、。かつてリドリースコットが霧雨の中に浮かび上がる巨大な広告塔を用いて未来社会を風刺したが、ここではそれの裏側にひっそりと暮らす屋上生活者の幻を見ることができて秀逸である。


" 「屋上暮らしの手引き」



April/2022-March/2023

Journal & Book articles

(1) Tomoko Miyagawa, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe, Green space creation and utilization in coordination with policies for Healthy Cities in Japan, Cities & Health, Taylor & Francis, pp1-21, 24 Mar 2023, DOI: 10.1080/23748834.2023.2188636
(2) Kun Yuan, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka, Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, A Comprehensive Evaluation of Walkability in Historical Cities: The Case of Xi’an and Kyoto, Sustainability, 15(6), pp. 5525-5525, 21 Mar 2023, doi:10.3390/su15065525
(3) Kun Yuan, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka, Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, Impact of the COVID-19 Pandemic on Walkability in the Main Urban Area of Xi’an, Urban Science 6(3) pp.44-44, 28 Jun 2022, doi:10.3390/urbansci6030044
(4) Akira Takahashi, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, EVALUATION OF UNDERGROUND SPACE FOR TSUNAMI EVACUATION SAFETY WITH ROUTE OBSTACLES BY AGENT-BASED SIMULATION, International Journal of GEOMATE 22(92) 83-91 2022.4.1
(5) 高橋 彰, 北本 朝展, 矢野 桂司, 佐藤 弘隆, 河角 直美, 景観写真のデジタルアーカイブと活用方法, 日本画像学会誌 62(1) 23-34 2023.2
(6) 髙橋 彰, 北本 朝展, 矢野 桂司, 佐藤 弘隆, 河角 直美, 京都の町並み保全・創造に関する地域学習へのメモリーグラフの適用性, 建築教育研究論文報告集 22 49-56 2022.11

International Conference Papers
(7) Tomoko Miyagawa, Clare Olver, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe, POLICIES AND PLANS FOR OPEN SPACE MANAGEMENT IN PARTNERSHIP IN POST-INDUSTRIAL LANDSCAPES, proceedings of 8th Int. Conf. on Structure, Engineering & Environment (Mie, Japan) pp.504-511 Nov 2022
(8) Yuan Kun, Comparative study on spatial characteristics and walkability evaluation of historical areas based on deep learning of street-view image segmentation, Abstract of AESOP Annual Congress (Tartu, Estonia), 26 July 2022
(9) Kensuke Yasufuku, Muhammad Hegazy, Akira Takahashi, Digital Twin of Pedestrian Streets Around the Stadium for Crowd Simulation, Proceedings of the 22nd International Conference on Construction Applications of Virtual Reality 2022.11
(10) Muhammad Hegazy, Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, Reconstruction of Pedestrian Street Networks in Large-Scale Urban Environments Using iPad-Integrated LiDAR, Proceedings of the 22nd International Conference on Construction Applications of Virtual Reality 2022.11
(11) Muhammad Hegazy, Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, Developing a 3D Reconstruction of Pedestrian Street Networks in Large-Scale Urban Environments Using iPad-integrated LIDAR, Proceedings of the 22nd International Conference on Construction Applications of Virtual Reality 1036-1044 2022.11
Conference Papers (Domestic)
(12) 宗利昌哉 阿部浩和 安福健祐 高橋彰, 龍野伝統的建造物群保存地区における官民連携のまちづくりに関する研究, 日本建築学会大会学術講演梗概集、p1111-1112, 202209
(13) 布川航平 阿部浩和 安福健祐 高橋彰, 動物園の施設マネジメントにみられる社会教育性の実態と課題に関する研究, 日本建築学会大会学術講演梗概集、p547-548, 202209
(14) 宗利昌哉 阿部浩和 安福健祐 高橋彰, 龍野伝統的建造物群保存地区における官民連携のまちづくりに関する研究, 日本建築学会近畿支部研究報告集、No7028, 202206
(15) 布川航平 阿部浩和 安福健祐 高橋彰, 動物園の施設マネジメントにみられる社会教育性の実態と課題に関する研究, 日本建築学会近畿支部研究報告集、No5032, 202206

Grants
(1)安福 健祐(代表者)「機械学習によるデータ駆動型避難シミュレーションシステムの開発」,科研費・基盤研究(C)(代表者),2019~2023年
(2)安福健祐(代表者)阿部浩和、「大規模商業施設買い廻り行動のデータ駆動型モデルに関する研究」、共同研究(東急不動産・R&Dセンター),2019年~2023年
(3)西成活裕(代表者), 安福健祐(分担者), 「個人及びグループの属性に適応する群集制御」, 科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業(探求加速型)本格研究課題「世界一の安全・安心社会の実現「ひとりひとりに届く危機対応ナビゲーターの構築」」2020年4月 - 2025年3月
(4)高橋彰(代表者),“京都市都心部の密集市街地における連担京町家が作る共創的路地空間の維持・継承”,日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2021~2023年
(5)松井大輔(代表者),高橋彰(分担者),“「景観まちづくり史」研究の概念構築と体系化に関わる基礎的研究”,日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2021~2023年
Doctor Thesis

Master Thesis
(13) 石村真子 「デザイン分野におけるAIの可能性についての研究―Stable Diffusionを用いた椅子のデザインを事例に―」
(14) 市原恵介 「大型商業施設における都市構造の変化による顧客特性の変化予測及び買い回り行動への影響の分析」
(15) 大阪直也 「建築デザインにおけるアナロジー思考に着目した発想環境に関する研究」
(16) 中谷唯和 「小説における建築空間の特性に関する研究一村上春樹の2つの長編小説を事例に一」


Undergraduation Thesis

(17) 岡千颯 「外部空間を介した住空間の構成に関する研究-安藤忠雄の住宅作品を対象として-」
(18) 竹原理生子 「ディープラーニングを用いた街路景観における「地域らしさ」に関する研究-横浜と神戸を事例にして-」
(19) 田内丈登 「富士山をはじめとする山岳地帯における山小屋建築の独自性に関する研究」
(20) 三島甲斐 「現代にみられる自由鑑賞経路の美術館に対するスペースシンタックス理論に基づく空間定量分析に関する研究」
(21) 森聖雅 「里山をいかした循環性を持つ地域づくりの取り組み―兵庫県川西市黒川地区を対象として―」

Diploma Design
(1)岡千颯「徒らな天使の家」2022年度卒業設計(大阪大学卒業設計優秀賞)

パウルクレーはその最晩年に簡素な描線で書かれた幾つもの天使の絵を残している。この卒業設計は詩人の谷川俊太郎がその天使の絵を詩の形で表現したのを受けて、大胆にも谷川の詩を建築の形で解釈しようと試みた一つのエチュードとして理解できる。そしてその造形は壊れそうで儚くもきわめて繊細である。ここで登場する天使たちはいずれも完璧でなく、どこかに欠点を持っている。しかしそんな彼らは実は身の回りのどこにでもいるごく普通の「あなた」の姿かもしれない。そして彼らはふたつの約束事をきめて住宅をつくる。一つ目はふたつのらせんを基本とすること。もう一つは居場所をわけあうようにシーンをつなぐモノを共有すること。そして出来上がった天使たちの家はどこか使い勝手が悪かったり、動線が混乱していたりと、完璧でない部分を多く持っている。しかしそんな不完全な住宅にもこれまで私たちが考えてもみなかった思いもよらぬ魅力があることに気づくであろう。この物語は効率的で便利な現代社会のなかで、いつの間にか置き忘れてきた大事なもの、挫折して落ち込んでいるあなたにそっと寄り添ってくれる大切なもの、一見不便で非合理とも思えるものが、実は「あなた」の生活を、そして人生を豊かにしてくれる贈り物だったのである。


" 「徒らな天使の家」




(2)田内丈登「富嶽反転-富士山の内的情景をうつしだす-」、2022年度卒業設計(建築学会近畿支部卒業設計コンクール優秀賞、せんだいデザインリーグ100選)

この作品は現在の富士登山に失われてしまった内的情景を映し出す新らたな視点場を与える建築の提案である。それらはいずれも先人たちが残した山小屋や神社の廃墟、斜面に築かれた遺構などで、それをもとにして新たに再構築された6つの建築群である。登山はあくまで個人の恣意的行為だから、山へ行く動機は登山者の数だけあるのだろう。ある人は亡きひとへの思いを携えて、ある人は自らの人生に重ねて山に登る。そして山や谷をさまよう時、一木一石にも心を惹かれないものはない。今は観光化された富士登山にも過去の哀しい出来事や人生の新たな目標を見出すための祈りが、四季移ろい行く山の優しさと、それに対峙して死の恐怖を意識させる山の厳しさが潜んでいる。Rチャンドラーの小説で主人公のマーロウは「タフでなければ生きて行けない。優しくなければ生きている資格がない」と語ったように、作者はこれからの人生に襲いかかるであろう未曾有の難題に立ち向かう術をこの作品に見出したのかもしれない。そしてHUのD.ダーデンがかつて人の内的情景を空間化したように、作者は斜面に立つその一つ一つの遺構に隠された過去の文脈を丁寧に読み取り、標高差によって変化する自然や植生の周辺環境にあわせて、材料や形状も変えながらそこに潜む内的情景を建築化しており、ここで選ばれた6つの地点のそれぞれに作者の願いが、未来の記憶の断片として垣間見えて秀逸である。


"「富嶽反転-富士山の内的情景をうつしだす-」




(3)竹原理生子「泡沫の夢を紡ぐ家」、2022年度卒業設計

この作品は神戸の震災復興記念公園へ繋がる旧臨港線跡地を利用した遊歩道に面して建てられた記憶の器である。臨港線は東海道本線の摩耶駅から分岐して湾岸の工場地帯を経由して神戸港駅までを繋いでいた貨物線である。現在は廃線となり、跡地の一部をそのまま活用して遊歩道として整備され、当時の面影を見ることができる。作者はこの臨港線を背景として1995年に神戸を襲った直下型大地震で亡くなった多くの若者たちが果たせなかった夢を、彼らが残した言葉をていねいに辿りながら、それぞれの家で展開される生活の風景や日常の場面として可視化している。それらは実在する景色というよりはむしろ作者の心象風景として理解される時、そしてそれを支える球形の部屋の連なりがあたかも数珠の形にも思えて見る人の心に迫ってくる。これは過去の災害の悲惨な教訓を生かして未来の希望につなぐ作者の被災者へのささやかな鎮魂歌なのかもしれない。


" 「泡沫の夢を紡ぐ家」




(4)三島甲斐「保存と継承」 2022年度卒業設計

この作品は大阪大学の前身とされ国の史跡で重要文化財の「適塾」がある船場地区の1区画に、かつての町家の形式を再現して大学のサテライトキャンパスを計画した意欲的な提案である。適塾は江戸時代後期、幕末の大阪船場に緒方洪庵が開いた蘭学塾で福澤諭吉、大村益次郎など日本の近代化に貢献した多くの塾生を輩出した。ここでは史跡として公開されている適塾を保存し、それを囲むように寄宿舎と教室学舎が町家の形式を残しながらもモダンな空間として再構築されており、図書室もかつての蘭学塾でオランダ語の辞書が置かれていた「ヅーフ部屋」の形態を意識してデザインされている。ここでは学生は日常生活をともにしながら、教える者と学ぶ者が互いに切磋琢磨し合うというかつての適塾の制度を継承しつつ新しい時代の大学のありかたとして提案しており興味深い。


" 「保存と継承」




(5)森聖雅「織り成す木々は、里を熾す」 2022年度卒業設計(大阪大学卒業設計優秀賞、DiplomaxKyoto2位)

この作品は里山の持つ2つのエッジをデザインする提案である。一つ目は「人」と「自然」のエッジである。かつて、獣害に苦しむ切実な地域住民の思いから動物と人との生活圏を分離するために設置された一帯約4.5kmに及ぶ鹿除け網の遺構をパスに置き換える。地域を囲むパスは森の管理やレジャーのアクティビティを供給し、物理的な障壁をつくることなく人の営みによって動物と人の関係を問い直している。二つ目は、「地域住民」の持つ「よそ者」への心理的な境界である。作者はヒアリング調査を通じて、住民は里山にかつての活気を取り戻したい一方で、里山に流れる独特の時間を大切にするが故によそ者を無制限に許容することはできない胸のうちを知った。このジレンマへの応答として、「住民」と「よそ者」のちょっとした交流を誘発することで心理的障壁を緩和する機能を山裾に建築化した。建築は古くからある里山風景(ランドマーク)の正面に位置する新しい視点場として、また、外部と地域をつなぐ動線と新しいパスが交差する結節点の機能も担っている。あたかも、ケビンリンチが都市のイメージの中で、都市をアイデンティティと構造から読み解こうとしたように、本作品は里山にパスとノードを挿入することによって、里山のエッジを再構築し、人の営みを中心に地域の構造を再編することで、新しい里山のイメージの輪郭を生き生きと描きだしており秀逸である。


" 「織り成す木々は、里を熾す」


April/2021-March/2022

Journal & Book articles
(1)Noriko Otsuka, Hirokazu Abe, Yuto Isehara & Tomoko Miyagawa (2021): The potential use of green infrastructure in the regeneration of brownfield sites: three case studies from Japan’s Osaka Bay Area, Local Environment, Oct 2021, DOI: 10.1080/13549839.2021.1983791
(2)Takato Azegami, Akira Takahashi, Kensuke Yasufuku, Noriko Otsuka, Tomoko Miyagawa and Hirokazu Abe, Analysis of matters affecting land price fluctuations in the great east Japan earthquake, International Journal of GEOMATE, Jan. 2022, Vol.22, Issue 89, pp.55-64
(3)Yuanhang SONG, Akira TAKAHASHI, Kensuke YASUFUKU, Hirokazu ABE, EVALUATION OF THE STAIRCASES’ VISIBILITY IN UMEDA UNDERGROUND STREET BY USING SPACE SYNTAX, International Journal of GEOMATE, Feb. 2022, Vol.22, Issue 90, pp.49-56
(4)Akira Takahashi, Kensuke Yasufuku and Hirokazu Abe, EVALUATION OF UNDERGROUND SPACE FOR TSUNAMI EVACUATION SAFETY WITH ROUTE OBSTACLES BY AGENT-BASED SIMULATION, International Journal of GEOMATE, April 2022, Vol.22, Issue 92, pp.83-91
(5)Kun Yuan, Hirokazu Abe, Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, A COMPARATIVE STUDY OF THE CHANGE IN TOWNSCAPE IN HISTORICAL BLOCKS OF XI’AN, CHINA, AND KYOTO, JAPAN, International Journal of GEOMATE, Jan. 2022, Vol.22, Issue 89, pp.47-54
(6)高橋彰, 大阪直也, 安福健祐, 阿部浩和, “大規模商業施設における新型コロナウイルス感染症の影響による買物行動の変化に関する研究,” 日本建築学会計画系論文集 第87巻 第792号, pp.349-359, 2022.2
(7)Muhammad Hegazy, Ken Ichiriyama, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, “Comparing daylight brightness perception in real and immersive virtual environments using perceptual light maps,” Automation in Construction, Volume 131, 2021.11
(8)高橋彰, 安福健祐, 阿部浩和, “避難シミュレーションを用いた大規模地下街津波浸水対策の避難誘導計画の評価,” 日本建築学会計画系論文集 第86巻 第786号, pp.2104-2114, 2021.8
(9) 安福健祐, 泉本淳一, 阿部浩和, “大規模商業施設におけるデータ駆動型買い回り行動モデルの開発,” 日本建築学会計画系論文集 第86巻 第783号, pp.1358-1366, 2021.5
(10)Muhammad Hegazy, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, “An interactive approach to investigate brightness perception of daylighting in Immersive Virtual Environments: Comparing subjective responses and quantitative metrics,” Building Simulation, 2021.5

International Conference Papers
(1)Manar HOSNI, Kensuke YASUFUKU, Akira TAKAHASHI, Hirokazu ABE, A STUDY ON THE EVALUATION OF STUDENTS’ IMPRESSIONS OF THEIR LEARNING SPACES USING KANSEI ENGINEERING, Proceedings of 13TH ASIAN FORUM ON GRAPHIC SCIENCE 2021 (AFGS), Paper #59, 6-7 December 2021, Hong Kong

(2)Kun YUAN, Hirokazu ABE, Kensuke YASUFUKU, Akira TAKAHASHI, A Comparative Study on the Change of Townscape in Historical Blocks Between XI’AN And KYOTO, Proceedings of 11th Int. Conf. on Geotechnique, Construction Materials & Environment, pp625-631, Kyoto, Japan, 3-5 November 2021, ISBN: 978-4-909106063 C3051

(3)Akira Takahashi, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, Evaluation of Underground Space For Tsunami Evacuation Safety by Agent-Based Simulation, Proceedings of 11th Int. Conf. on Geotechnique, Construction Materials & Environment, pp597-604, Kyoto, Japan, 3-5 November 2021, ISBN: 978-4-909106063 C3051

(4)Yuanhang SONG, Akira TAKAHASHI, Kensuke YASUFUKU and Hirokazu ABE, Evaluation of the visibility of staircases in Umeda underground street by using Depthmap, Proceedings of 11th Int. Conf. on Geotechnique, Construction Materials & Environment, pp463-470, Kyoto, Japan, 3-5 November 2021, ISBN: 978-4-909106063 C3051

(5)Takato Azegami, Akira Takahashi, Kensuke Yasufuku, Noriko Otsuka, Tomoko Miyagawa, Hirokazu Abe, Impact of the Great East Japan earthquake and nuclear accident on land price fluctuations, Proceedings of 11th Int. Conf. on Geotechnique, Construction Materials & Environment, pp654-661, Kyoto, Japan, 3-5 November 2021, ISBN: 978-4-909106063 C3051

(6)Kensuke Yasufuku, Akira Takahashi, Naoya Osaka, Hirokazu Abe, “Analysis of Shopping Behavior in Commercial Facility during COVID-19 Using Agent-Based Simulation,” The International Conference on Pedestrian and Evacuation Dynamics (PED2021 Proceedings), p.38, Nov. 2021
Conference Papers (Domestic)
(1)岡崎あかね、阿部浩和、安福健佑、高橋彰、建築家小島一浩の言説にみられる「アクティビティを喚起する空間」についての研究、日本図学会大会学術講演論文集、p59-64, 2021
(2)袁坤、阿部浩和、安福健祐、高橋彰、スベース・シンタックスを用いた西安と京都の市街地変化における類似性と差異, 2021年度日本建築学会近畿支部研究発表会、2021/6/26-27
(3)Kun YUAN, Hirokazu ABE, Kensuke YASUFUKU, Akira TAKAHASHI, The Change of Street Space Morphology in Historical Capital Cities - Comparing between Xi'an and Kyoto, 日本建築学会大会学術講演梗概集, No.7082, 2021/9
(4)大阪直也, 安福健祐, 高橋彰, 阿部浩和, 大規模商業施設における新型コロナウイルス影響下での買い回り行動の変化と密空間の分析,日本建築学会大会学術講演梗概集, No.11028, 2021/9
(5)安福健祐, “データ駆動型エージェントモデルを用いた大規模施設における人流分析,” 2021年度地球総合工学シンポジウム -地球総合工学とデジタリゼーション-, 2021.12
(6)安福健祐, “リアルタイムレンダリングによる群集密度変化の可視化手法検討,” 日本図学会2021年度大会(オンライン)大会学術講演論文集, pp.111-114, 2021.11
(7)高橋彰,“避難シミュレーションを用いた大規模地下街津波浸水 対策の避難誘導計画の評価 -ホワイティうめだを事例 に-”,第6回大阪大学豊中地区研究交流会,2021.12.21

Grants
(1)阿部浩和(代表者)「重大な環境被害を受けた中山間地域におけるリスクベースの社会・生態的環境の再生」,科研費・挑戦的研究・萌芽,2018~2022年
(2)安福 健祐(代表者)「機械学習によるデータ駆動型避難シミュレーションシステムの開発」,科研費・基盤研究(C)(代表者),2019~2023年
(3)安福健祐(代表者)阿部浩和、「大規模商業施設買い廻り行動のデータ駆動型モデルに関する研究」、共同研究(東急不動産・R&Dセンター),2019年~2022年
(4)西成活裕(代表者), 安福健祐(分担者), 「個人及びグループの属性に適応する群集制御」, 科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業(探求加速型)本格研究課題「世界一の安全・安心社会の実現「ひとりひとりに届く危機対応ナビゲーターの構築」」2020年4月 - 2025年3月
(5)清水壽一郎(代表者), 安福健祐(分担者), 「各種災害に備えた国家強靭化に資する社会変革をもたらす減災リーダー育成の研究」 日本学術振興会科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究, 2020年~2022年
(6)高橋彰(代表者),“京都市都心部の密集市街地における連担京町家が作る共創的路地空間の維持・継承”,日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2021~2023年
(7)高橋彰(代表者),北本朝展,矢野桂司,河角直美,佐藤弘隆,“メモリーグラフを用いた京都の町並み変化に関する地域学習教材に関する研究”大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 2021年度情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設公募型共同研究「ROIS-DS-JOINT」/ 一般共同研究,,2021年7月~ 2022年3月
(8)松井大輔(代表者),高橋彰(分担者),“「景観まちづくり史」研究の概念構築と体系化に関わる基礎的研究”,日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2021~2023年
Projects
(1) 東急不動産共同研究・箕面キューズモール「せせらぎ広場の提案」 研究室全員

せせらぎ広場の提案(箕面キューズモール)

Doctor Thesis
(1)Muhammad Hegazy Ali Ali Hegazy「A Study on Visual Perception of Daylighting in Architectural Space Using Immersive Virtual Reality」(没入型仮想現実感を用いた建築空間における昼光に対する視知覚に関する研究)」

Master Thesis
(1)岡崎あかね「建築家⼩嶋⼀浩の⾔説にみられる「アクティビティを喚起する空間」の思想と空間操作に関する研究」
(2)宋遠航「大規模地下空間の津波浸水時における避難安全性の評価―大阪梅田地下街を事例に―」
(3)弘中昇太「大型商業施設における現地調査に基づく買い回り行動のシミュレーション評価」
(4)堀江誠哉「ドーム球場周辺におけるニューラルネットワークを⽤いた⼈流予測に関する基礎的研究―群集⾏動シミュレーションによる予測精度向上―」
v (5)MANAR HOSNI MUHAMMAD ZIDAN KOTB「Creating healthy spaces: A study on the evaluation of students’ impressions and the wellbeing of their learning spaces」

Undergraduation Thesis

(1)布川航平「動物園の施設マネジメントにみられる社会教育性の実態と課題に関する研究」
(2)宗利昌哉「⿓野伝統的建造物群保存地区における官⺠連携のまちづくりに関する研究」
(3)安井健太「⼤規模商業施設における環境要因による顧客傾向と買い回り⾏動の変化に関する研究」
(4)信川龍規「駅前広場街路のウォーカビリティの比較~山陽新幹線主要停車駅を事例に~」

Diploma Design
(1)布川航平 「小さき大地より」2021年度卒業設計
この作品は人と動物(或いは自然)の境界をテーマにした動物園という名の社会生態学的環境の提案である。都心に出現したこの「小さな大地」はあなたが地球と向き合うために作られた装置であり、実際に存在するものではない。そこには世界中の動物が野生下で棲息するバイオームをもとに8 つのゾーンに区切られている。そしてそのゾーンとゾーンの隙間に埋め込まれた小さなチューブが人に与えられた空間であり、人と動物の境界(自然とヒトを繋ぐ境界)が生じる部分となる。この設定はS.キューブリックが月面で人類をモノリスと遭遇させた時のようにきわめてシュールである。そして、ここでは8つのゾーンと接続する5種類の「キョウメイ」の場が用意されており、地面に埋め込まれた接続空間はオルタナティブで、一つ間違えば「ねじまき鳥クロニクル」の動物園のように冷徹でもある。一方、人はそこでの日常の営みを通して社会生態学的環境を体験することになる。これをあなたは動物園とみるならばそれでも良いが、実はそこに人類が築き上げてきた世界が「小さな大地」のほんの一部でしかないこと、それは地球環境に対する多くの「犠牲」の上に成立していること、そしてこの「小さな大地」を人と動物を繋ぐ触媒装置としてあなたが理解した時、この作品の持つ本来の価値が見えてくるであろう。


" 「小さき大地より」


(2)宗利昌哉 「マチのエントツ」、2021年度卒業設計
この作品は兵庫県龍野市における「えんとつ」をテーマにした分散型宿泊施設の提案である。ここは古くからの町家や醤油工場などが残る歴史的街並みによって重伝建地区にも指定された地域だが、近年では人口減少・高齢化が進み空き家も目立つようなった。そこで作者は醤油工場の煙突を「まちの風景を特徴づけるランドマーク」と捉え、地区内に点在する空き家や空き地、路地などの一部分を広間、カフェ、宿泊所、本棚、銭湯、食堂、工房、休憩所、ギャラリーなどの機能に分散的に利活用した分散型宿泊施設として町全体をネットワーク化することで、宿泊客と住民との交流や古くからの住民と若い世代の隔たり埋める装置として計画している。特に「えんとつ」にはそれぞれに固有の形態が与えられており、そこで生まれる個性的なふるまいと先に示した分散的機能がうまく対応している点は秀逸である。またそれぞれの「えんとつ」に異なる形態・空間体験を埋め込むことで、訪れる人はより街を理解し、住まう人は街を見つめ直す機会となっており、コミュニティへの配慮の観点からの高く評価したい。ただここでは重伝建地区の外れ、新旧が共に在る地区のほんの一部での提案であるが、今後保存地区も含めてこの装置(仕掛け)が地区全体に網の目のように広がっていく姿を見てみたいと思うのは私だけであろうか。¬


"「マチのエントツ」


(3)安井健太「波跡」、2021年度卒業設計
この作品は日本のサーフィン文化の発祥の地、サザンオールスターズの出身地としても有名な「茅ヶ崎」の海岸沿いに計画された6つのフォリーである。それらは海岸を吹き抜ける潮風によって旛めく布が「吊」「張」「覆」「垂」「染」「捻」をテーマに来訪者をあたたかく迎えてくれる。この作者は地元の出身であり幼少期からこの海岸を見て育ったという。しかし近年、相模川上流にダムが建設されてからは、土砂の堆積が減少して海岸浸食が進み、これまで遠浅だった砂浜が大きく削られてきている。このままではいずれ近いうちに砂浜が焼失し、サーフィンの文化もなくなってしまうと言われている。このフォリーには茅ケ崎の海を愛する作者の熱い思いが込められている。これらが実在するかどうかは別として、姿を変えつつある海岸を眺め、彼の記憶の中に蓄積された原風景としてこの作品がある。


" 「波跡」


(4)信川龍規「Touch The Sky」 2021年度卒業設計
この作品は昭和41年から13年間、JR姫路駅と手柄山の間を繋いでいた姫路市営モノレールの廃線跡を利用して、NYのハイラインのような空中に連続するペデストリアンデッキを整備する提案である。実際にはモノレールの高架部分はその多くが解体されているが、実現には大きなハードルがあるが、ここにリニア―(線状)に連なる廃線後の敷地が書写山まで続いていることから、姫路市中心市街を横切る新たな歩行者緑道空間として多くの重要な都市施設と連絡しながら街の新たなネットワーク構築の契機になること目指している。


" 「Touch The Sky」


April/2020-March/2021

Journal & Book articles
(1)Muhammad Hegazy, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, "Evaluating and visualizing perceptual impressions of daylighting in immersive virtual environments", Journal of Asian Architecture and Building Engineering, pp1-17, 202008
(2)安福健祐, 泉本淳一, 阿部浩和, “大規模商業施設におけるデータ駆動型買い回り行動モデルの開発,” 日本建築学会計画系論文集, 第86巻, 第783号, 2021.5(掲載予定)

International Conference Papers
(1)Kensuke Yasufuku, Junichi Izumoto, Hirokazu Abe, "Development of Data-Driven Agent Model for Consumer Shopping Behavior in Commercial Facility" ,Proceedings of the 19th International Conference on Geometry and Graphics, pp175-185 202101
(2)Muhammad Hegazy, Ken Ichiriyama, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, “Visualizing user perception of daylighting: a comparison between VR and reality,” BuildSIM-Nordic 2020 Selected papers, Oct. 2020
Conference Papers (Domestic)
(1)山出美弥, 阿部浩和, 宮川智子,「製塩業跡地における産業遺産施設の保存活用に係る価値判断に関する研究」,日本建築学会大会学術講演梗概集 2020.9
(2)堀江誠哉, 阿部浩和, 安福健祐,「建築系大学生による大規模複合商業施設の改修実施プロジェクトの取り組み」,日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.1361-1362, 2020.9
(3)弘中昇太, 安福健佑, 阿部浩和,「マルチエージェントシステムを用いた津波による地下空間浸水時の避難シミュレーション その1 時間帯別の滞留者分布予測に基づく避難安全性の評価」,日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.91-92, 2020.9
(4)安福健祐, 阿部浩和, “マルチエージェントシステムを用いた津波による地下空間浸水時の避難シミュレーション その2 避難誘導計画に基づく避難安全性の評価,” 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.93-94, 2020.9
(5)Muhammad Hegazy, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, “Perceptual Light Map: A Visualization Approach to Brightness Perception in Daylit Immersive Virtual Environments,” 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.1143-1144, 2020.9
(6)高橋彰,安福健祐,“ホワイティうめだにおける津波発生時の避難行動シミュレーション” 大阪地下街(株)-大阪大学共同研究最終報告会,2021.1.15
(7) 高橋彰,大阪直也,安福健祐,阿部浩和,“大規模商業施設における新型コロナウイルス感染症の影響による買物行動の変化に関する研究” 株式会社東急不動産R&Dセンター,東急不動産株式会社-大阪大学2020年度共同研究最終報告会,2021.3.4
(8) 高橋彰,矢野桂司,河角直美,高木良枝,井上学,大菅直,佐藤弘隆, 北本朝展,“京都の町並み変化に関する地域学習支援システムの研究”立命館大学アート・リサーチセンター文部科学省 共同利用・共同研究拠点「日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点」研究拠点形成支援プログラム 研究プロジェクト 2020年度 成果発表会(立命館大学)2021.2.19

Grants
(1)阿部浩和(代表者)「重大な環境被害を受けた中山間地域におけるリスクベースの社会・生態的環境の再生」,科研費・挑戦的研究・萌芽,2018~2022年
(2)安福 健祐(代表者)「機械学習によるデータ駆動型避難シミュレーションシステムの開発」,科研費・基盤研究(C)(代表者),2019~2023年
(3)安福健祐(代表者)阿部浩和、「大規模商業施設買い廻り行動のデータ駆動型モデルに関する研究」、共同研究(東急不動産・R&Dセンター),2019年~2022年
(4)西成活裕(代表者), 安福健祐(分担者), 「個人及びグループの属性に適応する群集制御」, 科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業(探求加速型)本格研究課題「世界一の安全・安心社会の実現「ひとりひとりに届く危機対応ナビゲーターの構築」」2020年4月 - 2025年3月
(5)清水壽一郎(代表者), 安福健祐(分担者), 「各種災害に備えた国家強靭化に資する社会変革をもたらす減災リーダー育成の研究」 日本学術振興会科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究, 2020年~2022年
(6)高橋彰(代表者),矢野桂司,河角直美,井上学,大菅直,佐藤弘隆,山本 峻平,北本朝展,立命館大学アート・リサーチセンター日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点2020年度共同研究,「京都の町並み変化に関する地域学習支援システムに関する研究」,28.4千円,2020年4月~2021年3月
Master Thesis
(1)浅居佑香「瀬戸内国際芸術祭の11の離島の活性化に及ぼした影響と行政側の認識に関する研究」
(2)福島広大「レム・コールハースの言説に見られる「ヴォイドの戦略」の概念及び手法の再定義」
(3)宝角成美「アルヴァロ・シザの建築作品に見られるアプローチ空間における場面変移に関する研究」
(4)安井ひかる「海外で注目を浴びた日本人建築家のモダニズムと日本的特性に関する研究」

Undergraduation Thesis

(1)石村真子「歴史的郊外住宅地の形成に関する地域文脈の考察と住民の意識構造の分析─西宮七園を事例に─」
(2)市原恵介「地方ニュータウンにおける住民間の交流の実態とその変遷についての研究~大分県明野団地を事例に~」
(3)大阪直也「大規模商業施設における新型コロナウイルス(COVID-19)影響下での買い回り行動の変化と密空間の評価に関する研究」
(4)川岡知樹「AI(ディープラーニング)を用いた伝統的建造物群保存地区とその周辺地区の景観評価に関する研究―神戸市北野町山本通伝建地区を対象としてー」
(5)中谷唯和「地域コミュニティの活性化に関わる寺院空間の利用に関する研究」
(6)林淳一朗「都市計画における計画区域内既存宗教施設の周辺住民との関わりとその変化に関する研究-泉北ニュータウンを事例として-」

Diploma Design
(1)石村真子 「mon rêve」2020年度卒業設計
これはバレエをテーマにして作者の夢を住宅の形で表現した12章からなるアンソロジーである。各章には華麗なバレエの演目が丁寧に織り込まれており、それぞれの舞台となる住宅はこの上なくチャーミングで魅力的である。ここではその1つ1つの住宅を背景に12の物語が展開する。「Nutcracker」はチャイコフスキーの調べに乗せてクリスマスの夜にお菓子の国を旅する物語、「Don Quixote」は現実と虚構の世界の区別がつかなくなったドンキホーテがサンチョ・パンサを供にドルシネア姫を救いに行く話、「Giselle」は貴族の身分を偽っていたアルブレヒトの裏切りで命を落としたジゼルがやがて亡霊たちから彼を守る話である。それぞれの住宅の主人公は憧れの衣装を身に纏い、その演目を生活の一部として演じることになる。イングマール・ベルイマンの映画に登場するマリーのように将来の選択に迷うバレリーナがこの住宅で過ごしながら、いつの間にかひと夏の出来事を回想するあなた自身と重なるかもしれない。これらすべては作者の心象風景であり、1つ1つの住宅はかけがえのない宝石のように輝いている。


" 「mon rêve」


(2)市原恵介 「継承のはじまり」、2020年度卒業設計
この作品は大分県北部の明野団地内に計画した幼稚園と郷土資料館を含む地域施設の提案である。まず全体に明るい色彩を用いた生き生きとしたドローイングは新鮮である。切り立った丘の縁にはめ込まれた駐車場施設の躯体を活用することで屋上の広場を残しながら迫力のある提案となっている。また1階の学童施設には微妙に隆起するデッキ(縁側)が巡らされており雲形の屋根とのバランスも軽快である。ただ屋上の活用は課題であろう。1960年代からの高度経済成長期に建設されたニュータウンはそれから半世紀を経た今、そこで生まれ、そこで育った人たちの故郷となり得たのかが問われている。小林秀雄が自らの文学を「故郷を失った文学」と評したのは、彼が都会人であったこともあるが、近代化を追求してきた日本では生活が極めて抽象的なものとなったことにその要因があるのかもしれないと言われている。¬


"「継承のはじまり」


(3)大阪直也 「笑道楽浪花街」、2020年度卒業設計
これは「お笑い」をテーマに大阪ミナミ最大の繁華街である道頓堀リバーウォークの再改修提案である。この地区はこれまで多くの改修工事が行われてきた歴史があるだけに、それらと如何に差別化できるかが見どころの一つである。この作品のテーマはタイトルにもあるように「浪速」と「お笑い」であり、演芸に登場する「南京玉すだれ」のような木造の屋根組が川沿いに連続し、その下に客席とステージが点在する構成になっている。ここでどのようにして笑いを取るか、改修を成功させるかは演者と設計者の腕にかかっている。上方落語に「書割盗人」という小噺がある。亭主が引越しの際に、家財道具一切を売ってしまい、代わりに壁、床、天井一面に豪華な家具や道具の書割を描いたところに泥棒がやって来たという設定で、亭主と泥棒の掛け合いが絶妙な小噺である。寄席で聞く人に滑稽な非現実の空間をイメージさせることができれば自然と笑いが生まれる演目でもある。今回の道頓堀再改修提案もまだ図面に書いた書割のようなもの。見る人に滑稽な非現実の空間をうまくイメージさせることができれば自然と笑いが取れると言うものだ。


" 「笑道楽浪花街」


(4)川岡知樹 「水蕗 mizufubuki」 2020年度卒業設計
この作品は古くからある農業用の溜め池に計画された図書館である。その内部はジヴェルニーの庭を描いたモネの連作「睡蓮」のように形態の明確な輪郭は光と色彩の中に消えて静謐な空間が広がっている。天窓から差し込む光は乱立する無数の睡蓮の茎の間をかいくぐって減衰し、床に反射して幻想的な光景をつくりだしている。また全体的な図面表現やドローイングも大層美しく申し分ない仕上がりである。しかしこの作品で特に評価すべきは一見乱雑に見える柱や屋根の形状がフィボナッチ数列をもとにした黄金幾何学で計算された交点上に設定されていることで、造形面と構造面の最適解をうまく形態化できている点を高く評価したい。あとは筆者が冒頭で語った「使われなくなった溜め池の生態系を残すこと」や「それを地域資源として活かすこと」の意味が問われている。


" 「水蕗 mizufubuki」


(5)中谷唯和 「生乃シ想堂」2020年度卒業設計
由宇の海辺に立つ「浄念寺」はかつて個人のために建立された寺院であったが、今は訪れる者も途絶えて廃屋となっている。この作品は廃寺となったこの「浄念寺」を手がかりにして、作者が「死」と向き合うために、海辺の堤防を横切る軸線上にイメージした4つのフォリー(御堂)であり、そこで対面した故人との対話の記録でもある。それは最愛の伴侶を亡くした哀しみや老いていくことへの不安、幼いころの追憶、由宇への郷愁、そして水と光、霧と闇、記憶と回想、神話と寓話などの二面的な体験が果てしなく綴られていく。ロシアの映画監督タルコフスキーが自己の死や幼年時代の記憶、母国への想いなどを聖なる狂人に導かれて世界を救おうとする主人公アンドレイ・ゴルチャコフを通して描いたように、この作者もまた4つのフォリーを通して、失われたものへの想いと、失いつつあるものへの想いをこれから生まれてくる未来の「あなた」に伝えようとしているのかもしれない。


" 「生乃シ想堂」


(6)林淳一朗 「蘖-孤独が根差す自由-」 2020年度卒業設計
この作品は人里離れた草原に建てられた単身者用住居である。作者は「人間らしく生きていくためには孤独に苛まれながらもそれを愛し、その中でただひたすらに思考するしかない」として地中深くに延々と続く住居を作った。その中心は半径1.5m の思考スペースで端にある小さな穴で地上につながっている。作者はこの穴からノートを落とせると言ったが、人がここから這い上がれるほど広くはない。あとはあなたが降りてきた道(階段)をすべて取り除いてしまえば舞台装置は完成する。重要なのはここから始まる物語だ。「ねじまきクロニクル」は孤独を求めて裏庭の水のない井戸に降りていくトオルの話だが、あなたはここで何を語ってくれるのか?


" 「蘖-孤独が根差す自由-」


April/2019-March/2020

Journal & Book articles
(1)阿部浩和、榊愛、鈴木広隆、橋寺知子、安福健祐、”実用図学”、共立出版、ISBN:978-4-320-11432-6、202003

International Conference Papers
(1)Asai Y., Abe H., Otsuka N., THE INFLUENCE OF CREATIVE ACTIVTIES ON THE RESIDENTS AND THE CONSERVATION OF CULTURE, HISTORY AND LANDSCAPE IN SETOUCHI ISLANDS, JAPAN,Proceedings of AESOP Annual Congress 2019,No.635 in Digital Volume,201907
(2)Kensuke Yasufuku,DEVELOPMENT OF INTERACTIVE VISUALIZATION SYSTEM FOR TRAJECTORY ANALYSIS OF AIR TRAFFIC,Proceedings of The 12th Asian Forum on Graphic Science 2019,201908
(3)Muhammad Hegazy,Kensuke Yasufuku,Hirokazu Abe,AN EXPERIMENT TO EVALUATE DAYLIGHT PERCEPTION IN GAMIFIED VIRTUAL ENVIRONMENTS,Proceedings of The 12th Asian Forum on Graphic Science 2019,201908
Conference Papers (Domestic)
(1)安福健祐,阿部浩和,マルチエージェントシステムによる複数の災害を考慮した地下空間最適避難誘導の検討,日本建築学会大会学術講演梗概集, 331-332,201909
(2)永野康行,安福健祐,避難安全性からみた非構造材のキーエレメントデザイン,日本建築学会大会学術講演梗概集, 497-498,201909

Grants
(1)阿部浩和、重大な環境被害を受けた中山間地域におけるリスクベースの社会・生態的環境の再生,科研費・挑戦的研究・萌芽(代表者),2018~2020年
(2)安福健祐、阿部浩和、大規模商業施設買い廻り行動のデータ駆動型モデルに関する研究、共同研究(東急不動産・R&Dセンター),2019年
Master Thesis
(1)畦上駿斗「東日本震災及び原発事故が地価変動に及ぼした影響に関する考察-2011年東日本大震災の被災地 福島県いわき市を対象として-」2020.2
(2) 泉本淳一「大規模商業施設における移動経路シミュレーションに基づく回遊行動予測」2020.2
(3) 一里山健「没入型仮想空間における明るさ知覚の再現性に関する研究」2020.2
(4) 北村政尚「アルヴァ・アアルトの言説と住宅作品にみる経時的変化の区分に関する研究」2020.2

Undergraduation Thesis

(1)青木要「大阪・御堂筋のエリアマネジメントの実態と課題に関する研究」2020.2
(2) 岡崎あかね「建築家グレン・マーカットの生涯作品を通した設計傾向についての研究一代表15作品の平面図・立面図の分析を通して一」2020.2
(3) 呉羽玲「離散的中低層集合住宅におけるコモンズに関する考察」2020.2
(4) 弘中昇太「梅田地下街における管理運営企業による津波発生時の避難シナリオに基づく避難行動シミュレーションの試行」2020.2
(5) 堀江誠哉「大規模複合商業施設における大学生による改修計画のプロセスとその課題に関する研究」2020.2
(6) 坂尾壮二郎「機能分類の評価指標によるグリーンインフラの事例分析」2020.2
Diploma Design
(1)青木要 "劇場都市"2019年度卒業設計
この作品は大阪ミナミの「アメ村」に新たに劇場空間を挿入することで街の機能更新を実現する提案である。アメ村には「三角公園」と呼ばれる中心地が存在する。碁盤目の街割が広がる地区にあって、ここだけが「斜めの道」に接している。作者はこの斜めの道(ブロードウェイ)をさらに延伸してNYのタイムズスクエアさながら劇場都市(三角形の連続)を計画した。そこにはコンサートはもとより演劇やバレエ、ミュージカルなどを上演できる様々な劇場が連なり、三角公園から延びるブロードウェイには、舞台装置を作る作業員やエキストラの人たち、オーケストラや出演者たちが準備したり、休憩したりできる裏方の空間が広がっている。ここで作者が描く世界はこの上なく魅力的で活気に溢れている。しかし作者の願いは実は別のところにあった。それはこの世界を外部に開放して第2の「USJ」を作ることではなく、街の幾何学的な「機能更新」が目的であった。そしてここに隠されたテーマはスタニスワフ・レムの「虚数」のように、このすべてのプロセスが世界の「序」として提示され、この「演目(作品)」を演じることであった。


""劇場都市", 2019年度卒業設計


(2)岡崎あかね "個と孤が連なって"、2019年度卒業設計優秀賞、仙台デザインリーグ2020/20選入賞、
この作品は都会で働く4人の個性的な住人が暮らす単身者集合住宅の提案である。ここで描かれる住人は周りの状況にどう対処したら良いかを悩む絵本作家や日々の人づきあいが不器用なフォトグラファー、他者に気を使う「自分」とそれに嫌悪する「自分」が同居しているような、実は誰もが持っているコミュニケーションに対する何らかの「不安」がこの作品のテーマの1つである。それはジャン・ピエール・ジュネがパリのモンマルトルで描いた「ちょっと風変わりなアメリ」のアパルトマンのように、都会で生きる現代人の憂鬱を建築空間に重ねることでリリカルで洗練された独自の世界を造ることに成功している。ここでその住戸は互いに異なる別の住戸に隣接する組み合わせとして、最小の色の数を証明する四色問題のように、立体的な位相関係の中に設計されており、絶妙なバランスで住人の「個」を織り込みながら上階へと積み上げられる。ここで秀逸なのは、その過程でどの色にも属さない「よはく(パブリック)」と呼ばれるもう一つの領域が生まれることにある。ここに作者が提示したタイトルである「個(性)」と「孤(立)」を繋ぐ四色問題は6m×6mの極めてシンプルな矩形の中にもう一つの領域を見出すことによって、今までに見たこともない新たな解(建築)を導いている。


""個と孤が連なって" 2019年度卒業設計優秀賞、仙台デザインリーグ2020/20選入賞


(3)呉羽玲 "八方美人な建築"、2019年度卒業設計、Diploma x KYOTO'20/小川賞
この作品は水平面上に置かれた4つの異なる表裏一体の帯(メビウス帯)を互いに相貫させることなく湾曲させて重ね合わせることで作られた構造体である。作者はそれを「家族の家」とみなして時空を超えたイマジネーションの世界へ我々を誘っている。折り重なる白い曲面の重なりが生み出す空間は力強くこの上なく美しい。ただし油断してはいけない。それは表と裏の区別をつけることができない「向き付け不可能( non-orientable surface)」な曲面によって作られている。そこでは家族の影を知覚する「在」と家族の影を意識する「不在」の2面性が、時間の中に家族像が描かれる「知覚の家」と記憶の中に家族像が描かれる「意識の家」の2重性がある。そして作者が目指す家族の文学(建築)は漱石の「F+f」のように、過去の情景と日々感受される数限りない印象、無数の感情の累積(f)とともに、焦点を当て1つの対象としてそれを統合する認識(F)によって語られるはずである。ここでテーマの「八方美人」は、表裏一体となった4つの帯の8つの面(実は4つの面)を意味するとともに「fに伴う幻惑」の象徴としてあらわれる。そしてもしあなたにFが襲い掛かってきたなら、そこに初めてあなたが目指していた家族の建築を見つけることができるだろう。


" "八方美人な建築"、2019年度卒業設計、Diploma x KYOTO'20/小川賞


(4)弘中昇太 "凪道" 2019年度卒業設計
この作品は琵琶湖なぎさ公園に接する湖面上に計画された親水歩道施設の提案である。そこでは水の流れを考え、ヨシの生育を研究しながら環境問題に取り組もうとしている。人間だけでなくそこに生息する鳥や魚等すべての生物を共生させる生態系の世界を目指す「Designing of Multispecies Sustinabilty (C.Rupprecht)」の思想のように計画されており、高く評価したい。また、しなやかに波打つ曲線状の造形は北欧のサンドハムンを見るように大層美しい。おそらくこの風景は春夏秋冬で大きく変化するだろうし、晴天の時だけでなく雨の中や雪の降る天候で異なる様相を見せることになる。そのような自然のパノラマの一部としてこの施設を眺めるとき、そこに琵琶湖の本来の姿を感じることができる。


""凪道" 2019年度卒業設計


(5)堀江誠哉 "鹿づきあい -観光地としての地域の在り方-"2019年度卒業設計
この作品は観光都市である奈良の市街地にたつ鹿の飼育施設を兼ねたビジターセンターの提案である。奈良公園の鹿は現在も野生の動物として生息しており、その数は約1200頭、国の天然記念物にも指定されている。この施設は人と鹿が互いに共生する奈良公園の生態系を広く市街地にも拡大させることで、かつての古都、奈良本来の景色と地域の結束を取り戻そうとしている。経済や交通のメカニズムには齟齬があるにしても、作者の提案によって奈良市全体で「人」と「鹿」が共存共生できる社会が実現するなら見てみたい。また鹿だけでなく人間の周りに生息するすべての生き物(生態系)の共生を実現することは、これからの未来社会を考える上で欠かせないテーマになるであろう。


" "鹿づきあい -観光地としての地域の在り方-" 2019年度卒業設計


(6)坂尾壮二郎 "国のかたち" 2019年度卒業設計
この作品で作者の主張したかったものがここで十分表現できたのかは不明である。そのためここでこの作品の講評をすることは難しいが、ただ社会や制度、人々の認識に疑問を持ち、それを建築設計(卒計)のかたちで問題提起しようとしたプロセスは評価したい。


" "国のかたち" 2019年度卒業設計


April/2018-March/2019

Journal articles
(1) Takato Azegami, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka, Tomoko Miyagawa,REGENERATION FOR SOCIO ECOLOGICAL PRODUCTION LANDSCAPE IN SERIOUSLY ENVIRONMENTAL DAMAGED RURAL AREA,International Journal of GEOMATE,16(54) pp16-22 ,201901
(2) Tomoko Miyagawa, Clare Olver, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe,ENVIRONMENTAL REGENERATION AND MANAGEMENT IN PARTNERSHIP IN THE NORTHWEST OF ENGLAND,International Journal of GEOMATE,16(54) pp9-15,201901
(3) 阿部浩和 廣畑佑樹 安福健祐,学生の性格パタンと設計課題の作業プロセスに関する考察,建築教育研究論文報告集,(18) 15-22,201811
(4) Tomoko Miyagawa, Clare Olver, Noriko Otsuka, Takefumi Kurose, Hirokazu Abe,LESSONS AND ACHIEVEMENTS FROM THE MERSEY FOREST BY NETWORKING PARTNERSHIP FOR TWENTY YEARS,International Journal of GEOMATE,Vol.15, Issue 48, pp.48-54,201808

International Conference Papers
(1) Takato Azegami, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka and Tomoko Miyagawa,REGENERATION FOR SOCIO ECOLOGICAL PRODUCTION LANDSCAPE IN SERIOUSLY ENVIRONMENTAL DAMAGED RURAL AREA,Proceedings of The Fourth International Conference on Science, Engineering & Environment, SEE-Nagoya 2018,No.4597,201811
(2) Tomoko Miyagawa, Clare Olver, Noriko Otsuka, and Hirokazu Abe,ENVIRONMENTAL REGENERATION AND MANAGEMENT IN PARTNERSHIP IN THE NORTHWEST OF ENGLAND,Proceedings of The Fourth International Conference on Science, Engineering & Environment, SEE-Nagoya 2018,No.4534,201811
(3) Masanao Kitamura, Kensuke Yasufuku , Hirokazu Abe,The Study of “Deconstructivism” in the Field of Architecture, Proceedings of the 18th International Conference on Geometry and Graphics,AISC 809, p.7 ff.,201808
(4) Momoko KATO, Hirokazu ABE, Kensuke YASUFUKU,A Study on Site Planning of Mountain Temples Through Scene Transition Along the Visiting Route by MOTATION,ICGG 2018—Proceedings of the 18th International Conference on Geometry and Graphics,AISC 809, p.1972 ff.,201808
(5) Nozomi Hatakeyama, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka,Conservation of Japanese Coalmine Heritage as Green Infrastructure,Workshop(Research Institute for Regional and Urban Development/ Dortmund):The potential of the green infrastructure concept in post-industrial development,201809
(6) Nozomi Hatakeyama, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka,Conservation of Japanese Coalmine Heritage as Green Infrastructure,Workshop for the potential of the green infrastructure concept in post-industrial development,(Research Institute for Regional and Urban Development/ Dortmund), 201809
(7) Takato Azegami, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka,Regeneration for socio ecological production landscape in seriously environmental damaged rural area,Workshop for the potential of the green infrastructure concept in post-industrial development,(Research Institute for Regional and Urban Development/ Dortmund), 201809
Conference Papers (Domestic)
(1) 廣畑佑樹、阿部浩和,大学の設計課題における建築デザインの指導方法に対する 考察: 学生のパーソナリティと設計プロセス及びそれらの関連調査を通して,建築学会大会学術講演梗概集,No.13028,201809
(2) 阿部浩和・廣畑祐樹・安福健祐,大学の建築設計演習における学生の思考パタンと設計プロセスに関する考察,日本図学会春季大会学術講演論文集,2018, sp, pp31-36,201805
(3) 安福健祐,阿部浩和,マルチエージェントシステムを用いた最適避難経路選択の検討,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp.139-140,201809
(4) 安福健祐,永野康行,建築物非構造材のキーエレメントデザインのための避難リスク評価,日本図学会2018年度秋季大会(東京)大会学術講演論文集,pp.61-64,201812

Grants
(1)阿部浩和、環境汚染を内包する産業ランドスケープのGI化のためのプラットフォーム構築,科研費・基盤研究B(代表者),2016~2018年
(2)阿部浩和、重大な環境被害を受けた中山間地域におけるリスクベースの社会・生態的環境の再生,科研費・挑戦的研究・萌芽(代表者),2018~2019年
(3)阿部浩和、重大な環境被害を受けた社会生態的環境の再生におけるコミュニティデベロップメントに関する研究,大林財団研究助成(代表者),2018年
(4)義久智樹,再生継続型次世代ビデオオンデマンドシステムの実現,科研費・基盤研究B(代表者),2016~2018年
(5)安福健佑 多様な災害に対応する避難行動モデルの精緻化とロバストな避難安全性の評価,科研費・基盤研究C(代表者),2016~2018年
Master Thesis
(1)加藤桃子「日本におけるPFI事業の現状と今後の可能性 -英国におけるPFI事業と比較して-」2019.2
(2)木下美佳「建築家ルイス・カーンの言説に見る「光」の認識と住宅作品の空間操作に関する研究 -住宅7作品を事例とした3Dモデルによる光の復元を用いて-」2019.2
(3)畠山望「炭鉱遺産の活用による地域再生の可能性-日本とドイツの旧産炭地域を対象に-」2019.2
(4)三宅咲紀「過疎高齢化地域における瀬戸内国際芸術祭の影響 -岡山市犬島と高松市男木島を事例に-」2019.2
(5)孫菁瑶「避難シミュレーションを用いた大規模地下街の浸水時における最適な避難誘導の検討」2019.2

Undergraduation Thesis

(1)浅居佑香「アート活動による文化・歴史・風景の保全と住民に及ぼす影響:岡山県犬島を事例として」2019.2
(2)福島広大「地方都市における商店街の再開発事業の全容と課題:高松丸亀町商店街と岡山表町商店街の比較を通して」2019.2
(3)宝角成美「神戸乙仲通りにおける非誘致的ビルの空間特性に関する研究」2019.2
(4)松田出帆「大阪中之島地区のパブリックスペースにおけるベンチと広場の空間構成と利用実態に関する研究」2019.2
(5)安井ひかる「海外で開かれた国際博覧会の日本館の意匠について」201.2
Diploma Design
(1)浅居佑香 "unico house" 2018年度卒業設計優秀賞(阪大)、
この作品は新しい住宅の在り方を見つけるための63の事例研究である。コルビュジエは「建築をめざして」の中で「住宅は住むための機械」であると述べたが、ここではその「機械」にも時に不具合が存在することから、作者は特徴的で個性的な住人と何らかの欠陥を持つ住宅との組み合わせの中に新たな住宅の可能性を見つけようとしている。それぞれの事例は敷地のコンテキストには左右されず、純粋な建築空間のプロトタイプとそれを使う住人との対話で構成されている。長い廊下を辿らなければ到達しない食堂には住人の期待感を高揚させる効果があったり、部屋を分断する長いダイニングテーブルによって隣人の気配が感じられるなど、「機械」にとっては不具合として切り捨てらるような部分でも、「人間」にとって有益であったりする。この作品は63の事例の中にこれまでに我々が見失ってきた豊かな生活の断片を発見している。コルビュジェの言葉からすでに1世紀が過ぎた現代、「機械」は当時の想像をはるかに超えるスピードで進化している。「住宅」はこれに追いつけるのか?


""unico house", 2018年度卒業設計優秀賞


(2)福島広大 "雨跡を編む" 2018年度卒業設計優秀賞(阪大)、
この作品は昨年集中豪雨によって甚大な被害を受けた岡山県真備町のための復興住宅の提案である。画面全体に広がる色彩を抑えた手書きのドローイングは洪水被害の悲しい記憶を背景に、これからの新たなまちづくりの萌芽が垣間見えて秀逸である。現在現地では決壊した堤防の拡張補強工事が計画されており、ここではそれによって立退きになる約10棟の住宅群の再建案として取纏めている。しかしこれはただの復興住宅ではない。これらは新たに拡張した堤防上に、川を挟んで両側に計画されており、それぞれの住宅は被災した住宅の遺構を下敷きにして築かれている。これには賛否があろうが、これまで幾度となく水害に見舞われ、その度に多くの犠牲者を出してきたこの地域にとって、作者は敢えて被災の教訓を正確に伝えることを選んだ。また洪水に見舞われた地域だからこそ水際空間との日常の触れ合いを大切にしている。この新しい住宅群は過去の記憶を背負いながらも、これから始まる復興時のコミュニティを意識して、それぞれの家族の生活が継続されるよう緻密に設計されており、軒と縁側で連続する豊かな共有空間が河畔に展開していて清々しい。この作品は災害復興に向き合う姿勢を我々に問いかけている。


""雨跡を編む" 2018年度卒業設計優秀賞


(3)宝角成美 "Literal and Phenomenal" 2018年度卒業設計最優秀賞(阪大)、レモン賞(レモン画翠)、建築家協会(近畿)優秀賞、仙台デザインリーグ100選
この作品はコーリン・ロウがモダニズムを乗り越える契機と考えた2つの透明性を拠り所として、リテラルな現代社会の隙間にとり残されたフェノメナルなもう一つの世界へ我々を誘っている。モノトーンの透明な画面に映し出されるリリカルな風景は、幻想的で控えめながらも限りなく刺激的である。これは多くの人々が行き交う大都会のビルの谷間で演じられる束の間の寸劇であり、住宅という形式を借りて現象化した「生き方」への問いかけでもある。ここでオフィスビルは現代人の生きるリテラルな場所であり、そこに生じる隙間は集団から置き去りにされた人々のためのフェノメナルな場所として扱われている。哲学者ハンナ・アレントは人間の生活を「活動」「仕事」「労働」の三つに分け、「労働」以外に人間的意味を失った近代以降の現代社会に警鐘を鳴らした。ここでは脚本家坂元裕二の台本から選定された4人の主人公による日常風景のケーススタディとして語られている。彼らはあたかも実在するかのように、構造を考え、気難しく材料を選び、人目を避けて空間を積み上げ、それそれの「仕事」の場所が用意されることになるが、これらはすべて、我々が日頃は目に留めることのないビルの隙間に見たもうひとりの「あなた」の居場所なのかもしれない。


" "Literal and Phenomenal " 2018年度卒業設計最優秀賞(阪大)、レモン賞(レモン画翠)、建築家協会(近畿)優秀賞、仙台デザインリーグ100選


(4)松田出帆 "CONFLEX HOUSE" 2018年度卒業設計優秀賞(阪大)、仙台デザインリーグ100選
この作品は大阪の都心に築き上げられた「ガクセイリョウ」という名の「迷宮」である。そしてこれらは予め決められたルールに従って作られる。すべては個人の空間と位置付けた4mの立方体で構成されており、切断と挿入の操作を繰り返しながら積み上げられることによって、個人の空間が開放されて緩やかに他者の空間と連続する結合体ができあがる。そこには明示的な昇降装置は存在せず、床の傾斜やわずかな段差によって縦動線が確保されている。これまでの均質で内に閉じた近代建築を開放する手がかりを見出したのかもしれない。これらはすべて作者の「理性的な操作」によるものだが、それによって出来上がった構造はポーラスで、全体が「カオス」の様相を呈している。これはM・タフーリが「球と迷宮」で示した命題、「秩序をめざした計画(球)は必然的に無秩序なカオス(迷宮)をもたらす」ことを暗示していて興味深い。ただ「迷宮」を意図した「球」はあり得るのかという問いがこの作品を理解する鍵となる。


""CONFLEX HOUSE" 2018年度卒業設計優秀賞(阪大)


(5)安井ひかる "動かない建築と止まらない自然" 2018年度卒業設計
この作品はある港湾地区の海に浮かぶ巨大な「舞台装置」である。なぜこのような巨大な空間がここにあるのかは語られていないが、もしかすると菊竹が作ったアクアポリスの残骸を活用しているのかもしれない。画面はモノクロの線描による平面図と断面図のみで、わずかに風景の描写はあるが、作者はあくまで寡黙である。左のブリッジを渡ったところに塔状の階段があり、地下深くにある「楽屋」へと繋がっている。地上では塔を過ぎると緩やかな段状の広場に出る。そこは昨年解散した劇団維新派の舞台のように、無数の列柱が林立している。また所々に四角い透明な部屋があり、それは水面下の空間へ伸びている。多くの列柱はガラスでできていて光を下階に導く。これらの空間や移動装置は非常に魅力的である。さてこれで舞台の準備はすべて整った。観客は固唾を飲んで上演を待っている。後は「作者」が何を語るかが問題だ。


" "動かない建築と止まらない自然" 2018年度卒業設計


April/2017-March/2018

Journal articles
(1)李ロウン, 阿部浩和, 橋寺知子,工業衰退地周辺における創造的活動を起点とした地域再生の取り組み?梅香・四貫島地区を対象として?,日本建築学会計画系論文集,82(736),2017年06月
(2)山出美弥、阿部浩和、宮川智子,「製塩業による環境影響の実態と産業跡地再生の現状に関する研究」,日本建築学会技術報告集,24(56) 351-356,2018年02月
(3)安福健祐, “VRウォークスルーシステムによる視覚的シークエンス分析ツールの開発,” 日本建築学会技術報告集, 第23巻, 第54号, pp.637-641, 2017.6

International Conference Papers
(1)Noriko Otsuka, Yuto Isehara, Hirokazu Abe, Tomoko Miyagawa,THE POTENTIAL USE OF GREEN INFRASTRUCTURE IN THE REGENERATION OF BROWNFIELD SITES: THE CASE OF OSAKA BAY AREA IN JAPAN, Proceedings of AESOP Annual Congress 2017,No.336,2017年07月
(2)Tomoko Miyagawa, Clare Olver, Noriko Otsuka, Takefumi Kurose, Hirokazu Abe,”Lessons and Achievements from the Mersey Forest by Networking Partnership for Twenty Years”, Proceedings of Seventh International Conference on Geotechnique, Construction Materials and Environment,pp.564-570,2017年11月
(3) Mika Kinoshita, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe,”Influence of “MINNANOIE” (Assembly Facility) on the physical or mental health of victims and elderly people affected by the Great Kumamoto Earthquake in Japan”, Proceedings of Planning Research Conference 2017,p54,2017年09月
(4)Nozomi HATAKEYAMA, Noriko OTSUKA and Hirokazu ABE, Regenerating post-coalmining cities in Japan: the current situation and future approaches to revitalisation ,Proceedings of Planning Research Conference 2017 (Belfast),p19,2017年09月
(5)Kensuke YASUFUKU, Takuro ENOMOTO, Hirokazu ABE, “SPATIAL RECOGNITION AFFECTED BY COLOR AND TEXTURE IN ARCHITECTURAL SPACE,” Proceedings of The 11th Asian Forum on Graphic Science 2017, Digital Proceedings (ISBN:978-4-9900967-3-1), Aug. 2017
Conference Papers (Domestic)
(1)木下美佳,阿部浩和,「仮設住宅団地計画における“熊本型みんなの家”の管理運営形態と住みこなしに関する研究-熊本県益城町・甲佐町における調査分析-」,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp523-524 No.7209,2017年09月
(2) 畠山望, 阿部浩和, 安福健祐,「近代化産業遺産における炭鉱遺産の現状と保存・活用についての研究」,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp121-122 No.7042,2017年09月
(3)平岡志織, 安福健祐, 阿部浩和, “シャルロット・ペリアンの作品にみる「unity」の精神とその変遷,” 日本図学会関西支部第102回例会学術講演会, 2018.2
(4)廣畑佑樹, 安福健祐, 阿部浩和, “大学の設計課題における建築デザインの指導方法に対する考察 -学生のパーソナリティと設計プロセス及びそれらの関連調査を通して-,” 日本図学会関西支部第102回例会学術講演会, 2018.2
(5)卞雄洙, 安福健祐, 阿部浩和, “避難行動シミュレーションを用いた最適経路選択に関する研究,” 日本図学会関西支部第102回例会学術講演会, 2018.2
(6)安福健祐, 長岡慎介, “航空機渋滞モデルのインタラクティブ可視化,” 日本図学会2017年度秋季大会(京都)大会学術講演論文集, pp.65-66, ISSN:2189-0072, 2017.12
(7)安福健祐, 永野康行, “マルチエージェントシステムによる複数の経路障害を考慮した避難解析,” 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.387-388, 2017.8
(8)安福健祐, 秋月有紀, 北後明彦, 鈴木広隆, ピニェイロ アベウ タイチ コンノ, 高嶋彰, 松井俊成, 武内芳夫, “津波避難誘導照明の仕様に関する基礎的研究 その1 CG画像を用いた誘導照明の誘目性評価実験,” 日本火災学会平成29年度研究発表会梗概集, pp.128-129, 2017.5
(9)秋月有紀, 安福健祐,北後明彦, 鈴木広隆, ピニェイロ アベウ タイチ コンノ, 高嶋彰, 松井俊成, 武内芳夫, “津波避難誘導照明の仕様に関する基礎的研究 その2 実大の誘導照明を用いた検証実験,” 日本火災学会平成29年度研究発表会梗概集, pp.130-131, 2017.5

Grants
(1)阿部浩和、環境汚染を内包する産業ランドスケープのGI化のためのプラットフォーム構築,科研費・基盤研究B(代表者),2016~2018年
(2)義久智樹,再生継続型次世代ビデオオンデマンドシステムの実現,科研費・基盤研究B(代表者),2016~2018年
(3)安福健佑 多様な災害に対応する避難行動モデルの精緻化とロバストな避難安全性の評価,科研費・基盤研究C(代表者),2016~2018年
Doctorial Thesis
(1) 李ロウン「工業衰退地とその近傍における文化芸術活動を起点とした地域再生に関する研究」2017.9
Master Thesis
(1) 板倉彰吾「土壌汚染を内包する産業ランドスケープの再生に関する研究」2018.2
(2)枝元翔子「理想の住まいを目指した日本建築学会と日本建築協会による住宅博覧会の比較考察 -平和記念東京博覧会と桜ヶ丘住宅改造博覧会を事例に -」2018.2
(3)中村勝広「大阪府中崎町界隈の創造的な活動によるまちづくりに関する研究」2018.2
(4)平岡志織「シャルロット・ペリアンの作品にみる「unity」の精神とその変遷」2018.2
(5)廣畑佑樹「大学の設計課題における建築デザインの指導方法に対する考察 -学生のパーソナリティと設計プロセス及びそれらの関連調査を通して-」2018.2
(6)趙曼「Efforts for Revitalizing Cultural Landscape Triggered by Creative Activities in Remote Areas with Environmental Damage 」2018.2
(7)卞雄洙「避難行動シミュレーションを用いた最適経路選択に関する研究」2018.2

Undergraduation Thesis

(1) 畦上駿斗「東日本大震災及び福島第一原発による被災地域・山木屋地区の変遷とゆくえ -飯舘村・浪江町・富岡町・山木屋地区をめぐる諸相-」2018.2
(2)泉本淳一「言説にみる建築家集団アーキグラムの建築思想に関する研究 -批評家レイナ一・バンハムとの比較を通して -」2018.2
(3)一里山健「美術館の鑑賞経路における展示物と空間深度に関する研究 -Google Art Projectによる分析-」2018.2
(4)北村政尚「建築分野における「脱構築主義」に関する研究 -MoMAにおける展覧会とベルナール・チュミを事例として-」2018.2
(5)新家鼓子「劇団『維新派』の仮設舞台構成プロセスおよび"場所"との関係性」2018.2
(6)山田顕太郎「建設業界の職別工事業者における労働環境についての研究」2018.2
Diploma Design
(1)畦上駿斗 "まちが避難解除されて一年 僕がこのまちと関わって半年" 2017年度卒業設計
この作品は福島の原発事故によって6年間の避難指示が出されていた川俣町山木屋地区にある農家の改修提案である。しかしこの作品の本質はそこではない。背景にある放射能汚染の実態や作者の住民との対話のプロセスに目を向けることで、これが単なる「改修工事」でないことが見えてくる。地区は昨年4月に避難指示が解除されたが、山林の除染は手付かずであり帰還希望者は少なく、すぐに生活を再開できるわけではない。作者は頻繁に現地に通い、避難所や農家を廻って膨大な情報を収集し、多くの被災者と対話を繰り返すことで町の未来を語り合った。そこで生まれた地域の人々との密接な繋がりや合意形成の数々は単なる「農家の改修工事」の域を超えて地区を纏める「コミュニティデベロップメント」に発展していることに気づくであろう。この作品にはこれまでの卒業設計では見ることのできなかった実際の「まちづくりプロセス」の事実と活動の記録が散りばめられており、作者が取り組んだ膨大な努力とそこで得られた貴重な成果として高く評価できるものである。


""まちが避難解除されて一年 僕がこのまちと関わって半年", 2017年度卒業設計


(2)泉本淳一 "明き間のファンファーレ" 2017年度卒業設計,仙台デザインリーグ100選
この作品は大都会の雑踏の中で、ある時ふと感じる「孤独」の感触を「昂」「紺」「静」「求」「抱」「遊」の6つの建築(フォリー)に具象化している。そして作者はそれらが「孤立」や「悲哀」とは異なる「ラグジュアリー」であるとうそぶきつつも、人の内面にある他者との葛藤や自己矛盾、絶望や高揚と言った心象を作者の研ぎ澄まされた造形感覚と漱石の乾いた引用によって的確に描き出しており、その作品は極めて秀逸である。それはイングマール・ベルイマンが「沈黙」で描いた姉妹の肖像のように息が詰まるほど完璧なバランス感覚と絶妙の構図を保っている。そして「スプートニクの恋人」のように他者を寄せ付けない強度を持っている。さらに作者に望むとすれば目を叛けたくなるような猥雑さや測り知れない混沌を作品に込めることだけかもしれない。


""明き間のファンファーレ" 2017年度卒業設計


(3)一里山健 "七つの落し物 " 2017年度卒業設計
この作品はアートによるまちづくりを目指す大阪北加賀屋地区の活動を支援するために7つの活動拠点のリノベーションを提案している。それぞれ拠点には個々の異なるテーマと建築操作があり、全編を通して優しいタッチのドローイングは効果的で大層美しい。また壁による境界の開放や視線操作の効果についてはうまく判断できないが、作者の当該地域の活動への強い共感と思い入れは共感できる。おそらくこの作品の強度は使い慣れた建築的、物理的な操作ではなく、サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」で語られるような、それぞれのプロットが持つ繊細で詩的な心象風景の物語を語ることによって得られるであろう。


" "七つの落し物 " 2017年度卒業設計


(4)北村政尚 "ラングとパロール" 2017年度卒業設計, 大阪大学卒業設計優秀賞、
この作品は原広司が指摘した大都市の高密で均質な空間を低密でポーラスな空間に置き換えるためのプロセスである。ここで作者は構造主義的な立場で建築をラングと見なし、パロールとエクリチュールの関連を切断して再構築することを提案する。それはこれまでの社会の階層構造が高度情報化社会の到来によって崩壊し、無階層の情報が空間を支配することを意味する。そしてダイソンが語った「チューリングの大聖堂」のように、これまでの空間、時間、建築といった旧来の概念は消失し、溢れ出しや界隈性のような聞きなれた建築用語も姿を消して、ただ意味を持たない「タグ」の集合がそれぞれの立場と形態を置き換えながら新たな秩序を構築していく。そして最後に求められるものは「電気羊の夢」を実現することなのかもしれない。


""ラングとパロール" 2017年度卒業設計


(5)新家鼓子 "From 0" 2017年度卒業設計
この作品は不要になった貨物コンテナを利用した移動式仮設劇場の提案である。作者は卒業論文でも維新派を中心に仮設舞台の研究を行っている。ここではその知識を活かして様々な主人公を設定した楽屋や宿舎を含む劇場空間を作り出しており、斬新な提案として評価できる。またこの作品のテーマを補強するなら、敷地設定したゴルフ場が他の一般的な公園や広場とは異なる特殊性に注目することで、そこでなければ演じられない演目を想定すればなお一層の効果を発揮できたように思われる。今後の研鑽を期待したい。


" "From 0" 2017年度卒業設計


(6)山田顕太郎 "ほっこり畑とさくらの木" 2017年度卒業設計
この作品は作者自身の実家のリノベーションの計画である。それは作者にとってもっとも身近なテーマであるが家族が今抱えている問題やこれまでの歴史を振り返る良い機会であったと思われる。また同時にこれからの山田家の未来について熱く語る様子には大変好感が持てる。図的表現も非常に美しく改修後の風景やそこで営まれる様々な情景が力強く伝わってくる力作に仕上がっており高く評価したい。ただ木造家屋の改修に必要な建築構造や工法・材料についての説明にはやや不十分なところも見られるので今後の研鑽を期待する。


" "ほっこり畑とさくらの木" 2017年度卒業設計

April/2016-March/2017

Journal articles
(1)Tomoko Miyagawa, Noriko Otsuka and Hirokazu Abe,LESSONS FROM THE INTERNATIONAL COMPARISON OF CONTAMINATED LAND POLICIES WITH RISK GOVERNANCE IN JAPAN, THE NETHERLANDS, AND THE UK,International Journal of GEOMATE,10(21) 1899-1905,2016年05月
(2)宮川 智子, オルバー クレア, 大塚 紀子, 黒瀬 武史, 阿部 浩和,英国チェシャー地方における環境再生による土地利用の変化とパートナーシップの形成,ランドスケープ研究,79(5) 555-558,2016年06月
(3)マルチエージェントシステムによる歩行者行列の再現と追従行動が及ぼす群集流動の分析,安福健祐,日本建築学会計画系論文集,第81巻, 第722号, pp.821-829,2016年04月

International Conference Papers
(1)Noriko Otsuka, Tetsuo Yasutaka, Hirokazu Abe, Tomoko Miyagawa,APPLYING THE GREEN INFRASTRUCTURE CONCEPT FOR REGENERATING THE REGION AFFECTED BY THE NUCLEAR ACCIDENT IN THE FUKUSHIMA PREFECTURE,THE 10th EUROPEAN CONFERENCE ON ECOLOGICAL RESTORATION ABSTRACT VOLUME,p179,201608
(2)Yuto Isehara, Hirokazu Abe, Noriko Otsuka,REVITALIZING POST-INDUSTRIAL LANDSCAPES THROUGH GREEN INFRASTRUCTURE (GI) IN JAPAN,THE 10th EUROPEAN CONFERENCE ON ECOLOGICAL RESTORATION ABSTRACT VOLUME ,p178,201608
(3)Shoko EDAMOTO, Hirokazu ABE, Kensuke YASUFUKU,THE SPACE RECOGNITION BY THE IMAGE MAP TEST USING A PARAGRAPH WITH ARCHITECTURAL DEPICTIONS,Proceedings of the 17th International Conference on Geometry and Graphics,TS1-B-3,201608
(4)Junpei HIGASHIGAKI,Kensuke YASUFUKU,Hirokazu ABE,STUDY ON BOUNDARY AND BORDER IN THE CITY USING SPACE SYNTAX THEORY,Proceedings of the 17th International Conference on Geometry and Graphics,TS1-B-3,201608
(5)Kensuke YASUFUKU,DEVELOPMENT OF AN ANALYSIS TOOL FOR OPTICAL FLOW ON ARCHITECTURAL WALK-THROUGH SYSTEM,Proceedings of the 17th International Conference on Geometry and Graphics,201608
Conference Papers (Domestic)
(1)阿部浩和、李ロウン、安福健佑,街路空間評価におけるディープラーニングの適用可能性,日本図学会秋季大会学術講演論文集,pp85-90,2016年11月
(2)山出美弥、阿部浩和、宮川智子,製塩業による環境被害の変遷からみた都市部近郊における産業遺産施設の保存活用に関する研究 英国ソルトスケーププロジェクトを対象として,日本建築学会大会学術講演梗概集,No.7039, pp121-122,2016年08月
(3)李ロウン、阿部浩和,創造的活動によるまちづくりと取り組み 大阪市梅香・四貫島の空き家活用を事例として,日本建築学会大会学術講演会梗概集,No.5440, pp891-892,2016年08月
(4)安福健祐,高嶋彰,松井俊成,武内芳夫,秋月有紀,北後明彦,大規模可視化システムを用いた津波避難誘導灯の誘目性検証実験,日本図学会2016年度秋季大会(東京)大会学術講演論文集, 51-54,2016年11月
(5)北後明彦,高嶋彰,秋月有紀,田中健一,ピニェイロ アベウ タイチ コンノ,鈴木広隆,安福健祐,照明による津波避難誘導の社会実験~南あわじ市福良地区の事例(その1)実験概要と実験環境,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp.315-316,2016年08月
(6)秋月有紀,橋谷嘉明,高嶋彰,北後明彦,鈴木広隆,ピニェイロ アベウ タイチ コンノ,安福健祐,田中健一,照明による津波避難誘導の効果に関する研究(その3)GPSを用いた避難行動特性分析,2016年08月
(7)安福健祐, 高嶋彰, 武内芳夫, 秋月有紀, 北後明彦, ピニェイロ アベウ タイチ コンノ, 鈴木広隆, 田中健一,照明による津波避難誘導の効果に関する研究(その2)住民と想定観光客の避難行動特性分析,平成28年度(第49回)照明学会全国大会講演論文集,03-06,2016年08月
(8)高嶋彰,北後明彦,秋月有紀,鈴木広隆,安福健祐,ピニェイロ アベウ タイチ コンノ,田中健一,照明による津波避難誘導の効果に関する研究(その1)実験概要と実験環境,平成28年度(第49回)照明学会全国大会講演論文集,03-05,2016年08月
(9)武内芳夫,北後明彦,安福健祐,秋月有紀,ピニェイロ アベウ タイチ コンノ,鈴木広隆,高嶋彰,照明による津波避難誘導の社会実験~南あわじ市福良地区の事例(その3)想定観光客の夜間避難行動分析,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp.319-320,2016年08月
(10)秋月有紀,高嶋彰,ピニェイロ アベウ タイチ コンノ,北後明彦,武内芳夫,鈴木広隆,安福健祐,照明による津波避難誘導の社会実験~南あわじ市福良地区の事例(その2)住民の避難行動分析,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp.317-318,2016年08月
(11)安福健祐,光学的流動に基づく建築空間分析ツールの開発,日本図学会2016年度春季大会学術講演論文集,pp.113-118,2016年05月

Grants
(1)阿部浩和、環境汚染を内包する産業ランドスケープのGI化のためのプラットフォーム構築,科研費・基盤研究B(代表者),2016~2018年
(2)義久智樹,再生継続型次世代ビデオオンデマンドシステムの実現,科研費・基盤研究B(代表者),2016~2018年
(3)安福健佑 多様な災害に対応する避難行動モデルの精緻化とロバストな避難安全性の評価,科研費・基盤研究C(代表者),2016~2018年
Master Thesis
(1) 伊勢原宥人 " 日本におけるブラウンフィールド再生戦略としてのグリーンインフラ開発の可能性 " 2017.2
(2) 榎本拓朗 " VRを用いた色彩及び肌理による空間知覚特性に関する研究―ル・コルビュジエとルイス・バラカンの住宅を事例として― " 2017.2
(3) 大西直彌 " 都市再生推進法人のエリアマネジメント事業に関する研究 " 2017.2
(4) 藤井一弥 " ディープラーニングを用いた景観評価の手法に関する研究-京都における伝統建造物群保存地区を対象として- " 2017.2
(5) 東垣純平 " 都市において認識される境界の発生要因とまちづくり主体が定める計画における位置付けに関する研究 " 2017.2

Undergraduation Thesis

(1) 加藤桃子 " 奈良県における山岳寺院の参拝順路に見られる場面展開に関する研究 " 2017.2
(2) 木下美佳 " 熊本地震応急仮設住宅計画における " みんなの家 " の成り立ちと実態に関する調査 " 2017.2
(3) 孫菁瑶 " 中国北京南鑼鼓巷地区における四合院の保存と再生の課題 -伝統四合院住宅の居住状況および観光利用実態に着目して- " 2017.2
(4) 畠山望 " 近代化産業遺産における炭鉱遺産の現状と保存・活用についての研究 " 2017.2
(5) 見尾知代 " 美術館・博物館における展示空間を含む利用者領域の建築平面図面情報の抽出による形態特性に関する考察 " 2017.2
(6) 三宅咲紀 " 小児ホスピス施設における現状と空間構成 " 2017.2

Diploma Design
(1)加藤桃子 " 刻 " 2016年度卒業設計
この作品は新幹線の福山駅前に建つ巨大な構築物である。作者はこれを福山という街で何気なく過ごした時間やごく日常の記憶を " 刻 " む場所だと語っている。それは計算機(コンピュータ)の記憶集積装置(ストレージ)として理解することもできる。無限に積層されたレイヤー(スラブ)とそれを穿たれて出来た内部空間は特に機能を持たない。また積層部は人を寄せ付けない強度を持ち、その姿は凛として非常に美しい。それはあたかもS.キューブリックが示したモノリスのように突然そこに出現し、未知の啓示を与えるものとして存在する。作者が語るfu-ku-ya-maという地域のコンテキストは分節化され、内部空間における人の行為を誘発するアフォーダンスのダイアグラムとともに、世の中の全ての情報が暗号化され、この装置の奥深くに格納される。この作品を個人情報が人の記憶や行為も含めて管理される未来社会への警鐘として眺めたとき、そのデザインはMITのW.ミッチェルが " サイボーグ化する私 " で指摘した連続する建築レイヤーにおける新たな価値として理解することになるのかもしれない。


"刻", 2016年度卒業設計


(2)木下美佳 " 学校畔道 " 2016年度卒業設計優秀賞(阪大)、建築家協会(全国)卒業設計コンクール1位(金賞)受賞
まず何と言っても作者の圧倒的な描画力はこれまで見た卒業設計作品の中でもトップクラスである。さてこの作品は長閑な田園風景が広がる子供たちの通学路に突然蜃気楼のように現れた仮設の小学校である。場所は熊本県益城町。昨年の大震災で被災したこの地域は1年が経過した現在も復興はあまり進んでいない。崩れ落ちた家屋が残る風景の中で、悲しい記憶と将来への不安は今も仮設住宅で暮らす住民の生活に暗い影を落としている。この施設は震災によって部分的に使えなくなった小学校を補完し、辛い思いをした子供達を励ますために建設された臨時の学校施設でもある。急ごしらえのためアドホックな印象を受けるが構造的には十分計算されている。そこには作者の優しい思いと様々な工夫が凝らされている。起伏のあるアーチ状の建築は背景の山並みに調和し、教室はこの上ない明るい光と輝きに溢れている。辛い時期だからこそ、束の間の夢の世界は現実となって傷ついた子供達の心を救う契機になって欲しいと願っている。また子供たちの笑顔が被災した住民を勇気づけてくれることを願っている。やがて町が復興し住民の生活に日常が戻った時この施設の役目も終わることになる。ただ子供達にとって、この通学路で学んだ記憶はタルコフスキーが描いた " ノスタルジア " のラストシーンで現れる大聖堂のように故郷の風景の一つとして活き続けるであろう。


"学校畔道", 2016年度卒業設計優秀賞、建築家協会(全国)卒業設計コンクール1位(金賞)受賞


(3)孫菁瑶 " 柴合院 " 2016年度卒業設計, 大阪大学卒業設計優秀賞、仙台デザインリーグ100選,2016.2
この作品は北京の歴史保存地区に計画された集合住宅の提案である。広大な国土を持つ多民族国家である中国にとって、北京には異なる宗教や文化、生活習慣を持つ多くの人々が肩を寄せ合って暮らしている。高度経済成長を遂げた現代中国にあって、この地区は保存地区でありながらも、地方から職を求めて集まった多くの人々が狭い路地奥に暮らしており、その居住環境は極めて悪い。この作品は中国の伝統建築様式である四合院の形式を用いながらも7つの民族が共に暮らすことが出来る集合住宅のデザインを細心の注意を払って設計している。ここで作者が多様な民族の対立と融和に真摯に向き合っている点で高く評価したい。4つの中庭に面する7つの家族はそれぞれの文化習慣に配慮して配置され、王?を彷彿とさせるリズミカルな大屋根で拡張された2階部分に交流を促す共用空間を連続させることで独自の建築形態を生みだしている。またそのデザインは周囲の歴史保存地区に溶け込みながらも新たな建築様式を提示していて秀逸である。


"柴合院、大阪大学卒業設計優秀賞、仙台デザインリーグ100選"


(4)畠山望 " promenade 時代を醸すワイナリー " 2016年度卒業設計, 仙台デザインリーグ100選
この作品は広大なぶどう畑が一面に広がる北海道空知に計画された醸造所である。よく見ると長閑な田園風景の中に奇妙な形をした鉄塔が忽然と現れる。実はここはかつて日本有数の産出量を誇った炭鉱都市でもあった。そしてこの鉄塔は坑夫達を地下深くに運んでいた昇降装置(立坑)でもある。産業施設の中でも炭鉱施設は当時の過酷な労働環境に起因するネガティヴなイメージから活用が難しく放置されるケースも多かったが、作者はこの地をぶどう畑で埋め尽くし、新たな産業としての醸造所(ワイナリー)をかつての炭鉱施設の遺構に重ね合わせることで地下空間をデザインしている。田園風景のところどころに散見される歴史の痕跡は丁寧に再構築されて醸造所の中に組み込まれており、その内部空間の展開はリベスキンドの博物館を彷彿とさせる。この作品はここを訪れる人々を北海道開拓当時の黎明期に誘っている。


"promenade 時代を醸すワイナリー,仙台デザインリーグ100選"


(5)見尾知代 " 井の中のカワズ大海を知らずも花は散りこみ月は射す " 2016年度卒業設計
この作品はニュータウンに建つ図書館の設計であり、深い森に囲まれた水辺にたたずむ作者の原風景を描いているのかもしれない。この図書館は水辺の景色を取り込みながら滑らかに展開し、周囲のランドスケープと一体化したデザインは大層美しい。また連続して続くガラスの壁の向こうには果てしなく広がる森が " 大海 " を遮っている。この図書館には多くの蔵書があり大海に出ていかなくても世の中のすべての記憶が蓄積されている。あたかも村上春樹が " 世界の終り " の章で描いた図書館のように夢を読むことさえできるかもしれない。そしてその主人公のように作者もまたこの " 井 " から抜け出し " 大海 " に出ていく決意を固めたのかもしれない。おそらく外界には様々な歓喜と試練と新たな出会いが待ち受けているはずである。できれば勇気を振り絞って次の章に進んで行っていただきたい。


"井の中のカワズ大海を知らずも花は散りこみ月は射す、2016年度卒業設計"


(6)三宅咲紀 " ミチノエキ-花束- " 2016年度卒業設計
昭和初期の繁華街として賑わった中心市街地のアーケード型商店街も消費者の生活スタイルの変化や郊外への人口流出など様々な要因から客足が減少し、多くの地方都市でその衰退が進んでいる。この作品で取り上げた岡山市の西大寺町商店街もその例外でなく、街を維持してきた店主の高齢化や後継者不足の問題も重なって廃業や撤退が相次ぎ、シャッターを閉ざした店舗が多くみられる。しかし店を閉ざした建物の上階や裏側には、そこに暮らす住民達の昔ながらの生活が残っている。作者は商店街を構成する個々の建物を残しながらも、新たな動線を立体的にめぐらすことで1つの共同体を作り上げようとしている。この作品では上品な色調で軽やかに描かれた未来への " 花束 " の幕が上がったところだ。そしてこれから始まる新たなまちづくりの演目が観客を待ち受けている。この舞台の書割には、 " ウエストサイドストーリー " で使われた路地裏の背景が用意されており、そこで演じられる様々な家族の物語が詰まっている。この作品は、寂れたシャッター街としての様相が視点を変えれば新たなコミュニティの複合体として、中心市街地の至便性を享受できるコンパクトシティの舞台として読み替え得ることを示唆している。


"ミチノエキ-花束- 2016年度卒業設計"

April/2015-March/2016

Journal articles

(1)李ロウン 阿部浩和, " 工場跡の利活用に伴う文化芸術教育活動の現状と可能性 " ,建築教育研究論文報告集,No.15 pp21-26,2016.1
(2)安福健祐 " マルチエージェントシステムによる歩行者行列の再現と追従行動が及ぼす群集流動の分析 " ,日本建築学会計画系論文集,第81巻, 第722号, pp.821-829,2016.4
(3)李ロウン, 阿部浩和,福井美弥、橋寺知子 " 産業遺産の利活用を契機とした芸術活動による自立的まちづくり事業の可能性 -北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想を事例として- " ,日本建築学会計画系論文集,第81巻, 第722号,2016.4

International Conference Papers
(1)Yuto Isehara and Hirokazu Abe, " Revitalising post-industrial landscapes through GI in Japan " ,International Workshop on Brownfield regeneration 2016 with Green Infrastructure (GI): Creating a Culture and Values,2016.3
(2)Hirokazu Abe and Miya Yamade, " Brownfield Regeneration and Risk Communication after Decontamination of Severely Soil Pollution " ,International Workshop on Brownfield regeneration 2016 with Green Infrastructure (GI):Creating a Culture and Values,2016.3
(3)Tomoko Miyagawa, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe,Lessons from The International Comparison of Contaminated Land Policies with Risk Governance in Japan, The Netherlands and The UK,Proceedings of Fifth International Conference on Geotechnique, Construction Materials and Environmenteedings,pp771‐776.,2015.11
Conference Papers (Domestic)
(1)東垣純平、安福健祐、阿部浩和, " スペースシンタックス理論を用いた都市の境界に関する研究 -オリンピックパーク跡地を事例として- " ,日本図学会学術講演論文集,2015.11
(2)矢吹和也、安福健祐、阿部浩和, " Deep Learningを用いた景観評価の手法に関する基礎的研究 " ,日本図学会学術講演論文集,2015.11
(3)山出美弥、阿部浩和、 " 原発事故後の情報の発信・伝達における意識差に関する研究 " 日本建築学会大会学術講演梗概集,No.7214, pp.435-436,2015.9
(4)東垣純平、阿部浩和, " 夏季オリンピック開催後の会場施設の現状‐オリンピックレガシーに関する研究‐ " ,日本建築学会大会学術講演梗概集,No.7237、pp493-494,2015.9
(5)大西直彌、阿部浩和, " 現代住宅の緩衝空間における五十嵐淳の " バッファー空間 " の位置づけ " ,日本建築学会大会学術講演梗概集,No.9216, pp431-432,2015.9
(6)東野秋二,木戸善之,安福健祐,伊達進,清川清,下條真司,竹村治雄, " 大型可視化装置における可視化事業の事例について " 大学ICT推進協議会2015年度年次大会論文集,1I4-2,2015.12

Grants
(1)阿部浩和、シビアな環境汚染除染後のブラウンフィールド問題とリスクコミュニケーションの課題,科研費・基盤研究B(代表者),2013~2015年
(2)義久智樹,科学研究費補助金,若手研究(A)(代表者),次世代オンデマンド型視聴形態のためのコンテンツ配信方式,2011年4月~2015年3月
Master Thesis
(1)西尾俊輝 " ターミナル型複合施設内広場の空間特性の把握と利用実態の調査ー大阪ステーションシティを対象としてー " 2016.3
(2)松本拓弥 " パーミアビリティに基づく路地空間評価システムの開発 " 2016.3
(3)矢吹和也 " ディープラーニングを用いた景観評価の手法に関する基礎的研究 " 2016.3
(4)和田一馬 " 建築物の外観デザインの表象化プロセスと 言語から見る建築のイメージに関する研究 " 2016.3

Undergraduation Thesis

(1)板倉彰吾 " 図書館の多様性と複合性に関する研究 " 2016.3
(2)枝元翔子 " 建築描写のある文章を用いたイメージマップテストによる空間認識 " 2016.3
(3)大崎圭祐 " 都市の縮退化を背景とした都市再生事例の定量的評価に関する研究ーStadtumbau Ost(東部ドイツ都市交通改造プログラム)を事例としてー " 2016.3
(4)中村勝広 " 京都中心市街地における路地空間の利用実態とその日常性に関する研究ー四条烏丸界隈を事例としてー " 2016.3
(5)平岡志織 " 国内外のAIR活動における施設整備と運営主体の意識 " 2016.3
(6)廣畑佑樹 " 大阪市営地下鉄の空間構成と避難深度に関する研究 " 2016.3
(7)卞雄洙 " 大学キャンパスにおける留学生の学修場所としてのサードプレイスに関する研究 " 2016.3

Diploma Design
(1)平岡志織, " Episode#6 " , 2015年度卒業設計 最優秀賞受賞
この作品はかつて造船業で栄えた大阪市南西部北加賀屋の木津川沿いに計画されたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)である。ここは近年の社会産業構造の変化に伴い多くの製造業が撤退して、使われなくなった空き工場や空き倉庫が立ち並ぶ地域である。その中で旧名村造船所跡地が近代化産業遺産に登録されたことを機に、この周辺地域に多くの芸術家が集まり、 " 北加賀屋クリエイティブビレッジ " として自立的なまちづくりが進められている。ここで提案されるAIRはこのようなコンテキストの中にあって、芸術活動を行う作家が一定期間、滞在しながら制作活動を行うことを目的とした事業である。作者が示すシナリオは、領域を隔てるセキュリティとしての防潮堤の中に組み込まれた概念上の操作として存在しており、それらは現実の建築物であると同時に、一つのインスタレーションでもある。そしてケーススタディとして語られる6人の著名な芸術家たちの営みは断片化された詩的な表象として、M.プルーストの回想のように必ずしもあったままの形で留まっているとは限らない過去の記憶の隠喩として説得力を持っている。また堤防に沿って連続する隔壁の積層は建造中の船のキール(竜骨)を暗示するものとして、かつてこの街が繁栄した時代を彷彿とさせる。これらすべては作者が失われた時を求めて辿った街の記憶と個性的な作家達が織りなす束の間の饗宴である。


"Episode#6", 2015年度卒業設計 最優秀賞受賞

(2)中村勝広, " 幻影 " , 2015年度卒業設計優秀賞受賞,Kyoto Diplomaファイナリスト
この作品は都市化が進む大阪市中崎町に立つ記憶の断片である。この地域は昔ながらの長屋と下町の生活が残る地域として近年、若者や芸術家が集まり庶民的な雰囲気を生かしたまちづくりが進められてきたが、梅田の繁華街に隣接していることから大規模資本の投資が進み、老朽家屋が取り壊されて、高層マンションなどが建設されつつある。作者はこのような大資本に対抗する勢力の拠点としてこのモニュメントを設計した。そこには中崎町にあった長屋やそれらを繋ぐ路地空間が乱雑に積み重ねられており、西部劇に出てくる砦のように、かろうじてここに踏みとどまっている若い芸術家の雄姿を想起させて秀逸である。ただ時間的制約のために、立面のドローイングや模型の濃密さに比して、建築設計の深度と平面の単純さにはやや物足りなさを感じる。今後一層の研鑽を期待したい。


"幻影", 2015年度卒業設計優秀賞受賞,Kyoto Diplomaファイナリスト

(3)板倉彰吾, " 時を編む " , 2015年度卒業設計、Kyoto Diplomaファイナリスト
この作品は新たな国会議事堂の提案である。作者は国民の政治への無関心が広がっていることについて危惧を感じており、それは国会の情報公開の在り方に問題があると指摘する。昨年は安全保障関連法への反対運動や選挙資格の年齢引き下げなどが話題となったが、このような政治の動きに対して若い世代が真剣に向き合っていることは重要である。ここでは国政の中心である国会議事堂の地下に巨大な図書館を併設させることで、国民が身近に国政に触れる機会を提供するとしており、建築的には現在の議場だけを残してその他の施設をすべて地下に移すことで、地上の議事堂建築の大半を一般に解放することを目指している点に新規性があり高く評価できる。ただここで示された図書館は円形の巨大なユニバーサルスペースであるが、林立する列柱を中心にボロノイ分割された書架にどのような意図があるのか、また国会機能と図書館機能がどのように共存しオペレーションされるのかについては不明であり、建築設計の深度に不十分なところが散見される点は大層惜しまれる。今後の研鑽を期待したい。


"時を編む,Kyoto Diplomaファイナリスト"

(4)枝元翔子, " ちいさなねこのくにのものがたり " , 2015年度卒業設計,仙台デザインリーグ50選
この作品は一見、擬人化された猫の世界を描いたファンタジーと見ることもできるが、実は地方都市の郊外に造成された住宅地において深刻化する人口減少と高齢化による社会問題を取り上げた風刺画でもある。作者は過疎化によって孤立する高齢者の問題を空き家に住み着いた野良猫の視点で眺めることで、先行きの不透明なこの課題を乗り越えようとしている。そこには作者の優しい思いやりの断片が散りばめられている。村上春樹が1Q84で描いた猫のまちで老齢化した父親と対面したもう一つの世界のように、またここで擬人化された猫の物語は幕間の寸劇のように束の間のこころ休まるおとぎ話を聞かせてくれているのかもしれない。ただこの作品の建築設計としての課題は、その内装意匠によって導かれる説得性と背景となる社会問題への描写にやや不明瞭さが残る点であろう。今後の研鑽を期待したい。


"ちいさなねこのくにのものがたり,仙台デザインリーグ50選"

(5)廣畑佑樹, " PALETTE " , 2015年度卒業設計,仙台デザインリーグ100選
この作品は大阪都心に立つ小学校の提案である。ここでは大小の異なるボックスカルバート型の構造体が入れ子状に組み合わされた構成になっている。作者は在学する6年間の児童の身体スケールの違いに着目して、その組み合わせ方法を詳細に検討しており、要求される必要諸室の取り合いと同時にその隙間にできる立体的な空間のつながりを生かすことで全体をうまく構築している。丘状に積み上げられた建築形態の軽快さと特徴的な透明感は秀逸であり、その設計深度は極めて緻密で十分な検討がなされていることが伺える。ただここで検討された構成(成果)の一つ一つのバリエーションがこの建物のどこにどのように生かされているかを断面図や平面図或いはダイアグラムに具体的に示すことができれば十分な説得力を持ったように思われる。ここでは設計図面というプレゼンテーションにおいてその成果が十分に表現しきれていないために、全体として希薄な印象を受ける点は大層残念である。今後一層の研鑽を期待したい。


"PALETTE、仙台デザインリーグ100選"

(4)大崎圭祐, " The ark of city " , 2015年度卒業設計
この作品は大阪市北部の柴島浄水場跡を利用した農業公園の提案である。ここはJR新大阪駅の南東800mに位置し、面積は約50haの広大な敷地で大阪市はこの立地を生かして再開発することを目的に売却を決定した。しかしながら作者は近年の都市縮退のコンテキストにおいて再び新たな都市開発や巨額の設備投資をするのでなく、公園として緑化し市民のリクレーションのための場として活用することで持続可能な未来への提案としている。また農業をテーマとしていることもこの作品の特徴である。ただ計画ではビジターセンターの設計に留まっており、この広大な敷地全体を具体的にどう生かしていくかについては抽象的である。この提案に共感を得るためにはもう少しきめの細かいゾーニングや季節ごとの風景を示すと共に、農業が全体をオペレーションする枠組みを具体的に設計する必要があると思われる。今後一層の研鑽を期待したい。


"The ark of city"

(4)卞雄洙, " mercuric dance " , 2015年度卒業設計
この作品は作曲家細野晴臣の " mercuric dance " を建築として可視化したインスタレーションである。これまでも音楽と絵画や建築の読み替え(視覚化)をテーマとした作品はカンディンスキーやクレーなどにもみられるが、作者は音楽から変換された建築よりも空間化のプロセスを用いて音と空間の関係を示すことに重点を置いたと述べており、これは新たな具体化のプロセス或いは建築の造形原理としての魁になるものとして期待したい。ただここで示されている形態はまだ彫刻のレベルであり、建築としての空間性やアクティビティ、アフォーダンスを有していない点において、未完成と言わざるを得ない。またこの試作の対象として何故、細野の作品を選んだのかについても語られていない。あくまで操作に意味を見出すのであれば " 世界の終わり " でシャフリングしたような描写をともなう必要があろう。今後一層の研鑽を期待したい。


"mercuric dance"

April/2014-March/2015

Journal articles

(1)安福健祐, " 自己駆動粒子による群集流動モデルの特性と建物避難安全性評価 " , 混相流, Vol.29,No.1, 2015.3
(2)Hirotaka Suzuki,Ai Sakaki,Kensuke Yasufuku,Takashi Matsumoto,"Designing of lampshade with 3D CG application and manufacturing of designed shape in graphic science education", International Journal of Computer Applications in Technology,Vol.51, No.1, pp.9-14,2015.3.

International Conference Papers
(1)Takuya Matsumoto, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, "Evaluation of Passing Performance of Self-Driven Particle Through Building", Proceedings of the16th International Conference on Geometry and Graphics,No.149 in DVD, 2014.8
(2)Kazuma.Wada and Hirokazu.Abe, "A Study on Morphological Interpretation of the Facade Design and Form Design in Architecture", proceedings of 16th International Conference on Geometry and Graphics, No.36 in DVD,2014.8
(3)Akira.Takahashi and Hirokazu.Abe, "Evaluation of Spatial Ability by Using a Silhouette of Solid Figure in Graphic Science Education", proceedings of 16th International Conference on Geometry and Graphics, No.63 in DVD,2014.8
(4)Hirokazu Abe, Lee Lowoon and Shan Xiaotong , "Brownfield regeneration through image branding - Case of Former Namura Dockyard -", German-Japan Workshop on Brownfield Regeneration 2015 (Osaka), 2015.3
(5)Kensuke YASUFUKU, "COMPUTATIONAL ANALYSIS OF ARCHITECTURAL VISUAL SPACE ALONG WALKING PATH BY USING VIRTUAL REALITY DISPLAY", Proceedings of the 19th International Conference of the Association of Computer-Aided Architectural Design Research in Asia CAADRIA 2014, pp.709-718, 2014.5
(6)Kensuke YASUFUKU, "ANALYSIS ON SEQUENCE OF ARCHITECTURAL SPACE BY USING VR WALK-THROUGH SYSTEM",Proceedings 16th International Conference on Geometry and Graphics, Digital Proceedings (ISBN:978-3-902936-46-2), pp.38-44, 2014.8
(7)Hirokazu Abe and Shan Xiaotong,"Public Perception and Stigma on Severely Contaminated Brownfield in Fukushima",Workshop on Brownfield Regeneration, Green Conversion and Risk Perceptions (Dortmund),2014.9
(8)N. Otsuka; H. Abe,"Greening brownfields to mitigate the perceived risks of land contamination: comparing postindustrial sites in Germany, England and Japan",Abstructs of the SRA-E2014,RISK PERCEPTION III No.2,2014.6
Conference Papers (Domestic)
(1)西尾俊輝 阿部浩和, " 都市型複合施設内広場における人の利用行為に関する研究 " ,日本建築学会大会学術講演梗概集, No.5246 in DVD,2014.9
(2)阿部浩和, 高橋彰, " 立体図形の影絵による空間認識能力の考察 ?回転視影絵認識テスト(MST)の開発? " , 日本図学会大会学術講演論文集, pp51-56, 2014.5
(3)和田一馬, 阿部浩和, 安福健祐, " 建築物のファサードデザインと形態の表象化に関する研究 " , 日本図学会2014年度春季大会(福岡)学術講演論文集, pp.19-24,2014.5
(4)松本拓弥, 安福健祐, 阿部浩和, " 自己駆動粒子による建築物の通過性能評価システムの開発 " , 日本図学会2014年度春季大会(福岡)学術講演論文集, pp.25-30,2014.5
(5)安福健祐, 瀧澤重志, 髙木尚哉, 谷口与史也, " 高精細タイルドディスプレイを用いた大規模地下街避難の3次元可視化 " , 日本図学会2014年度秋季大会(東京)学術講演論文集, ISSN:2189-0072, pp.139-142, 2014.11
(6)安福健祐, " 避難行動シミュレーションの現状 " ,災害シミュレーション懇談会(第12回), 大阪大学中之島センター, 2014.7
(7)安福健祐, " VRウォークスルーシステムによる建築空間移動時の視覚的シークエンスの分析 " , 日本図学会2014年度春季大会(福岡)学術講演論文集, pp.1-6, 2014.5
(8)安福健祐, “ウォークスルーシステムによる歩行経路に沿った視野空間変化の3次元分析,” 日本図学会2013年度春季大会(兵庫)学術講演論文集, pp.77-82, 2013.5

Grants
(1)安福健祐、スケーラブルな避難解析システムの開発と大規模避難の可視化, 科研費・若手研究B(代表者),2012~2014年
(2)阿部浩和、シビアな環境汚染除染後のブラウンフィールド問題とリスクコミュニケーションの課題,科研費・基盤研究B(代表者),2013~2015年
(3)義久智樹,科学研究費補助金,若手研究(A)(代表者),次世代オンデマンド型視聴形態のためのコンテンツ配信方式,2011年4月~2015年3月
(4)義久智樹,科学研究補助金.挑戦的萌芽研究,(代表者),再生途切れのない没入型コンテンツの放送型配信に関する研究,2011年4月~2014年3月
Books
(1)エドウィン・ガリア, 今村文彦, 佐野友紀, 安福健祐, 足達嘉信, 傘木宏夫, " 行動,安全,文化, " BeSeCu " 増補・日本版~緊急時,災害時の人間行動と欧州文化相互調査~ " ,フォーラムエイトパブリッシング, ISBN: 978-4906608065, 2014.11
Master Thesis
(1) 小谷雅人, 学生主体のまちづくりイベントにおける地域と学生の関係性からみた課題と役割に関する研究~滋賀県長浜市田根地区を事例にして~,2015.3
(2)つく田将紀, 近代における均質空間の完成にみるミース・ファン・デル・ローエの建築思想に関する研究,2015.3
(3)林喜志太, 大垣輪中における水屋の実態と居住者の意識構造に関する研究,2015.3
(4)林恭平, 歴史的社寺庭園の見学経路に見られる場面展開に関する研究?モーテーション記述表と3Dウォークスルーシステムによる評価を用いて?,2015.3
(5)間野泰弘, 市街地再開発事業におけるジェントリフィケーションの発生に関する研究,2015.3

Undergraduation Thesis

(1)伊勢原宥人, ヘルマン・ヘルツベルハーの提唱するpolyvalenceの平面形態との関連性及び日本教育施設における適用の研究,2015.3
(2)榎本拓朗, アーキグラムの図的表現と8つの用語との対応関係の分析?アーキグラムの建築思想に関する研究?,2015.3
(3)大西直彌, 日本の現代住宅における緩衝空間の研究-五十嵐淳の " バッファー空間 " との比較,2015.3
(4)藤井一弥, 廃止鉄道区間と沿線地域における社会構造に関する研究,2015.3
(5)東垣純平, 夏季オリンピック開催都市における会場施設のレガシーに関する研究,2015.3

Diploma Design
(1)伊勢原宥人, " 虚構のシャングリ=ラ " , 2014年度卒業設計 最優秀賞受賞
この作品はかつて大阪で開催されたEXPO70の跡地に埋め込まれた全長約1.2㎞に及ぶ巨大なアーカイブである。この敷地は、我が国が戦後の貧困から抜け出し先進国への変貌を遂げた高度成長の象徴であるとともに、反面多くの悩みを抱えることとなった現在社会の原点でもある。1970年 " 人類の進歩と調和 " をテーマに当時の科学技術の粋を集めた理想都市(Shangri-La)がここに出現した。しかし現在ではそのすべてが埋め立てられ、岡本太郎の " 塔 " 以外に当時の面影を留めるものは何もない。作者がこの作品に込めた思いは、この理想郷を見なかった世代にとって、失われた蜃気楼の残骸を発掘する考古学者のように、埋没した映像や資料を掘り起しアーカイブすることだったのかもしれない。その意味でこの作品が示すリニアーな形態と丁寧に整理されたA~Zまでの索引を示す塔(ゾーン)は我々の脳裏にある失われた記憶と見果てぬ夢を辿る僅かな道標として暗喩的に示されている。かつてソ連の映画監督タルコフスキーは " ストーカー " の中で、決して立ち入ってはいけないとされる " 変電所(ゾーン) " に理想郷を求めて侵入する人々の心理に潜む多くの悩みを克明に描写している。本作品が示唆するアーカイブは多くの悩みを抱えることとなった現代社会を見直す装置として、その原点となった1970年に我々を誘っている。


"虚構のシャングリ=ラ", 2014年度卒業設計 最優秀賞受賞

(2)藤井一弥, " 僕等への贈り物 " , 2014年度卒業設計優秀賞受賞,2015.2
この作品は富山市の住友運河跡に計画された児童公園施設とその地下に埋設された戦争博物館の提案である。かつてこの地が軍事工場として利用され、その後空襲で被災したことを静かに伝えようとしている。敷地に点在する5つのフォリーとそれらを繋ぐ空間の設計は秀逸であり、緻密に計画された動線に沿って見え隠れする風景の変化は非常に美しい。ただ作者はこの作品に込めた思いは何であったのか。児童公園という長閑な風景の中に、過去の傷跡が埋め込まれることで、我々は日常の生活の中で忘れていた悲しい出来事を垣間見ることになる。それは役目を終えた産業施設の再利用を通して、富山大空襲の犠牲者への鎮魂なのか、世界を相手に我が国が辿った戦争への反省であろうか。いま政府の歴史認識が問われている中で、作者はこの戦争をどのように捉え、なにを後世に贈ろうとしたのかについてもう少し語るべきであろう。


"僕等への贈り物", 2014年度卒業設計優秀賞受賞

(3)東垣 純平, " クルルの杜 " , 2014年度卒業設計
この作品は " 自然 " と一体化する都市空間を構築するためのプログラムの提案である。原点を既存樹木に置き、ボロノイ分割によって仕切られた区域を回転させながら積み上げることで、これまで見たこともない街区景観を生み出しており、その形態は非常にダイナミックで力強い。各層を回転させてできるテラス部分を緑化することで、これらの建物を周辺の緑に埋没させることに成功している。また敷地を埋める26の施設群の断面・立面を描いたパネルは圧巻である。ただこの街で営まれる生活や自然との触れ合いを具体的に語ることができれば飛躍的良くなると思われる点が大層惜しまれる。また改めて " 自然 " とは何かという根源的な疑問が付きまとう。この作品で提示された(ボロノイを使った)プログラムによって恣意性は排除されたにせよ、出来上がったものはやはり人工的な環境(ビルトエンバイロメント)であり、自然と人が共存できるかどうかは異なる次元の議論であろう。自然と人が共存するための方策は、ここで提示された26の施設とそれを取り巻く環境や敷地外のコンテキストとの関係性の中に見出されるのが一般的であろう。


"クルルの杜"

(4)榎本拓朗, " ピエロハーバーの意志 " , 2014年度卒業設計
この作品はかつて大阪北の中津高架下にあった芸術家村再現の試みである。全編に渡ってモノクロームの繊細な描画は、かつてのヌーベルバーグの映画のワンシーンを見るように即興的であり儚くも美しい。またプランに散りばめられた四角い平面(机)は高架のメタファというよりはむしろ、そこで演じられる演目の舞台(ステージ)として語られ、無造作に置かれた乱雑さにこそ、一瞬の輝きと価値を見出したい。この作品のタイトルであるピエロハーバーとはかつてここにあった芸術家村(カフェと小劇場)の名であり、作者はその意志を受け継ぎ、同じ高架下にその復活を果たそうとしている。ただそれを託された者の悩みは実はピエロハーバーという現象、すなわち隠れ家的な存在と乱雑で埃っぽい情景、薄暗い廃墟の中に潜む亡霊たちを、その貧困から解き放ち、明るく清潔な表舞台に立たせることではなかったというジレンマである。ピエロハーバーの意志は合理的な設計計画や論理的な配置計画の説明ではなく、このような亡霊たちと一緒になって即興的に演じる舞台芸術として語られるべきであろう。


"ピエロハーバーの意志"

(5)大西直彌, " 山の辺窯 ?ある陶芸家とその家族の物語? " , 2014年度卒業設計
この作品は陶芸作家のための住宅とその後展示館として終焉を迎えるまでの変遷を設計している。ここで和風木造家屋と室内情景の表現は控えめながらも秀逸であり、その移り変わる様子も無理をせず次第に形を変えていくといった配慮が大層面白い。優秀な大工は柱梁にどのような材料を使い、屋根のむくりを視野に入れてその佇まいを計算し、四季によって変化する風土といかに向き合うかを考える。陶芸という行為が素材と技術のもとに絶えず自らを見つめる行為によって表現される造形だとすれば、建築もまた素材を吟味し作者が有する技術と知識をもって自らを見つめ表現する造形であるといえる。唯一異なるのはその実作に要する費用と特定のクライアントがいることだけである。ただ建築家が寡黙になることを許されないのはそれ故でもある。


"山の辺窯 ?ある陶芸家とその家族の物語?"

April/2013-March/2014

Journal articles

(1)服部邦比古,阿部浩和, " 組合施行市街地再開発事業における公的支援から見た事業成立性に関する考察 " 日本建築学会計画系論文集 第78巻 第687号,1087-1093,2013.5
(2)福井美弥,阿部浩和,橋寺知子, " 産業遺産施設の保存活用の現状と事業主体の役割 " 日本建築学会計画系論文集 第78巻 第687号,1067-1076,2013.5
(3)髙橋彰,阿部浩和,大塚紀子,宮川智子, " 日英の土壌汚染地としてのブラウンフィールドにかかわる法的枠組みと規模推計 " 日本建築学会計画系論文集 第78巻 第687号,2013.5
(4)H. Abe, M. Hamano, M. Fukui,Evaluation of Spatial Imagination Ability in Reading,Journal for Geometry and Graphics,Volume 17, No. 1, pp.89-100, 2013.8.
(5)羅羽哲,阿部浩和,大邱市邑城区域における韓屋に接続する細街路空間の特徴,日本建築学会技術報告集,Vol. 19, No.43, pp1099-1104, 2013.10.
(6)福井美弥 阿部浩和,近代化産業遺産を活かした歴史学習の現状とその可能性,建築教育研究論文報告集,No.13, pp21-26,2013.11.
(7)福井美弥 阿部浩和,異なる文体における共起ネットワーク図の図的解釈,日本図学会、図学研究、141号、47巻4号、pp3-9, 2013.12.
(8)安福健祐, 柏木俊弥, 阿部浩和, “遺伝的アルゴリズムを用いた建物内の避難施設配置システムの開発と群集流動を考慮した避難安全性の評価,” 日本建築学会計画系論文集 第79巻, 第697号, pp.635-642, 2014.3

International Conference Papers
(1)Kunihiko Hattori, Hirokazu Abe,The effects on the real estate market by an economic policy supporting urban renaissance in Japan: Osaka City,Proceedings of AESOP / ACSP Joint Congress 2013(Dublin), Association of European School of Planning, in DVD, 2013.7
(2)Yasuhiro Mano,Noriko Otsuka,Hirokazu Abe,Current Situation of the Rail Freight Yard and Possibility of Modal Shift in Japan,Proceedings of AESOP / ACSP Joint Congress 2013(Dublin), Association of European School of Planning, in DVD, 2013.7
(3)Kensuke Yasufuku, “Scalable evacuation simulation and visualization using GPU computing,” Pedestrian and Evacuation Dynamics 2012, Springer, ISBN 978-3-319-02446-2, pp.1365-1374, Mar. 2014
(4)Kensuke YASUFUKU, “VISUALIZATION OF CROWD FLOW IN LARGE-SCALE FACILITY USING AGENT-BASED SIMULATION,” Proceedings of the 13th International Conference on Construction Applications of Virtual Reality, pp.547-555, Oct.2013
(5)Hirotaka SUZUKI, Ai SAKAKI, Kensuke YASUFUKU, Takashi MATSUMOTO, “DESIGNING OF LAMPSHADE WITH 3D CG APPLICATION AND MANUFACTURING OF DESIGNED SHAPE IN GRAPHIC SCIENCE EDUCATION,” The 2013 Asian Forum on Graphic Science, 6pages in DVD, Aug.2013
Conference Papers (Domestic)
(1)高橋彰、阿部浩和,回転視影絵認識テスト(MST)の開発とその評価,日本図学会学術講演論文集,2013年度春季大会,2013年05月
(2)福井美弥、阿部浩和,産業遺産施設への来訪者のブログ記事による共起ネットワーク図の図的解釈,日本図学会学術講演論文集,2013年度春季大会、pp61-64,2013年05月
(3)李ロウン、阿部浩和, アート活動による工場地区再生の現状と活用実態,日本建築学会大会学術講演梗概集,No 7448, pp963-964, in DVD,2013年08月
(4)福井美弥、阿部浩和,近代化産業遺産の保存活用施設における来訪者の意識把握に関する研究,日本建築学会大会学術講演梗概集,No.7166, pp331-332, in DVD,2013年08月
(5)小谷雅人、阿部浩和,OECD Indicatorsの13指標を使った地方都市のコンパクトシティ評価,日本建築学会大会学術講演梗概集,No 7482, pp1039-1040, inDVD,2013年08月
(5)林恭平、安福健祐、阿部浩和,歴史的社寺庭園の見学ルートに見られる場面展開の記述法,日本図学会秋季大会学術講演論文集, pp1039-1040, inDVD,2013年08月
(5)牧真太朗、安福健祐、阿部浩和,ウォークスルー時の空間の遮蔽構造変化の定量化 ―コーリン・ロウの虚の透明性についての考察―,日本図学会秋季大会学術講演論文集, pp1039-1040, inDVD,2013年08月
(6)安福健祐, “VR技術を用いた群集流動のインタラクティブ可視化,” 日本図学会2013年度秋季大会(盛岡)学術講演論文集, pp.67-70, 2013.11
(7)安福健祐, “マルチエージェントシステムによる群集行列歩行の再現,” 日本建築学会大会学術講演梗概集E-1, pp.599-560, 2013.8
(8)安福健祐, “ウォークスルーシステムによる歩行経路に沿った視野空間変化の3次元分析,” 日本図学会2013年度春季大会(兵庫)学術講演論文集, pp.77-82, 2013.5

Grants
(1)安福健祐、スケーラブルな避難解析システムの開発と大規模避難の可視化, 科研費・若手研究B(代表者),2012~2014年
(2)阿部浩和、シビアな環境汚染除染後のブラウンフィールド問題とリスクコミュニケーションの課題,科研費・基盤研究B(代表者),2013~2015年
(3)阿部浩和、シビアな環境汚染除染後のブラウンフィールド問題と地域再生に関わる基礎的研究。大林財団研究助成(代表者)、2013年度
(4)義久智樹,科学研究費補助金,若手研究(A)(代表者),次世代オンデマンド型視聴形態のためのコンテンツ配信方式,2011年4月~2015年3月
(5)義久智樹,科学研究補助金.挑戦的萌芽研究,(代表者),再生途切れのない没入型コンテンツの放送型配信に関する研究,2011年4月~2014年3月
Books
(1)Tim Dixon, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe,THE ROUTLEDGE COMPANION TO URBAN REGENERATION,Michael E. Leary and John McCarthy edited, Routledge,ISBN,978-0-415-53904-3 (hbk),2013.11.
Projects
(1) " KITANOTE " 岡崎沙織、高橋彰、一色暁生、濱野真由美、阿部浩和、吉岡聡(北野・山本地区をまもりそだてる会へ提供)




" KITANOTE " (北野・山本地区をまもりそだてる会へ提供)
Doctorial Thesis
(1) 高橋彰, " 都市再生にかかわる日英のブラウンフィールド対策に関する研究 " , 2013年度博士論文,2013.9
(2)羅羽哲, " 大邱市旧市街地に残存する都市型韓屋と細街路空間の保存に関する研究 " , 2013年度博士論文,2013.9
(3)福井美弥, " 産業遺産施設の保存活用にかかわる事業主体の役割と評価に関する研究 " , 2013年度博士論文,2014.3
(4)服部邦比古, " 官民連携による都市開発事業と事業化段階における合意形成に関する研究 " , 2013年度博士論文,2014.3

Master Thesis
(1) 牧真太朗, " 建築空間における遮蔽構造変化の視覚特性に関する研究ーコーリンロウの虚の透明性についての考察ー " , 2013年度修士論文,2014.2 - <日本建築学会優秀修士論文賞受賞> 
(2)LEE LOWOON, " 産業衰退地における創造的活動による地域活性化に関する研究 " , 2013年度修士論文,2014.2
(3)YE JUNGWOO, " 重要伝統的建造物群保存地区の町並印象評価と来訪者・住民の認識に関する研究-富田林市寺内町を事例として- " , 2013年度修士論文,2014.2

Undergraduation Thesis

(1)西尾俊輝, " 都市型複合施設内広場における人の利用行為に関する研究 " ,2013年度卒業研究、2014.2
(2)松本拓弥, " 建築物の通過・透過性能の評価に関する研究 " ,2013年度卒業研究,2014.2
(3)矢吹和也, " 独立住宅における平面図の形態が空間印象におよぼす影響に関する研究 " , 2013年度卒業研究,2014.2
(4)和田一馬, " 建築物のファサードデザインと形態の表象化に関する研究 " , 2013年度卒業研究,2014.2
(5)SHAN XIAOTONG, " 建築コンバージョンにおける形態構成に関する研究 " , 2013年度卒業研究,2014.2

Diploma Design
(1)矢吹和也, " 『14.53』―5つの記憶の物語― " , 2013年度卒業設計 最優秀賞受賞
この作品は日本の高度経済成長を支えてきた産業遺構を作者の既知体験をもとに形象化したもので5つのエピソードによって語られている。1つ1つは点として独立した断片的な風景であり、作者はおそらくその断片に潜む異物感が何を意味するのかを知らずに幼年期を過ごしたであろう。この作品ではその断片を機能を持たないフォリーとして形態化することで、建築空間の中に昇華している。冒頭に見られる膨大なスナップショットとそれに続く5つのエピソードで語られるモノクロームの世界は作者自身の個人的な詩的表象として、或は人々の記憶の集積として、儚くも美しい。しかしやがて一連の異なる断片を線で繋いだ時、それがある1つの意図をもつ企みであったことに気づかされる。すなわちこれまで馴染んできた断片は14.53kmの巨大なベルトコンベアの軌跡として姿を現すことになる。これはかつて株式会社神戸市と呼ばれ、山を削り、海を埋め立てて広大な敷地を造成するために用いられた産業装置であり、作者自身が生まれ育ったニュータウンを築いたマザーマシンであり、同時に緑豊かな自然を破壊した象徴ででもあった。しかし今はその全容を見ることはできない。その功罪は善悪の彼岸にある。そしてこの作品は我々がすでに忘れてしまった過去の輝かしい栄華と取り返しのつかない過ちを見つめ直す黙示録でもある。


"『14.53』―5つの記憶の物語―", 2013年度卒業設計 最優秀賞受賞

(2)和田一馬, " BISCUIT " , 2013年度卒業設計 優秀賞受賞
この作品は独特の形態を持つ居住空間が集積した集合住宅の提案である。ここでは画一化された規格が支配する一般の集合住宅とは異なり、モザイク状に散りばめられた集積にはそこで暮らす住民たちの生活が生き々々と描かれていて好感が持てる。全体構成も緻密に計画配置され建築造形として極めて秀逸である。また繊細な色使いと丁寧な表現は高く評価したい。ただ作者は何故この住宅を提案したのか、この設計をするに至った動機が語られていない。現時点では個々の住宅におけるアクティビティを個別に示すだけにとどまっており、このような集合体においてしかも個性的な住民たちが織り成す数えきれないハプニングやドラマは語られていない。たとえば猫好きの家の猫が水槽のある家の魚を食べてしまうことや、星を眺める部屋に信仰心の熱い住民が訪ねてくることがあるかもしれない。人と人の触れ合いの中にこの作品の本当の価値があるように思う。論理的でフィジカルな説明よりはむしろ少し非現実的ではあっても少しだけ人のこころを動かす無数の小さなストーリーが加わることでこの作品は飛躍的に良くなると思われる。


"BISCUIT", 2013年度卒業設計優秀賞受賞

(3)西尾俊輝, " thin talks " , 2013年度卒業設計
この作品は東静岡駅の線路脇の敷地に計画された図書館とシェアハウスの提案である。ここでは平行に配置された無数のスクリーンによって場の深度が定義されており、奥に行くほどその密度が高くなる。積層するスクリーンの透過性と所々に空けられた中庭のリズムが効果的であり、一見シンプルな構成の中に静かな躍動感を与えることに成功している点で高く評価したい。ただ提示された図面にはこの作品の価値を決定する具体的な説明が乏しく、内部のアクティビティと移り変わる空間構成の魅力が見る人に伝わってこない点が極めて残念である。建築は設計者の意図をいかに第三者に伝えるかが重要であり、人のこころを動かすものでない限り実現することはない。今後できればこの作品のもつ空間構成の魅力と内部ディテールの表現を加え、完成度の高い作品に仕上げていただきたい。


"thin talks"

(4)松本拓弥, " 10×10×10の可能性 " , 2013年度卒業設計
この作品は1辺が10mの立方体をベースに建築のアクティビティと表現の可能性を追求したインスタレーションである。我々が実際に建築を設計するときに辿る様々なプロセスでは、モデルやスケッチ、工法、ディテールなどの検討を繰り返し、多くの人との議論を経て最善の解へと収束させることになる。ここではその中の一部として " 形態操作 " だけを取り出し、そのシミュレーション自身を建築作品とするといった意表を突く戦略をとった点で高く評価できる。ただすべての基本となる論理的なプロセスが杜撰であるために十分な収斂ができていない点、使用される語句の形態素解析が不十分である点、共通する制約が不明確な点など、多くの欠陥を内包しておりここで示された10のバリエーションについての信憑性が揺らいでいる。できれば形態操作の動機を再考し、共通の規則と制約を明確化することによって、この実験の価値が高まることを期待したい。


"10×10×10の可能性"

(5)SHAN XIAOTONG, " 陣 " , 2013年度卒業設計
この作品は瀋陽市旧市街地に残存する歴史地区の保全に関する提案である。瀋陽は故宮を中心とした城郭都市として栄えたが、新中国成立時に街の発展を目的に取り壊され、現在では故宮や張作霖邸跡などいくつかの史跡が残存するのみで大半の建物は建て替えられている。この作品はかつての城郭都市の記憶を定着させるために、その市域を画していた8カ所の城門の位置に新たな8個のフォリーを建築するもので、それぞれは " 八卦の陣 " をモチーフに 休・生・傷・杜・景・死・驚・開の八門からなる陣形を形象化しており、そのコンセプトと全体のフレームワークは高く評価したい。ただ図面にはそのフォリーが十分に表現されておらず、それらがどのようなデザインなのか、設置されることで街はどう変化したのかが分からない点、非常に残念である。建築の設計は第三者にその意図を説明し説得できないかぎり実現しないものである。今後、できれば表現方法を調整し、作品としての完成度を高めて、魅力的な提案に仕上げてほしい。


"陣"

April/2012-March/2013

Journal articles

(1)Noriko Otsuka, Timothy Dixon, Hirokazu Abe,"Stock measurement and regeneration policy approaches to ‘hardcore’ brownfield sites: England and Japan compared",Land Use Policy,Elsevier, vol.33 pp36? 41,2013.1
(2)服部 邦比古,阿部 浩和, " 民間都市再生事業の都市計画決定段階における官民の合意形成に関する考察―都市再生緊急整備地域における都市再生事業の事例から― " ,日本建築学会計画系論文集,vol.77, No679, pp2109-2117,2012.9
(3)羅羽哲,阿部浩和, " 韓国大邱市邑城区域における都市型韓屋の維持・転用の現状と住民意識に関する考察 " ,日本建築学会計画系論文集,Vol77, No.677,pp1633-1642,2012.7
(4)羅羽哲,阿部浩和, " 大邱市邑城地区における細街路パターンと建物現況に関する考察 " ,日本図学会図学研究,第47巻1号,pp3-10,2013.3
(5)安福健祐, 出来佑也, 阿部浩和, " ウォークスルーシステムによる歩行経路に沿った視野空間分析ツールの開発と適用 " 日本建築学会計画系論文集 第78巻 第684号, pp.365-372, 2013.2

International Conference Papers
(1)Woochul NA and Hirokazu ABE,"A MORPHOLOGICAL EXAMINATION OF STREET NETWORKS AND TOWN SPACES IN THE OLD CASTLE DISTRICT OF DAEGU,KOREA",Proceedings of 15th International Conference on Geometry and Graphics,pp508-514,2012.8
(2)Hirokazu ABE, Mayumi HAMANO, Miya Fukui,"EVALUATION OF SPATIAL IMAGINATION ABILITY IN READING",Proceedings of 15th international conference on geometry and graphics,pp11-17,2012.8
(3)Shintaro Maki, Kensuke Yasufuku, Hirokazu Abe, "A morphological composition of architecture and urban space based on a concept of biomimicry", Proceedings of 15th international conference on geometry and graphics,pp515-522,2012.8
(4)Kensuke YASUFUKU, Yuya DEKI, Hirokazu ABE, “DEVELOPMENT OF A TOOL FOR ANALYZING ARCHITECTURAL SPACE BASED ON AMBULATORY VISION,”Proceedings 15th International Conference on Geometry and Graphics, Digital Proceedings (ISBN:978-0-7717-0717-9), 6 pages, Aug. 2012
Conference Papers (Domestic)
(1)山出翔太,安福健祐,阿部浩和, " ウォークスルーシステムを用いた動的空間の定量化に関する研究-isovist理論の視覚範囲を限定した垂直視野への展開として一 " ,日本図学会秋季大会学術講演論文集,pp49-54,2012.12
(2)阿部浩和、福井美弥, " 空間イメージテストと方向把握問題の関連性 " ,日本図学会秋季大会学術講演論文集,pp39-42,2012.12
(3)福井美弥,阿部浩和 " 繊維系産業遺産の保存活用における事業主体の意識分析に関する研究-テキストマイニングを用いた意識把握- " 日本建築学会大会学術講演梗概集2012、No.7087, pp231-232 in DVD (4)牧真太朗, 安福健祐, 阿部浩和, " バイオミミクリによる建築と都市の形態構成についての研究 " ,日本建築学会近畿支部研究報告集,第52号、計画系、5037、pp145-148,2012.6
(5)羅羽哲, 阿部浩和, " 大邱市邑城地区における街路形態の構成と都市の空間的特徴に関する考察 " ,日本建築学会近畿支部研究報告集,第52号計画系7048、pp549-552,2012.6
(6)阿部浩和, 服部俊一郎, " 平面図の陰影による空間把握状況の調査とその評価 " ,日本図学会春季大会学術講演論文集,pp25-30,2012.5
(7)牧真太朗,阿部浩和,安福健祐, " Turing Patternを用いた建築の形態構成についての試み " ,日本図学会春季大会学術講演論文集,pp15-20,2012.5
(8)羅羽哲,阿部浩和, " 大邱市邑城地区における街路形態と土地利用状況との関連 " ,日本図学会春季大会学術講演論文集,pp9-14,2012.5
(9)安福健祐, " 遺伝的アルゴリズムを用いたシネマコンプレックス平面形状の避難安全性最適化 " , 日本建築学会大会学術講演梗概集A-2, pp.107-108, 2012.9
(10)安福健祐, " 大規模集客施設における群集行列シミュレーション " ,日本図学会2012年度秋季大会(東京)学術講演論文集, pp.107-112, 2012.12

Grants
スケーラブルな避難解析システムの開発と大規模避難の可視化
文部科学省科研費補助金・若手研究B  2012~2014年
Projects
(1) "Library" Masakazu IWAI, Hirokazu ABE,Masahiko MIYAMOTO, Ryuta MASAI,Noriko OTSUKA,Akira TAKAHASHI, Akio ISSHIKI, Shintaro MAKI, Jung Woo YE, Fumika NARITOMI, Yuika NAKAGAWA, Seri CHIKUNI, Yuriko SHIMOMURA, Mari IKEDA, Tomoko HASHITERA



Library

Master Thesis
(1) 一色暁生, " 廃墟的要素によるパタンランゲージを用いた建築空間構成手法の研究 " , 2012年度修士論文,2013.2
(2)岡﨑沙織, " 神戸北野・山本地区における街の魅力的要素に関する研究 " , 2012年度修士論文,2013.2
(3)山出翔太, " ウォークスルーシステムを用いた動的空間の定量化に関する研究-Isovista理論の視覚範囲を限定した垂直視野への展開として- " , 2012年度修士論文,2013.2

Undergraduation Thesis

(1) 小谷雅人, " OECD・Indicatorsにおける13の指標を使った地方都市のコンパクトシティ評価に関する研究-神戸市、富山市を事例として- " ,2013.2
(2)つく田将紀, " 建築系大学の卒業設計の傾向からみた建築思潮の変化に関する傾向 " , 2012年度卒業研究,2013.2
(3)林喜志太, " サスティナブル建築の印象評価に関する研究 " , 2012年度卒業研究,2013.2
(4)林恭平, " 歴史的社寺庭園の見学ルートに見られる場面展開とその記述法に関する研究-L.ハルプリンのモーテーションを用いて " , 2012年度卒業研究,2013.2
(5)間野泰弘, " 貨物ヤードの現状とモーダルシフト対応の可能性に関する研究 " , 2012年度卒業研究,2013.2

Diploma Design
(1)つく田将紀, " 雨読 " , 2012年度卒業設計優秀賞受賞,レモン画翠賞受賞、日本建築家協会近畿支部最優秀賞
この作品は図書館という設定の心象風景で、降り頻る雨音のグラディエーションと読書行為に潜む心理的グラディエーションを段階的に視覚が遮られていく図書空間のグラディエーションに重ねることで独自の世界を造出しており、それらを深く淀んだ水中に閉じ込めることよって、もう後には引き返せない恐怖心を増幅させる構造になっている。特に表紙に見られる陰鬱な風景は圧巻であり、続く断面や平面の表現は哀しくも極めて美しい。この作品が我々に示したシナリオは非現実的でほとんど個人的なものかもしれないが、それは建築のもつ詩的なものの表象の一つとして人に感動を与えうるものであることを示している。最後に付け加えるとすれば、池澤夏樹が " スティルライフ " の中で語ったように " 山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかること " が求めれていると言える。


"雨読", 2012年度卒業設計優秀賞受賞、レモン画翠賞受賞、日本建築家協会近畿支部最優秀賞

(2)小谷雅人, " Craftsman Village " , 2012年度卒業設計
この作品は神戸の伝統的建造物群保存地区に指定されている北野・山本地区にあって、現在使われなくなった廃屋(旧オランダ館)のある敷地を、若い芸術家に開放して再利用を図ることをテーマとしている。ここでは6つの出入口から導かれる複数の小径に沿って施設が計画され、それに面して様々な芸術家の工房や住居、ギャラリーなどが斜面に沿って複雑に入り組んだ構成で積み上げられており、詳細に書き込まれた平面図や断面図を見ていくとそれぞれのゾーンでの活気のある街の息遣いが伝わってきて大層好感が持てる。ただ残念なのは各ゾーン間の外部空間の繋がりが表現(設計)されておらず、このヴィレッジの全容がわかり辛いことで、プレゼパネルのデザイン検討とともにその点を克服すれば飛躍的に良くなると思われる。また基本コンセプトとして伝建地区であるこの立地おいて何を継承し何を継承しなかったのかを、その理由とともに明示することはこの作品の義務であろう。


"Craftman Village"

(3)林喜志太, " Happening " , 2012年度卒業設計
この作品は大阪南部堺市にある出島漁港に建つ漁業施設の提案である。そこにはいくつもの道(動線)がリング状に積層されその空隙に様々な施設が部分的に配置されて海上に建つ容姿は非常に美しい。また構造的な問題が残るにしても大屋根を吊るす大架構は迫力があり印象的で全体としての建築造形は極めて秀逸である。ただ施設内容に関わる説明は図面から読み取ることができず、宿泊室やカフェ、市場などが記されているものの、漁業施設として誰が何のために利用するのか、既存の魚市場との関係はどうなるのかといった部分が見えないのは大層残念である。仮にこれを新たな魚市場とするならばそのための建築計画が必要であり、漁師や観光客のための施設とするならばそのアクティビティを示す必要がある。この作品はこの部分を解決することで格段に良くなると思われる。


"Happening"

(4)林恭平, " 農業のすゝめ " , 2012年度卒業設計
高齢化が進展し働き手としての若者の農業離れによって過疎化がすすむ農村に再び若者や家族を呼び寄せ、これからの新しい農業のビジネスモデルを考える中で、農家と自然の本質的なかかわりをデザインすることの意義は極めて重要である。この作品は若者が集う農業のためのシェアハウスの設計であり、一見するだけでは単純な住宅の設計と見過ごされるかもしれないが、よく見るとその周辺に広がる豊かな自然と森と耕作地とため池が一体としてデザインされ、四季折々の移り変わりの中で、そこに暮らす人々の営みが見えてくる。春には草木が芽吹き、夏には水遣りを欠かさず、秋には収穫があり、冬には雪掻きをする。その中で人々はこのシェアハウスの中で、或いはその周りで自然ととともに暮らすことの意味を再認識することになる。実はこれらの全てが一つの " 建築 " としてデザインされていることに気づかされる。作品の表現は控えめであるが、そこで創出される夢のような世界はこれまでに見たことも無い発見と期待に満ちており大層秀逸である。ただ惜しいのは提案しようとしている対象が不明瞭である点で、ここで大切にしたものは何かを見極め積極的に提示できれば格段に良くなるものと思われる。


"農業のすゝめ"

(5)間野泰弘, " GRASS ROOTS " , 2012年度卒業設計
この作品は妙見口駅の山間に建つ次世代農業をまなぶ専門学校の提案である。栽培方法として露地栽培と工場栽培のゾーンを併設するなども大層興味深い。斜面地に環状の形態を分割した円弧状施設を無造作に配置した特徴的な配置はFゲーリーのように大胆な構成であるが、それぞれの小口部分が周囲の風景を切り取るフレームの役割をしているなど慎重な工夫もみられ建築造形として高く評価したい。また図的表現に関しても効果的にデザインされており複雑な建築構成がわかりやすく説明されていて印象的である。ただ計画上、この施設はトロッコでのアクセスのみに頼っていることに無理があること、それぞれの円弧状の施設間を結ぶ動線が単純出で、もう少しデザイン上の工夫を加え、各施設のアクティビティとともに配置計画の妥当性を示すことができれば格段に良くなったと思われる。


"GRASS ROOTS"


April/2011-March/2012

Journal articles

(1)Timothy Dixon, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe "Critical success factors in urban brownfield regeneration: an analysis of 'hardcore' sites in Manchester and Osaka during the economic recession (2009-10)", Pion, Environment and Planning A, volume 43(4), pp961-980, 2011.5

International Conference Papers
(1)Fukui M, Abe H "Frameworks for the evaluation of former textile mills redevelopment and usability of industrial heritage for local communities: England and Japan" Proceedings of 3rd World Planning Schools Congress Paper: 825 in DVD, 2011.7
Conference Papers (Domestic)
(1)山出翔太、安福健祐、阿部浩和 " 複数アングルの静止画像による空間把握能力の現状と課題 " 平成23 年度日本建築学会近畿支部研究報告集 第51号計画系No.5070, PP277-280, 2011.6
(2)阿部 浩和、濱野 真由美 " 文章から想起される建築空間のイメージと空間認識力に関する研究―建築空間想起能力の研究 その1― " 平成23 年度日本図学会春季大会学術講演論文集 pp33-37, 2011.5
(3)羅 羽哲、阿部 浩和 " 韓国大邱市邑城地区における都市型韓屋の居住者意識 " 平成23 年度日本建築学会大会学術講演梗概集 No7192, pp421-422 in DVD, 2011.8
(4)岡崎 沙織, 阿部 浩和 " 近代化産業遺産建築物の現状と保存活用の課題-大阪府を事例として " 平成23 年度日本建築学会大会学術講演梗概集 No6099, pp595-596 in DVD, 2011.8
(5)山出 翔太、安福 健祐、阿部 浩和 " 複数アングルの静止画像による空間把握能力の現状と課題 " 平成23 年度日本建築学会大会学術講演梗概集 No5421, pp875-876 in DVD, 2011.8
(6)牧真太朗、阿部 浩和、安福 健祐 " バイオミミクリによる建築と都市の形態構成についての研究 " 平成23 年度日本図学会秋季大会学術講演論文集, pp215-220 , 2011.11
(7)柏木俊弥、安福 健祐、阿部 浩和 " 遺伝的アルゴリズムを用いたシネマコンプレックスの平面計画の最適化に関する研究 " 平成23 年度日本図学会秋季大会学術講演論文集, pp69-74, 2011.11
(8) 阿部浩和、濱野真由美 " 文章表現の違いによる建築空間イメージの想起傾向-建築空間想起能力の研究 その2- " 平成23 年度日本図学会秋季大会学術講演論文集, pp209-214 , 2011.11
(9) 羅 羽哲、阿部 浩和 " 大邱市邑城地区における市街地の空間変化分析 " 平成23 年度日本図学会秋季大会学術講演論文集, pp173-177 , 2011.11
(10)安福 健祐 " GPU を利用した大規模避難シミュレーションシステムの開発 " 平成23 年度日本建築学会大会学術講演梗概集 No3095, pp201-202 in DVD, 2011.8

Grants
高精細映像による没入型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時への適用性
文部科学省科研費補助金・若手研究B  2009~2011年
Projects
(1) LOFT London Farm Towe Competition(AWR)Finalist selected 一色暁生、岡崎沙織、山出翔太

LOFT London Farm Towe(AWR)Finalist selected

Master Thesis
(1) 柏木俊弥,"遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた非常時におけるシネマコンプレックス平面形状の最適化に関する研究", 2011年度修士論文
(2) 出来佑也,"建築空間における動的視認構造の研究―isovist理論を元にした特性分析―", 2011年度修士論文
(3) 中野舞,"工場跡地における住宅開発の傾向と居住者の意識構造に関する研究 ―大阪市 西部地区を事例として―", 2011年度修士論文

Undergraduation Thesis

(4)池田優紀,"都市型複合施設内広場における人の滞留行動に関する研究", 2011年度卒業研究
(5) 服部俊一郎,"3次元の図的表現法と空間認識能力に関する考察", 2011年度卒業研究
(6) 牧真太朗,"バイオミミクリを用いた建築と都市の形態構成についての研究", 2011年度卒業研究
Diploma Design
(7) 牧真太朗,"エデンの共界線", 2011年度卒業設計優秀賞受賞
これは生物の活動原理をもとに新たな建築の空間構造を探求した思考実験であり、次世代の建築原理を提示した点で極めて秀逸である。シュレディンガーは生命現象を支配する物理的制約として、あらゆる生命は反応拡散によってエントロピー最大化へ向かっており、それを制御することで現在を維持していると述べている。ここで用いられるチューリングの反応拡散方程式はこれまで、2次元平面において生物由来の表層模様を擬似的に生成させることで知られているが、作者はこれを3次元空間に拡張することで、新たな建築の空間構成原理を発見している。ここで得られた構造体は連続する1枚の曲面で2つの境界域を生成しており、区切られた2つの空間は同時に存在するが、決して交わることは無い。作者はこれを用いて様々な次元の異なる建築的様相を仮想的に共存させて提示している。この提案はあくまで実験段階ではあるが、生命体の生息する場の生成手法として、これまでの建築の形態構成原理にあらたな第一歩を画するものと考えられ、極めて斬新な提案であると判断する。


"エデンの共界線", 2011年度卒業設計優秀賞受賞

(8) 池田優紀,"光の都市", 2011年度卒業設計
これは大阪キタの繁華街の中心に複合商業施設を提案した意欲的な作品である。その形態は中心の球から放射状に拡散する複数の円錐によって構成されており、都心の喧騒の中でひときわ異彩を放つ造形が大層魅力的である。またテーマの一つである誘惑装置として機能する商業施設のメタファとして大変興味深い。ただ建築としての内部構成や動線計画は概念的な提示に留まっており、具体的で丁寧な設計に至っていない点、作者が語る中心で乗り換えると説明した斜向エレベータや階段がどのように接続されているのか、劇場施設はどのように配置されているのか、などについては解決されていない点など、このアイデアを具体化するためのプロセスに至っておらず、今後、建築としての構造化に踏み込めば格段に良くなったことが非常に惜しまれる。今後の研鑽を期待する。


光の都市

(9) 服部俊一郎,"釜石の奇跡そしてこれからの奇跡", 2011年度卒業設計

April/2010-March/2011

Journal articles

(1)阿部 浩和 " 受講者意識における建築設計演習の障害要因 " 日本建築学会、建築教育研究論文報告集 No11, pp54-60, 2011.1
(2)PHONGSAVANH Saysavanh,ABE Hirokazu and YOSHIDA Katsuyuki " RENOVATION OF LAO HOUSES IN SUBURBAN VILLAGES OF VIENTIANE, LAO.PDR. " 日本建築学会計画系論文集 第75巻,第654号,pp1925-1934 2010.8
(3)安福健祐, 阿部浩和"3D-CGツールのパラメトリックモデリングを用いた建築設計演習の試行",,建築教育研究論文報告集,No.11, pp.37-42,2011.1
(4)安福健祐,"避難行動フレームワークを用いた群集歩行モデルの比較分析と避難安全検証への適用性",日本建築学会計画系論文集,第75巻 第655号, pp.2081-2088,2010.9

International Conference Papers
(1) Timothy Dixon, Noriko Otsuka, Hirokazu Abe "Critical Success Factors in Urban Brownfield Regeneration: An Analysis of 'Hardcore' Sites in Manchester and Osaka during the Economic Recession (2009-2010)" Proceedings of Anglo-Japan Symposium on Brownfield Regeneration 2010 pp11-14 2010.12
(2) Y. DEKI, K. YASUFUKU, H. ABE "TENDENCY OF SPATIAL ABILITY IN CG ANIMATION OF BUILDINGS" Proceedings of 14th International Conference on Geometry and Graphics #110 in the DVD 2010.8
(3) T. KASHIWAGI, K. YASUHUKU, H. ABE "THREE-DIMENSIONAL FORMATION PROCESS OF BIM" Proceedings of 14th International Conference on Geometry and Graphics #169 in the DVD 2010.8
(4) Nakano Mai & Otsuka Noriko & Abe Hirokazu "Brownfield Regeneration in Marginal Areas in Osaka Japan - Comparative Study on Brownfield Regeneration Japan and UK" Book of Abstructs 24th AESOP ANNUAL CONFERENCE 2010 (Helsinki) PP355-356 2010.7
(5) Takahashi Akira, Abe Hirokazu "Harmonious Coexistence of Housings and Manufacturing in Industrial Area" Book of Abstructs 24th AESOP ANNUAL CONFERENCE 2010 (Helsinki) PP368-369 2010.7
(6) Fukui Miya & Miyagawa Tomoko "Characteristics of Local Resources and Modernization Heritage at Sensyu Area" Book of Abstructs 24th AESOP ANNUAL CONFERENCE 2010 (Helsinki) PP279-280 2010.7
(7) Otsuka Noriko & Dixon Ti m & Abe Hirokazu "The Regeneration of 'Hardcore' Brownifield Sites: England and Japan Compare" Book of Abstructs 24th AESOP ANNUAL CONFERENCE 2010 pp353-356 2010.7
(8) J. SUGIE, T. NAKATA, K. YASUFUKU, H. ABE "DEVELOPMENT OF STORE ARRANGEMENT SYSTEM BY CROWD SIMULATION" Proceedings of 14th International Conference on Geometry and Graphics #266 in the DVD 2010.8
(9) M. HAMANO, H. ABE "CHARACTERISTICS OF SPATIAL IMAGINATION ABILITY BY MEANS OF A DESCRIPTION OF ARCHITECTURE IN A BOOK BY JUNICHIRO TANIZAKI -RESEARCH INTO SPATIAL IMAGINATION ABILITY-" Proceedings of 14th International Conference on Geometry and Graphics #146 in the DVD 2010.8
(10)Kensuke YASUFUKU "VISUALIZATION OF CROWD BEHAVIOR USING EVACUATION SIMULATION FRAMEWORK",, Proceedings of 15th International Conference on Geometry and Graphics,DVD (ISBN 978-4-9900967-1-7), 6 pages,201008
(11) Takahashi Akira, Abe Hirokazu , "Harmonious Coexistence of Housings and Manufacturing in Industrial Area,Japan", Selected Proceedings of 24th AESOP ANNUAL CONFERENCE 2010 (Helsinki), pp424-435, 2011.3
Conference Papers (Domestic)
(1)羅羽哲 阿部浩和 " 韓国大邸市中心市街地における韓屋の現状と課題 " 平成22 年度日本建築学会近畿支部研究報告集 No7009, PP417-420 2010.6
(2)出来佑也 安福健祐 阿部浩和 " 建築物のCGアニメーションにおける空間把握の傾向 " 平成22 年度日本建築学会近畿支部研究報告集 No5066, PP261-264 2010.6
(3)中野舞 安福健祐 阿部浩和 " 大阪市西部地区における工場跡地の土地利用転換の現状 " 平成22 年度日本建築学会近畿支部研究報告集 No7003、PP.393-396 2010.6
(4)高橋 彰、阿部浩和 " 中小工場集積地における住工共生のまちづくりの現状と課題 " 日本建築学会大会学術講演梗概集 No.7235, pp517-518 2010.9
(5)安福健祐"楕円型RVOモデルによる高密度群集シミュレーションの開発",,日本図学会2010年度秋季大会(東京)学術講演論文集,pp.123-128, ,2010.11
(6)安福健祐,"マルチエージェントシステムを用いた避難行動モデルの分析Social Force モデルとRVO モデルの比較",日本建築学会大会学術講演梗概集, No.5481, pp.1007-1008,2010.9
Grants
日英のブラウンフィールド再生に関るステークホルダーの役割とスティグマ削減策の比較
文部科学省科研費補助金・基盤研究(B)  H20-H22年度-- Anglo-Japan Symposium on Brownfield Regeneration 2010-->here

高精細映像による没入型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時への適用性
文部科学省科研費補助金・若手研究B  2009~2011年


Reports
(1)繊維系産業工場の活用に関する周辺住民への意識調査報告書,福井美弥、阿部浩和 2010.5→報告書

Projects
(1) UR団地自主改修プロジェクト(宮之前)出来佑也、中村太一
(2) Taiwan Tower International Competition, Masahiko MIYAMOTO, Hirokazu ABE, Masakazu Iwai, 2010.9

UR団地改修プロジェクト(宮の坂)

Taiwan Tower Project

Doctorial Thesis
(1) PHONGSAVANH Saysavanh, "Renovation of Traditional Lao Stilt Houses in the Suburbs of Vientiane, Lao PDR", 2010年度博士論文
Master Thesis
(2) 大島康徳,"没入型ディスプレイを用いた経路探索時の注視傾向に関する研究", 2010年度修士論文
(3) 末重隼人,"日本とイングランドにおけるブラウンフィールドとPDLの再生に関する比較研究", 2010年度修士論文
(4) 杉江順哉,"Social Force型群集歩行シミュレーションを用いたショッピングセンターにおける平面計画の比較に関する研究", 2010年度修士論文
(5) 濱野真由美,"文学作品に見られる建築描写による空間認識の特性に関する研究", 2010年度修士論文

Undergraduation Thesis

(6)一色暁生,"廃墟建築物の現状とその保存に関する課題", 2010年度卒業研究
(7) 岡崎沙織,"大阪府における近代化産業遺産建築物の保存・活用の現状と課題", 2010年度卒業研究
(8) 山出翔太,"複数アングルの静止画像による空間把握能力の現状と課題", 2010年度卒業研究
Diploma Design
(8) 岡崎沙織,"kumogakure", 2010年度卒業設計優秀賞受賞
海辺の砂浜に置かれた円盤状の造形(美術館)と洗練された浅葱色の内部空間に林立する透明なシリンダーによるコンビネーションはシンプルでありながらもリリカルで大変美しく、見るものを惹きつける不思議な魅力を持っている。しかし実はこの施設にはしたたかな仕掛けが隠されている。一見無造作に置かれた展示物とガラスのシリンダーは実は緻密な計算の上に計画されており、それらが視線の屈折によって見えない空白域を作り出し、互いに組み合わされることで、これまでに見たことなもない展示空間を創出している。これは建築におけるフィジカルな境界概念を覆す新しい可能性を示唆するものとして画期的であり、その着想は群を抜いて素晴らしい。ただ敢えて言えば、作品の背景となるコンテクストはあまり語られておらず、作者はこの施設の必然性やこころを揺さぶる感動に対してはあくまでも寡黙である。おそらくそれらはこの作品を特徴づける決定的な意味ではないことかもしれないが、これが建築である以上社会との何らかの接点は持つ必要がある。


"kumogakure", 2010年度卒業設計優秀賞受賞

(9) 一色暁生,"小さい伝記,音のない記憶", 2010年度卒業設計
これは " 影 " を現象化させる大掛かりな建築装置の提案であり、その現象を構造化しデザインしようとした試みとしてきわめて先鋭的である。海に面した半島の先に組み立てられた造形は玩具箱のようでもありメカニカルで面白い。そこでは " 影 " によって切り取られるモノクロームの内面世界が " 光 " 溢れる極彩色の現実世界の暗喩として表現される。また高い塔の天窓から落ちてくる光と影をコントロールし、長く伸びた訪問者のシルエットを映し出す投影装置や列柱のある回廊など緻密に計画された内部空間は秀逸で高く評価できる。ただ惜しまれるのは、この建築の中で遭遇する " 影 " の風景が語られる一方で、建築そのものが持つ必然性と物語性の関係はやや希薄であり、テーマである " 音のない記憶 " との関連は説明される必要があろう。またプレゼンテーションとしての図面やパネルの表現からは、作者伝えようとした当該提案の全容を的確に伝え切れていない点が大層惜しまれる。今後の研鑽を期待したい。


小さい伝記,音のない記憶

(10) 山出翔太,"かたまりから見えるもの", 2010年度卒業設計
当該計画は関西空港埋め立てのために削り取られた山中のある敷地において、ゴミ処理場から出る廃棄物を利用し、長い年月をかけて " 山 " を復元させるプロジェクトの提案である。ただしこの " 山 " は元のゴミ処理場や展示室を含む様々な施設が蟻の巣のように連続しながら全体が構成されており、積み上げられた " 山 " である巨大な廃棄物の塊は圧巻である。この作品は現在の大量消費型社会とアドホックな環境政策に対するアイロニカルな風刺としてきわめて秀逸である。また作者の環境問題や社会問題への関心はこれからの時代を担う世代の意識として好感が持てる。ただ難を言えば、この敷地の背景となっている埋め立てによる自然破壊と廃棄物処理問題の関係性はやや不明瞭であり、 " 山 " の復元によって達成される成果が何を意味するのかについての論理的な説明が必要であろう。


"かたまりから見えるもの"

Other Design
(11) 柏木 俊弥, 岡﨑 沙織, ユニオン造形文化財団ー2010年度デザイン賞受賞

ユニオン造形文化財団ー2010年度デザイン賞受賞

April/2009-March/2010

Journal articles
(1) 高橋彰、阿部浩和,"大阪圏におけるマージナルブラウンフィールドサイト再生に関する考察―大阪市東部地区を事例として―”,日本建築学会、日本建築学会技術報告集,第16 巻 第32 号,pp303-308,2010 年2 月
(2) 平野暁子、阿部浩和、"地方都市におけるブラウンフィールドサイトに関する考察―泉州地区における繊維工業跡地を事例として―”,日本建築学会、日本建築学会技術報告集,第16 巻 第32 号,pp309-313,2010 年2 月

(3) Saysavanh PHONGSAVANH , Hirokazu ABE and Katsuyuki YOSHIDA、”Inhabitants Consciousness Concerning Detached Houses in the City and Suburbs of Vientiane, Lao PDR - A Case Study of Students' House at the National University of Laos -”AIJ, Journal of Asian Architecture and Building Engineering、Vol.8, No.2 pp339-346、2009.11
(4) 安福健祐,阿部浩和, 没入型ウォークスルーシステムを用いた建築設計演習の試行,建築教育研究論文報告集,No.9, pp.13-18,2009.1
(5) 安福健祐, 高精細没入型避難シミュレータの開発と避難経路選択に関する分析,日本建築学会計画系論文集,第74巻 第640号,pp.1265-1270,2009.6
(6) 安福健祐, Social Force型避難行動モデルの開発と地図データベースを用いた広域避難への適用,日本建築学会第32回情報システム利用技術シンポジウム論文集,pp.73-78, 2009.12
International Conference Papers
(1)Hirokazu Abe, Noriko Otsuka, "Brownfield and Post industrial site in Osaka Pefecture -Regenerating Hardcore Brownfield Sites in England and Japan-", Workshop on Regenerating Hardcore Brownfield Sites in England and Japan (Oxford Institute for Sustainable Development),2009.9, (http://oisd.brookes.ac.uk/index.html)
Conference Papers
(1)阿部浩和,"建築設計演習における問題解決プロセスについての考察",日本図学会2009年度大会(関東)学術講演論文集,pp.179-182,2009.5
(2)大島康徳、安福健祐、阿部浩和,VRを用いた場所認識の決定要因に関する研究-梅田地下階の3Dモデルにおける経路探索実験の分析ー,日本建築学会近畿支部研究報告集,No.5046,pp181-184, 2009.6
(3)杉江 順哉、阿部浩和,"堀江・中崎町におけるファサード変化に見られる仮設的コンバージョン建築の変遷",日本建築学会近畿支部研究報告集,No.7075, pp585-588,2009.6
(4)濱野真由美、阿部浩和,"谷崎潤一郎の著書に見られる建築描写による空間認識の特性に関する研究",日本建築学会近畿支部研究報告集,No.5055, pp217-220,2009.6
(5)平野暁子・阿部浩和,"大阪圏におけるマージナルブラウンフィールドサイト再生に関する考察(その1) 貝塚市を事例として",日本建築学会大会学術講演梗概集,pp717-718,2009.8
(6)高橋彰・阿部浩和,"大阪圏におけるマージナルブラウンフィールドサイト再生に関する考察(その2) 大阪市東部地区を事例として",日本建築学会大会学術講演梗概集,pp719-720,2009.8
(7)末重 隼人、阿部浩和,"公的施設におけるブラウンビルディングの現状と課題―大阪市を事例に―",日本建築学会大会学術講演梗概集,No.8094 (in DVD),2009.8
(8)阿部浩和,"建築設計演習における問題解決プロセスについての考察",日本建築学会大会学術講演梗概集,No.13024 pp695-698,2009.8
(9)中田武臣・安福健祐・阿部浩和,"設計支援ツールとしてのアルゴリズミック・デザインの現状について",日本建築学会大会学術講演梗概集,No.11019 (in DVD),2009.8
(10)Saysavanh PHONGSAVANH・阿部浩和,"THE ALTERNATE HOUSES AND INHABITANTS`CONSCIOUSNESS IN VIENTIANE AND SUBURB AREA INLAO PDR.",日本建築学会大会学術講演梗概集,No.5770 (in DVD),2009.8
Grants
日英のブラウンフィールド再生に関るステークホルダーの役割とスティグマ削減策の比較
文部科学省科研費補助金・基盤研究(B)  H20-H22年度

日英のマージナルエリアにおけるブラウンフィールド再生に関する比較研究
鹿島学術振興財団・研究助成  H20-H21年度


Regenerating Hardcore Brownfield Sites in England and Japan: A Comparative Study of Manchester and Osaka
The Education Trust of The Royal Institution of Chartered Surveyors UK 2008.12-2009.6


高精細映像による没入型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時への適用性
文部科学省科研費補助金・若手研究B  2009~2011年
Projects
(1) Hirokazu Abe,Masakazu Iwai,Masahiko Miyamoto,Kensuke Yasufuku,Kaneyama Kuniaki,Noriko Otsuka,Motoki Nishiyama,Ymamaga Marie,Akira Takahashi,Takeomi Nakata,Akiko Hirano,Hayato Sueshige,Junya Sugie,Toshiya Kashiwagi,Yuya Deki,Mai Nakano,Tomoya Watanabe,Yuta Nagai,NA WOO CHUL, "NORWAY NATIONAL MUSEUM at Vestbanen" 6. 2009, Norway
(2) Masahiko Miyamoto,Kaneyama Kuniaki,Motoki Nishiyama,Ymamaga Marie,, Masakazu Iwai,Hirokazu Abe "Visiter Center of Newark" 9. 2009, USA

(3) 出来佑也 、永井裕太、中田武臣 第1回三協フロンテア モバイルアーキテクチュアコンペティション 佳作・長妻貴嗣賞受賞、2009年7月 



NORWAY NATIONAL MUSEUM OSLO, NORWAY



VISITER CENTER, NEWARK



三協フロンティアモバイルアーキテクチュアコンペティション、佳作・長妻貴嗣賞受賞




Master Thesis
(1) 髙橋彰, "中小工場集積地における住工共生のまちづくりの現状と課題", 2009年度修士論文
(2) 中田武臣, "エージェントベース・アルゴリズミックデザインを用いた設計手法の基礎的研究", 2009年度修士論文
(3) 平野暁子, "地方都市における工場跡地再生の現状と課題" , 2009年度修士論文

Undergraduation Thesis

(5) 柏木俊弥、"BIMの三次元形成過程における操作性評価に関する研究"2009年度卒業論文
(6) 出来佑也、"建築物のCGアニメーションにおける空間把握の傾向"、2009年度卒業論文
(7) 中野舞、"大阪市西部地区における工場敷地の土地利用転換の現状と再利用における周辺地域への影響に関する研究"、2009年度卒業論文
(8) 渡邉智也、"住居用途の歴史的建築物の保全と改修に関する研究―神戸市中央区北野町山本通地区を事例として―"、2009年度卒業論文
Diploma Design
(9) 柏木俊弥、"建築と音楽の狭間で僕はずっと回り続けていた"2009年度卒業設計優秀賞受賞
この作品は文京区湯島の昌平坂に建つ詩吟のためのミュージアムである。この作品の特徴である白い螺旋状の柔らかい造形は力強く圧巻で、かつてのF.キースラーを髣髴とさせるようで驚くほど美しい。また内部空間についても有機的な外観に劣らず執拗にデザインされており、建築としてのリアリティを備えていることは高く評価できる。また展示スペースは様々なテーマを持つポリクロミーの部屋が連鎖しており、作者が形態生成過程で和音の音階をモチーフにしたという階層を螺旋状に上下しながら回遊できる構成になっている点もユニークである。ただ最後にこの昌平坂という場所に建つこの造形の必然性は十分に語られておらず、この地域のコンテキストの分析をふまえた納得いく説明は必要であろう。今後の研鑽を期待したい。


"建築と音楽の狭間で僕はずっと回り続けていた"2009年度卒業設計優秀賞

(10) 出来佑也、"The Dramatic World -世界は都市の只中に-"、2009年度卒業設計
この作品は大阪のミナミの繁華街、難波にあり、廃校となっている精華小学校の跡地に計画された劇場空間である。かつて大阪ミナミに点在した様々な種類の小劇場や芝居小屋をイメージさせる四角い空洞が入れ子のように複雑に組み合わされて全体を構成している様は圧巻である。また図面を良く見ると主と従のかかわりや視線の移り変わりが緻密に計画されていることを汲み取ることができ、観る者と観られる者の情景が或る時は逆転しながらパラドキシカルに連続する絶妙に組み合わされたインスタレーションスペースの構成は秀逸である。ただ惜しむべきは作者が綿密にデザインした様々な建築空間についてどのように説明するかをもう少しデザインできれば飛躍的に良くなったと思われる。今後の研鑽を期待する。


"The Dramatic World -世界は都市の只中に-"、2009年度卒業設計

(11) 中野舞、"魔法のじゅうたん"、2009年度卒業設計、仙台デザインリーグ50選
この作品は或る住宅街の空中に浮かぶ大小さまざまな水溜りがこれまで見たことのない不思議な世界を創り出している。櫻の花の咲く頃このあたりは水に浮かぶ一面の花びらとそれを透して落ちてくるやさしい春の日差しに満ち溢れ、夏は水遊びに興じる子供達の声が聞かれるかもしれない。落ち葉が舞い散る季節には黄や赤の絨毯に変化し、木枯らしの吹く寒い季節は凍りついた水盤でスケートができるかもしれない。この作品には雨上がりの土の匂いや蝉しぐれの喧騒や草むらの香りといった都会に住む現代人がこれまで忘れていた大切な感覚を呼び戻してくれるすばらしい作品であり、作者が持つ豊かな感性が作品全体に満ちている。また建築の設計に関しても細部まで良く考えられており、丹念に手書きされた図面やスケッチは秀逸で高く評価する。ただ惜しむべきはコンテキストに何らかの必然性を持たせること、建築としての構造化に踏み込むことで、格段に良くなったと思われる点である。今後の研鑽を期待する。


"魔法のじゅうたん"、2009年度卒業設計

(12) 渡邉智也、"見上げた先に見えるのは"、2009年度卒業設計
この作品は図書館の新しいプロトタイプを提案するものとして位置づけられる。樹木が幹から枝葉へと拡張していくモデルを図書館のプランニングに対応させることでダイナミックな内部空間を創出している。また外観のデザインも特徴的で高く評価する。表題のように下から見上げる書架が並ぶ風景はいつもの図書館とは違って新しいものを発見する期待を抱かせる。ただ惜しむべきは外装を形づくる構造体と内部空間を構成する構造体が異なっていることで、これらが1つのシステムとしてインテグレートできれば格段に良くなったと思われる。今後の研鑽を期待する。


April/2008-March/2009

Journal articles
(1) 服部邦比古、 阿部 浩和,"PFIにおけるVFMに関する評価と課題”,日本建築学会、日本建築学会計画系論文集,第74巻 第635号 pp193-200, 2009.1
(2) 阿部浩和,"建築設計演習における学生の意識と取り組み”,日本建築学会、建築教育研究論文報告集,№8,pp83-88, 2009.1
(3) 安福健祐,阿部浩和,吉田勝行、“避難シミュレーションシステムの経路障害発生時への適用“日本建築学会計画系論文集、第626号, pp.721-727、2008.4
(4) 安福健祐,"没入型建築ウォークスルーシミュレーションシステムの開発",日本建築学会技術報告集,第14巻 第28号, pp.639-644、2008.11
International Conference Papers
(1) Takeomi NAKATA, Kensuke YASUFUKU and Hirokazu ABE, "A STUDY ON THE ARCHITECT’S AWARENESS OF INTRODUCTION OF 3D-CAD AND EFFECT ON ARCHITECTURAL FORM BY 3D-CAD", PROCEEDINGS 13th INTERNATIONAL CONFERENCE ON GEOMETRY AND GRAPHICS, p169,DVDROM, 2008.8
(2) Hirokazu ABE, "DRAWING SKILLS DURING DESIGN AND ARCHITECTURAL EXERCISES WITH GRAPHICS EXPRESSION", p45 2008.8
(3) Masahiko MIYAMOTO and Hirokazu ABE, "TRIAL DESIGN STUDIO ASSISTED BY EXTERNAL ARCHITECTS", p166, DVDROM, 2008.8
(4) Saysavanh PHONGSAVANH and Hirokazu ABE,"TYPOLOGY ON ALTERATION OF LAO HOUSE", p180, DVDROM, 2008.8
(5) H.Kurata, H.Abe & N.Otsuka,"Perception of Private and Public Sectors of the Regeneration of Post-Industrial Areas in Japan", BROWNFIELDS 2008, Wessex Press, Wessex Institute of Technology,UK, pp255-263 2008.5
(6) N.Otsuka, H.Abe,"Challenge for Brownfield Regeneration: a Comparison of English and Japanese Approaches", BROWNFIELDS 2008, Wessex Press, Wessex Institute of Technology,UK, pp33-42 2008.5
(7) Kensuke YASUFUKU,"VISUALIZATION OF EVACUATION SIMULATOR ON A HIGH-DEFINISION IMMERSIVE PROJECTION DISPLAY", PROCEEDINGS 13th INTERNATIONAL CONFERENCE ON GEOMETRY AND GRAPHICS, p.273, DVDROM, 2008.8
Conference Papers
(1) 中田 武臣,安福 健祐,阿部 浩和,"3次元CAD 導入に対する設計者の現状意識と建築形態に及ぼす影響に関する研究",日本建築学会大会学術講演梗概集 No.11010, pp433-434 2008.9
(2) ポンサワン サイサワン,阿部 浩和"ラオハウスにおける生活様式と施設構成の変化に関する研究―ビエンチャン4つのエリアを対象として―",日本建築学会大会学術講演梗概集 No.5644, pp179-180 2008.9
(3) 倉田 遥,阿部 浩和,大塚 紀子,"英国におけるブラウンフィールド再生についての事例報告-ハックニー(2012 オリンピックサイト)、バーキン、バーミンガム-",日本建築学会大会学術講演梗概集 No.7086, pp171-172 2008.9
(4) 阿部 浩和,服部 邦比古,"建築系大学院における実務的教育の取り組み",日本建築学会大会学術講演梗概集 No.13005, pp643-646 2008.9
(5) 平野 暁子,阿部 浩和,"持続可能性から見たわが国の都市再生プロジェクト",日本建築学会大会学術講演梗概集 No.7085, pp169-170 2008.9
(6) 安福健祐, 阿部浩和,"没入型ウォークスルーシステムの開発と建築設計評価への適用性",日本建築学会大会学術講演梗概集 No.11009, pp.431-432 2008.9
(7) 中田武臣, 安福健祐, 阿部浩和,"3次元CAD導入に対する設計者の現状意識と建築形態に及ぼす影響に関する研究",平成20年度日本建築学会近畿支部研究報告集 第48号, 計画系, pp.97-100 2008.6
(8) ポンサワン サイサワン,阿部 浩和,"Alternation of Lao House in Vientiane, Lao PDR",日本建築学会近畿支部研究報告集 第48号計画系 pp97-100 2008.6
(9) 保田千晶,阿部浩和,"まちづくりに関するNPO法人の活動の現状と課題",日本建築学会近畿支部研究報告集 第48号計画系 pp537-540 2008.6
(10) 平野暁子,阿部浩和,"持続可能性から見たわが国の都市再生政策の現状",日本建築学会近畿支部研究報告集 第48号計画系 pp441-444 2008.6
(11) 高橋彰,阿部浩和,"地方都市におけるコンパクトシティ施策の現状と問題点に関する研究",日本建築学会近畿支部研究報告集 第48号計画系 pp437-440 2008.6
(12) 安福健祐、“高精細没入型ディスプレイ装置による災害避難の可視化”、日本図学会2008年度大会(北海道)学術講演論文集、pp.57-60、2008.5
Grants
REGENERATION OF BROWNFIELD
Daiwa Anglo Japanese Foundation UK 2007.8-2008.9
Great Britain Sasakawa Foundation UK 2007.8-2008.9


日英のブラウンフィールド再生に関るステークホルダーの役割とスティグマ削減策の比較
文部科学省科研費補助金・基盤研究(B)  H20-H22年度

日英のマージナルエリアにおけるブラウンフィールド再生に関する比較研究
鹿島学術振興財団・研究助成  H20-H21年度


Regenerating Hardcore Brownfield Sites in England and Japan: A Comparative Study of Manchester and Osaka
The Education Trust of The Royal Institution of Chartered Surveyors UK 2008.12-2009.6


高精細映像による没入型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時への適用性
文部科学省科研費補助金・若手研究(スタートアップ)  2007~2008年
Projects
(1) Abe Hirokazu, Iwai Masakazu, Miyamoto Masahiko,, Kanayama Kuniaki, Akira Takahashi Akiko Hirano, Takeomi nakata, "ESPOON KAUPUNGINTALON JA KESKUSTAKORTTELEIDEN IDEAKILPAILU 3.12.2007-31.3.2008", City Hall ESPOO, Finland
(2)高橋彰、他24名、"浜甲子園団地再生プロジェクト"団地再生シンポジウム " 既存住棟を活用した、団地の新たな魅力づくり " 2007.9
(3)Masahiko MIYAMOTO, Hirokazu ABE, Kuniaki KANEYAMA, Kensuke YASUHUKU, Akira TAKAHASHI, Takeomi NAKATA, Akiko HIRANO, Yu AOYAMA, Motoki NISHIYAMA, Noriko Otsuka, "International Competitions: House of Arts and Culture in Beirut, Lebanon", 2009.1



City Hall ESPOO, Finland

浜甲子園団地再生プロジェクト

House of Arts and Culture in Beirut, Lebanon


Master Thesis
(1) 倉田 遥、"ブラウンフィールド再生におけるステークホルダーの意識と課題", 大阪大学工学研究科 修士論文, 2009.2
(2) 山本 和樹 "近代化産業遺産としてのレンガ倉庫・工場の保存と活用についての研究", 大阪大学工学研究科 修士論文, 2009.2

Undergraduation Thesis

(23) 大島 康徳、"VRを用いた場所認識の決定要因に関する研究", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2009.2
(24) 末重 隼人、"公共施設におけるブラウンビルディングの現状と課題", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2009.2
(25) 杉江 順哉、"堀江・中崎町におけるファサード変化に見られる仮設的コンバージョン建築の変遷", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2009.2
(25) 中村 洋志、"土着的な建築(群)における環境適応性に関する研究", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2009.2
(25) 濱野 真由美、"谷崎潤一郎の著書に見られる建築描写による空間認識の特性に関する研究", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2009.2
(25) QI FANG、"観光施設としての建築物に対する意識と課題-大阪における在日外国人を事例として-", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2009.2

Diploma Design

(23) 末重 隼人、"All Blue", , 2009.2 <平成20年度卒業設計優秀賞受賞・日本建築家協会近畿支部卒業設計優秀賞受賞>
この計画は大阪市東部中央卸売市場の加工食品部棟の敷地に建てられた巨大な " いけす " である。これは東部市場で扱う鮮魚を保管する役割と同時に、市民に開かれた観賞用の水族館でもある。日頃から食用として流通している海産物が実際にどのようなところから運ばれて来るのか、それらは海の中でどのようにして生きているのかなどを理解し、その命を食することの意味を考えさせる学びの場を提案している。建築構成としては世界地図を抽象化した正方形平面が互いに重なることによって切り取られる多角形と切り取る正方形が図と地の関係を逆転させながら水槽や教室や通路として立体的に構成されており、緻密なプランニングの中に浮かび上がる水槽の造形は見事で、水中に引き込まれるような青い空間は秀逸である。ただコンセプトで述べている隣接する卸売市場とこの施設との物理的関係はいささか不明瞭であり、隣接する平野川の浄化についてもやや不自然さが残る点が惜しまれる。建築家には優れた造形力とともに卓越した見識が求められる。今後の研鑽を期待したい。


"All Blue"<平成20年度卒業設計優秀賞受賞・建築家協会近畿支部優秀賞>

(23) 中村 洋志、"Long Ring Long Land", ,2009.2 <平成20年度卒業設計優秀賞受賞>
この案は日本の山林で問題になっている " 間伐材 " をテーマに扱っている。ここでは10人の職人集団が間伐と家具製作を繰り返しながら、和歌山の鮎川を基点に紀伊山地を移動していくことで、山の生態系を維持していく仕組みを提案している。この作品の冥利は時間の流れの中で、職人たちが仮眠する山小屋が工房や林間学校、子供の隠れ家へと次第に形を変え、使われ方が変化して最終的には朽ちて自然に戻るまでのプロセスを建築という視点でデザインしていることにある。一見アドホックな山小屋の形態がその痕跡を残しながら蛇行して連なる風景は圧巻であり、白い林の中に浮かび上がる一群の錆色の形態はきわめて美しい。そして時間とともに変化するその全体が一つの歴史として認識された時、作者がこの作品に秘めた未来へのあたたかい思いが感じられる。ただこの山林において木材で積層された小屋や斜面に垂直に立つ建物に込めた操作の意図が若干不明瞭であり説得力のある説明が必要であろう。今後の研鑽を期待したい。



"Long Ring Long Land"<平成20年度卒業設計優秀賞受賞>

(23) 濱野 真由美、"塔の目,うつるもの,物語", ,2009.2 <OBレビュー2008特別賞受賞・仙台卒計50選>
この作品は " 塔 " という建物にまつわる物語であり、言葉によって人の脳裏に想起される建築空間を手がかりに、物語を作ることで " 塔 " という建築の最も根源的な部分をデザインしようとした試みとしてきわめて先鋭的である。作者はこの物語で4人の登場人物を配して、彼らの人生を描き、 " 塔 " に " 灯台 " や " 天文台 " 、 " 展望台 " 、 " 鐘楼 " としての役割を与えたが、 " 塔 " そのもののデザインには直接手をつけようとしない。おそらく作者がデザインしたのは建築物の機能や形態とは別に、時代とともに消滅し蓄積される " 記憶 " のような痕跡の感覚であったのだろう。またプレゼンテーションもきわめて秀逸で、ペンによる手書きで精緻に描かれた画面は非常に濃密である。ただ惜しまれるのは、ここで描かれた " 塔 " にまつわる作者の内の世界の " 記憶 " が、外の世界の " 記憶 " とどこかで接点を持つことができれば格段に良くなったと考える。


"塔の目,うつるもの,物語"<OBレビュー2009特別賞受賞・仙台卒計50選>

(23) 杉江 順哉、"小学校 house", 2009.2
これは滋賀県大津市の豊かな田園地帯に立つ小学校である。ここでは校舎は四角形を基調とした螺旋状に配置され、ところどこにフォリーのような塊が点在しており、その内部に寄宿舎と教室を持つことで独自の学校スタイルを提案している。また模型で示されるダイナミックな空間構成や形態操作は奇抜で美しく、新しい学校の可能性を示す良い作品に仕上がっている。ただこの施設のデザインやコンセプトと立地する農村地帯のコンテキストとの関係性がやや不明瞭であり、説得力のある説明が必要である。またプレゼンテーションとしての図面やパネルの表現はいささか不十分であり、作者伝えようとした概念の全容を正確に伝え切れていない点が大層惜しまれる。今後の研鑽を期待したい。


"小学校 house"

(23) 大島 康徳、"Dome in jungle", 2009.2
(23) QI FANG、"中国瀋陽市における三世帯住宅", ,2009.2


April/2007-March/2008

Journal articles
(1) 服部邦比古、 阿部 浩和,"建築系大学院における事業採算性検討を含めた建築企画演習の試み”,日本建築学会、建築教育研究論文報告集,№8,pp71-76, 2008.1
(2) 阿部浩和,"図的表現を伴う演習科目における建築系学生の作図技量の現状”,日本建築学会、建築教育研究論文報告集,№8,pp37-42, 2008.1
(3) 安福健祐, 阿部浩和, 吉田勝行,"避難シミュレーションシステムの経路障害発生時への適用",日本建築学会計画系論文集,第626号, pp.721-727,2008.4

International Conference Papers

(1) Hirokazu ABE, "STUDENTS' SKILLS IN DRAWING EXPRESSION AND DESIGN IN ARCHITECTURAL DESIGN PROJECT",Proceedings of 7th. Japan-China Joint Conference on Graphics Education,pp.138-143, ,2007,7

Conference Papers


(3) 山本和樹、阿部浩和,"近代化産業遺産を活かした都市再生に関する取り組みの現状と課題 ―レンガ倉庫・工場 に関する調査分析―"日本建築学会近畿支部,平成19年度近畿支部研究発表会、No.8020, pp773-776 2007.6
(4) 倉田遥、阿部浩和,"工業跡地における都市再生に関する行政と民間事業者の意識と取り組みの現状 ―ブラウ ンフィールドの視点から―"日本建築学会近畿支部,平成19年度近畿支部研究発表会、No.7008, pp421-424 2007.6
(5) 阿部浩和,"建築系学部学生の設計演習における図的表現", 2007年度日本図学会大会学術講演論文集、pp179-184, 2007.5
(6)安福健祐,"没入型ディスプレイ装置を用いた避難シミュレータの開発"日本図学会2007年度大会(東京)学術講演論文集,2007.5
(6) 服部邦比古・阿部浩和, " PFI事業におけるVFMに関する評価と課題",日本建築学会大会学術講演集,E1分冊 pp1215-1216 No.8022, 2007.8
(7) 三好史晃・安福健祐・阿部浩和,"PFIの公営住宅整備事業への適用性に関する研究",日本建築学会大会学術講演集, E1分冊 pp1219-1220 No.8024, 2007.8
(8) サイサワン ポンサワン・阿部浩和, "MODERN EXTENSIONS IN TRADITIONAL HOUSES Case of Bokeo and Luangprabang Provinces of Lao PDR"",日本建築学会大会学術講演集,E1分冊 pp73-74 No.5037, 2007.8
(9)八木章徳・阿部浩和,"大都市中心部に見られる仮設的コンバージョンの傾向と市街地活性化の現状に関する研究 中崎町、堀江、空堀におけるケーススタディ",日本建築学会大会学術講演集, F1分冊 pp319-320 No.7131, 2007.8"
(10) 安福健祐・阿部浩和・吉田勝行,"避難シミュレーションシステムの経路障害発生時への適用",日本建築学会大会学術講演集,5483, 2007.8
(11) 山本和樹・阿部浩和,"近代化産業遺産を活かした都市再生に関する取り組みの現状と課題 レンガ倉庫・工場に関する調査分析",日本建築学会大会学術講演集 F1分冊 pp175-176No.7073, 2007.8
(12) 倉田遥・阿部浩和・大塚紀子,"工業跡地における都市再生に関する行政と民間事業者の意識と取り組みの現状 ブラウンフィールドの視点から",日本建築学会大会学術講演集F1分冊 pp177-178 No.7074, 2007.8


Grant
(13)REGENERATION OF BROWNFIELD (Grant of Daiwa Anglo Japanese Foundation & Great Britain Sasakawa Foundation)
Collaboration research with Oxford Brooks University UK to examine the regeneration of brownfield sites (former industrial derelict sites). Support for information exchange between UK and Japan based researchers including a conference attendance in Japan and field trips in the UK


Reports
(13)工業跡地における都市再生に関する行政と民間事業者の意識調査報告書,倉田遥、阿部浩和 2007.5→報告書
(14)PFIにおけるVFMに関する調査報告書、服部邦比古、阿部浩和,、2007.6→報告書
(15)公的住宅整備事業とPFIの適用に関する意識調査報告書、三好史明、阿部浩和、2008.6→報告書

Projects
(16) Abe Hirokazu, Iwai Masakazu, Miyamoto Masahiko, Hashidera Tomoko, Hamada Aiko, Kurata Haruka, Miyoshi Fumiaki, Yasuhuku Kensuke, Takahashi Akira, Hirano Akiko, Yasuda Chiaki, "Greater Helsinki Vision 2050", 2007,5
(17)Miyamoto Masahiko,Kanayama Kuniaki, Mai Danjou, Ayu Ueno, Uka Matsumoto, Erina Mori, Abe Hirokazu, Iwai Masakazu,Aiko Hamada,"Sustainable Development for Cheltenham Art Gallery &amp; Museum&quot;",2007.9
(18) Abe Hirokazu, Iwai Masakazu,Miyamoto Masahiko, Aiko Hamada, Kanayama Kuniaki, Otsuka Noriko, Mai Danjou, Ayu Ueno, Uka Matsumoto, Erina Mori, "Design Competition for Post Disaster Provisional Housing", NewYork, 2008.1



"Greater Helsinki Vision 2050", 2007,5




"Sustainable Development for Cheltenham Art Gallery & Museum",2007.9



"Design Competition for Post Disaster Provisional Housing", NewYork, 2008.1

Master Thesis
(21)  PHONGSAVANH SAYSAVANH、"ALTERATION OF LAO HOUSE AND CHANGING OF LIFESTYLE - CASE OF VIENTIANE, LUANGPRABANG AND BOKEO PROVINCES -", 大阪大学工学研究科 修士論文, 2008.2
(22) 三好史晃 "公的住宅整備事業におけるPFI手法の適用性に関する研究", 大阪大学工学研究科 修士論文, 2008.2
(23) 八木章徳 "インドにおけるコルビュジェの作品に見られる土着的様相", 大阪大学工学研究科 修士論文, 2008.2

Undergraduation Thesis
(23) 高橋 彰、"地方都市におけるコンパクトシティ施策の現状と問題点に関する研究", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2008.2
(24) 中田 武臣、"3次元CAD導入に対する設計者の現状意識と建築形態に及ぼす影響", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2008.2
(25) 平野 暁子、"持続可能性から見たわが国の都市再生行政の現状", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2008.2
(25) 保田 千晶、"まちづくりに関するNPO法人の活動の現状と課題 -大阪府下における学術・文化・芸術振興活動を中心として-", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2008.2

Diploma Design
(23) 高橋 彰、"建築といふ青白い現象", , 2008.2 <平成19年度卒業設計奨励賞受賞>
当該計画は、大阪築港にある中央突堤に計画されたアートスペースの提案である。かつては物流拠点として大阪の繁栄を支えてきたこの場所も、今は廃屋になった倉庫が1棟残るだけで荒涼とした風景が広がっている。作者はここに芸術家のための場をつくるとして " クイ " と称するオブジェを打ち込み、水路を廻らして、地下空間を計画した。そこにはこの場所が持っている抗し難い歴史の厚みを背景としながらも、次世代への期待を感じさせるインスタレーション・ゾーンが広がっている。一見散漫に見えるポリクロミーな屋外施設と、かつての大桟橋の部分に作られたストイックな地下施設のコントラストは絶妙であり、控えめながらも引き込まれるような内部空間の演出は見事で、そこに見え隠れする日常と非日常の対比がこの作品の醍醐味であると考える。ただそこで説明される様々な理論的内容と作者がここで考えたリアリティとの間に若干の乖離がある点が惜しまれる。まずは明快な論点を主張するとともに、この作品で実現している様々な事実を整理することで飛躍的に良くなると思われる。今後の研鑽を期待したい。


"建築といふ青白い現象"<平成19年度卒業設計奨励賞受賞>


(24) 中田 武臣、"Y.M.D.A - やめさせてもらうわ。どうもありがとうございました。-", 2008.2 <平成19年度卒業設計奨励賞受賞>
大阪ミナミの中心、道頓堀に芝居(お笑い)の文化を復活させるための意欲的な提案である。計画は堀に南面する飲食ビル群の一角に芝居の展示と交流の場を設け、それを " 間 " と称するメガストラクチャーで上空に持ち上げることで、中空にパフォーマンスのステージを発生させダイナミックな空間構成を実現している。この一連の操作は芝居(お笑い)の中に見られる諧謔性と大阪再生への熱い思いが二重写しになっており、単なる市街地再生に留まらない迫力のある作品に仕上がっている。また道頓堀川や周辺地域との関係もよく考慮されており、VOIDが林立する吹き抜け空間は大層魅力的で、模型やプレゼンテーションの構成も秀逸であり、作者のデザイン力は高く評価できる。ただこのアイデアを実現させるためには、さらなる建築設計と架構検討が必要であり、低層部の既存ビルの扱いに関する技術的な検討が加われば、格段に良くなるものと思われる。


"Y.M.D.A - やめさせてもらうわ。どうもありがとうございました。-"<平成19年度卒業設計奨励賞受賞>


(25) 平野 暁子、"その小さな光はいつも僕のほんの先にあった", , 2008.2 <平成19年度卒業設計奨励賞受賞>
当該作品は雨をテーマにした住宅群の提案で、都会の中に出現した不思議な形態群とモノクロームの風景は夢を見るように美しい。また六角形を基調とするスペースフレームは所々に嵌め込まれた五角形や七角形によって微妙に歪められており、それらが奏でる旋律は、どこかもの悲しくも繊細で、現代人がこれまで忘れていた大切な感覚を呼び戻してくれるすばらしい作品である。また建築の設計に関しても細部まで良く考えられており複雑な架構計画を見事に設計している点を高く評価する。またプレゼンテーションも魅力的で、図的表現としても申し分ない。ただ、惜しむべきは、この美しい形態群と雨とのかかわりが若干希薄であり、この住宅における雨に関する具体的なシステムとその効果についてさらなる工夫が必要であろう。ここで示された居室のどの部分がそれらに対応しているかを示すことで飛躍的に良くなるものと思われる。



"その小さな光はいつも僕のほんの先にあった"<平成19年度卒業設計奨励賞受賞>


(25) 保田 千晶、"長く伸びた牧師 - I saw a person twelve feet high -", ,2008.2<OBレビュー2008特別賞、仙台卒計50選>

大阪泉南の地場産業でもあった中小のタオル工場は今では産業構造の変化とともに、生産施設の海外移転などによって窮地に立たされている。この作品はそのタオル工場の敷地(跡地)を舞台に展開される夢のような風景である。透明でパタン柄のある外皮に包まれた建物の内部には、樹木のような構造体が林立し、不思議な形をした部屋が空中に浮かんでいる。ここは未来のファクトリーショップであり、蛇行するベルトコンベアが既存の工場群を連結している。この作品に見られる作者のイマジネーションは圧巻で、そこに構築された空間は驚くほど魅力的である。また表題で用いられたマザーグースの不思議な挿話は豊かな過去と、辛い現実と、はかなくも希望に満ちた未来を暗示していて興味深く、作品全般にわたって作者のあたたかい視線が感じられる。ただ惜しむべきは建築としてのリアリティの希薄さで、建築設計としての具体化、形態の抽象化・構造化に踏み込まなくてはならない。ただそのためにかえって作者が持つ豊かな感性が損なわれないことを祈る。


"長く伸びた牧師 - I saw a person twelve feet high -"<OBレビュー2008特別賞・仙台卒計50選>



April/2006-March/2007

Journal articles
(1) 安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行,"リアルタイムCGを用いた建築空間の空間認識力を測定するテストCGIMTの開発,"日本図学会,図学研究, 2006.6
(2) 安福健祐,阿部浩和,吉田勝行,"ウォークスルーシステムによる避難シミュレータの開発と地下空間浸水時の避難行動に関する分析" 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集 2006.11
(3) 阿部浩和,"建築設計演習における図的表現の状況と評価"日本建築学会,第7回建築教育シンポジウム研究報告集 2007.1
(4) 宮本昌彦,阿部浩和,"外部実務組織の協力による建築設計教育方法の構築と試行"日本建築学会, 第7回建築教育シンポジウム研究報告集, 2007.1

Conference Papers

(5) 阿部浩和,"建築設計演習における図的表現法に関する一考察",日本図学会,第39回日本図学会大会学術講演論文集 2006.5
(6) 八木章徳、阿部浩和,"大都市中心部に見られる仮設的コンバージョンの傾向と市街地活性化の現状に関する研究―中崎町、堀江におけるケーススタディ",日本建築学会近畿支部,平成18年度研究発表会論文集 2006.6
(7) 安福健祐, 阿部浩和, 吉田勝行,"体験型避難シミュレータによる地下空間浸水時の避難行動実験―避難誘導支援システムの開発 その2―" 日本建築学会近畿支部,平成18年度研究発表会論文集 2006.6
(8) 三好史晃、阿部浩和,"ニュータウンにおける戸建住宅の建替え・改修に関する居住者意識―建築の長寿命化の視点から―" 日本建築学会近畿支部,平成18年度研究発表会論文集 2006.6
(9) 安福健祐,阿部浩和,吉田勝行,"体験型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時の避難行動に関する分析" 日本建築学会,日本建築学会大会学術講演梗概集 5444 2006.9
(10) 阿部浩和, 田口ゆか, 服部邦比古,"供用開始後のPFI 事業に関する評価と課題-PFI事業による公的施設整備に関する研究 その1-"日本建築学会,日本建築学会大会学術講演梗概集 2006.9
(11) 三好史晃, 阿部浩和,"ニュータウンにおける戸建住宅の建替え・改修に関する居住者意識―建築の長寿命化の視点から―"日本建築学会,日本建築学会大会学術講演梗概集 2006.9
(12) 田口ゆか, 阿部浩和,"PFI の公立小中学校施設整備への適用性-PFI事業による公的施設整備に関する研究 その2-"日本建築学会,日本建築学会大会学術講演梗概集 2006.9
(13) Phongsavanh Saysavanh, Hirokazu Abe,"A Study on Alteration of Housing Settlement and Human Culture of TAI-LUE in Lao PDR" 日本建築学会,日本建築学会大会学術講演梗概集 2006.9
(14) 阿部浩和,"建築系学部学生の設計演習における図的表現"日本図学会関西支部,学術講演論文集 2007.1

Reports
(15)供用開始後のPFI事業による公的施設整備状況調査報告書,2006.7→報告書
(16)築港レンガ倉庫再生プロジェクト報告書,大阪市港湾局、住友倉庫,20073→報告書スライド


築港レンガ倉庫再生プロジェクト

Projects
(16) Abe Hirokazu, Iwai Masakazu, Otsuka Noriko, Miyamoto Masahiko, Kanayama Kuniaki, Hamada Aiko, Yasuhuku Kensuke, Kushima Katsuyoshi,Yoshida Sayaka "Carlsberg international Competion", Copenhagen, 2007,1
(17) Abe Hirokazu, Iwai Masakazu, Otsuka Noriko, Miyamoto Masahiko, Okamuro Miho, Kanayama Kuniaki, Kurata Haruka, Hamada Aiko, Phongsavanh Saysavanh, Miyoshi Fumiaki, Yagi Akinori, Yasuhuku Kensuke, Yamamoto Kazuki, Yoshida Sayaka,, "Stockholm City Library Architectural Competition" 2006.10
(18) Abe Hirokazu, Iwai Masakazu, Otsuka Noriko, Miyamoto Masahiko, Okamuro Miho, Kanayama Kuniaki, Kurata Haruka, Hamada Aiko, Phongsavanh Saysavanh, Uehara Youichi, Miyoshi Fumiaki, Yagi Akinori, Yasuhuku Kensuke, Yamamoto Kazuki, Yoshida Sayaka, "EDGE as CENTER",2006.5

"Carlsberg international Competion", Copenhagen, 2007,1


Stockholm City Library Architectural Competition



EDGE as CENTER <International Urban Design Competition>

Doctorial Thesis
(21)  安福 健祐、"メッシュモデルを用いた建築物の地下空間浸水時における避難計画に関する研究", 大阪大学工学研究科 博士学位論文, 2007.3

Undergraduation Thesis

(23) 倉田 遥、"工業跡地における都市再生に関する行政と民間事業者の意識と取り組みの現状-ブラウンフィールドの視点から-", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2007.2
(24) 竹内 伊代、"箕面市における単身世帯住居の基礎的研究", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2007.2
(25) 山本 和樹、"近代化産業遺産を活かした都市再生に関する取り組みの現状と課題 -レンガ倉庫・工場に関する調査分析-)", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2007.2

Diploma Design

(26) 倉田 遥、"STEPS", 2007.2<平成18年度卒業設計奨励賞受賞>
当該計画は、かつての高度成長を支えてきた大阪の中小工場を再び甦らせるインキュベータの提案である。敷地は近年の物流革命と産業構造の変化によって、多くの造船所や工場が廃業を余儀なくされ、遊休地化がすすむ大阪内港エリア(旧大阪造船所付近)にあり、すでに廃線になった大阪臨港線の線路敷跡地を利用して、その両側にある様々な種類の中小の工場群をひとつに統合させようとするものである。既存の工場や倉庫をそのまま残し、当該施設を連結させることで、大企業に匹敵する機能を実現させるというコンセプトはきわめて秀逸である。また、緻密な現地調査をもとに、大阪が抱えている社会的、経済的問題を的確に捉え、建築として見事に解決した画期的な提案であると考える。また、かな型を連想させる鍵型状の構造フレームが不規則に連続するデザインは大層美しく、システムとしても良く考えられている点、高く評価する。ただ作者が意図する設計内容がまだ十分に表現しきれていない点が大変惜しまれる。そこでのアクティビティを具体的な建築設計のリアリティの中で解決し、設計図面として適切に表現することで飛躍的に良くなるものと考える。



"STEPS", <平成18年度卒業設計奨励賞受賞>


(28) 山本 和樹、"VaMP (-レンガ倉庫の保存・再生・活用-)", ,2007.2<平成18年度卒業設計奨励賞受賞>
大阪築港南側の海岸通エリアは大阪市の国際芸術家村構想の一環として、住友倉庫による私設ギャラリーCASOが運営を開始し、隣接するレンガ倉庫ではNPO法人アーツアポリアが様々なイベントを企画してきた。当該計画はこのCASOエリアと北側にある海遊館やサントリーミュージアムを海岸沿いに繋ぐ中間地点に残るやや小規模のレンガ倉庫を文化施設として再生することで、築港の南北に点在する施設群の連携を目指している。計画の施設は既存のレンガ倉庫にソリッドな構造体を重ね合わせることでできる不安定な空間がこの作品の基調になっている。またその構造体は敷地のコンテキストに合わせて微妙に切断されており、その隙間から、垣間見られるレンガ倉庫の各部位は、かつてそこに存在していた多くの倉庫群の記憶を彷彿とさせる。その意味でも、取り扱いが難しい歴史的な建造物のコンバージョン手法の提案としてよくできていると判断する。またパネルや模型のプレゼンテーションに見られる透明でビビッドな表現は美しく、高く評価するが、肝心の建築設計にかかわる図面表現が不十分である点が非常に惜しまれる。今後の研鑽を期待したい。



"VaMP (-レンガ倉庫の保存・再生・活用-)", <平成18年度卒業設計奨励賞受賞>


(27) 竹内 伊代、"集合住宅が纏う皮膚のようなもの", , 2007.2,
当該作品は作者が日頃から関心を持っている単身者用集合住宅の革新的な提案である。タイトルが示す " 纏う皮膚 " が居住空間の領域を緩やかに区切ることで創出される夢のような世界はこれまでに見たことも無い発見と期待に満ちている。その意味でも、私たちが持っていた単身者用集合住宅に対する可能性を再認識させてくれるであろう。また模型作品の迫力は圧巻で造形的、形態的にも美しく、細部まで良く考えられている点を高く評価する。ただ、各住戸やその他の施設群が生み出す独自の挿話をもう少し語るべきであろう。また惜しいことに、作者伝えようとした概念の全容を設計図面やプレゼンテーションの提出物に十分に表現できていない点が悔やまれる。設計者としての感性には珠玉の才能を有しているからこそ、今後の基礎的な設計技量の研鑽が望まれる。


April/2005-March/2006

Journal articles
(1) シツティワン ソムチット,河本順子,阿部浩和,"ルアンプラパンの歴史的遺産保存地区におけるPSMVの現状と課題," 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集,No.591, p119-124,2005.5
(2) シツティワン ソムチット,阿部浩和,安福健祐"ラオス人学生の建築図読図能力に関する分析," 日本図学会,図学研究,第39巻3号, p119-124,2005.9
(3) Sitthivan Somchith, Anolac Vira, Abe Hirokazu,"Laotian Visualization Ability for Architecture," International Society for Geometry and Graphics,Journal for Geometry and Graphics,Volume9, No1.pp 89-98, 2005.12
(4) シツティワン ソムチット,河本順子,阿部浩和,"ルアンプラバンの歴史的町並み保存に関する行政の取り組みと住民意識," 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集 598号, pp117-122, 2005.12
(5) 阿部浩和,吉田勝行,"大学キャンパスの実測を取り入れた3次元CAD・CG教育とその評価-図学実習における取り組み-," 日本建築学会,日本建築学会第6回建築教育シンポジウム論文集,pp41-46, 2006.1
(6) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行,"防災教育のための避難訓練シミュレータ(EDS)の開発," 日本建築学会,日本建築学会第6回建築教育シンポジウム論文集,p67-72, 2006.1
International Conference Papers
(7) YASUFUKU Kensuke, ABE Hirokazu, and YOSHIDA Katsuyuki,"Development of Architectural Visualization Ability Test Using Real-Time CG,"Proceedings of 7th. Japan-China Joint Conference on Graphics Education, pp.44-49,2005.7
Conference Papers
(8) 安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行、"家具配置を考慮した避難経路選択モデル -避難誘導支援システムの開発 その1-",日本建築学会近畿支部研究報告集、第45号 pp253-256、2005.6
(9) SITTHIVAN SOMCHITH,阿部 浩和、"ルアンプラパンの歴史的遺産保存に関する行政の取り組みと住民意識",日本建築学会近畿支部研究報告集、第45号pp473-476、2005.6
(10) 安福 健祐, 阿部 浩和, 吉田 勝行、"避難シミュレーションにおける家具配置の影響",2005年度日本建築学会大会学術講演梗概集,No5436,2005.9
(11) SITTHIVAN SOMCHITH,阿部 浩和、"ルアンプラバンの歴史的遺産保存に関する住民意識",2005年度日本建築学会大会学術講演梗概集,No7156,2005.9
(12) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行、"避難行動シミュレータの開発",2005年度日本図学会本部例会学術講演論文集,p63-68,2005.12
(13) 安福健佑,阿部浩和,吉田勝行、"体験型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時の避難への適用",日本図学会関西支部例会学術講演論文集,2006.2

Projects
(13)阿部浩和、橘英三郎,”ナレッジキャピタル・スマートストラクチャー”


Knowledge Capital Project



(14) 阿部浩和,``建築設計演習の初期段階における具体化のプロセスに関する一考察,'' 日本図学会第35回図学教育研究会報告,図学研究,Vol. 39,No. 3,pp. 41-47 (2005.9).
(15) 阿部浩和,"体験的課題追求型授業としての問題を解くための可視化と図表現",大学教育実践センター,体験的課題追求型プロジェクト報告書,Vol. 39,No. 3,pp. 105-112 (2006.2).
(16) Yasufuku Kensuke,Fumiaki Miyoshi, Akinori Yagi "The South point: from Ruin to Rejuvenation competition,'' Emerging New York Architects Committee,(2006.1).
(17) 阿部浩和,"サイバーメディアセンター要覧2005第3版・表紙デザイン", (2005.12)
(18) 阿部浩和,"サイバーメディアフォーラムNo.6・表紙デザイン", (2005.9).
(19) 阿部浩和,"サイバーメディアセンター年報2004年度・表紙デザイン", (2005.5).
(20) 阿部浩和,"共通教育だより2005年度・表紙デザイン", (2005.9).

The South Point: from Ruin to Rejuvenation


Doctorial Thesis
(21)  シツティワン ソムチット、"ラオス・ルアンプラバンの歴史的遺産保存地区における伝統的建築形態の保存に関する研究", 大阪大学工学研究科 博士学位論文, 2006.3

Master Thesis

(22) 田口 ゆか、"PFIによる公的施設整備の現状と公立小中学校への適用性に関する研究", 大阪大学工学研究科 修士論文, 2006.2

Undergraduation Thesis

(23) 三島 聡史、"ニュータウンにおける公園施設の利用者意識の実態とその変化に関する研究", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2
(24) 三好 史晃、"ニュータウンにおける戸建住宅の建替え・改修に関する居住者意識―建築の長寿命化の視点から―", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2
(25) 八木 章徳、"大都市中心部に見られる仮設的コンバージョンの傾向と市街地活性化の現状に関する研究(中崎町、堀江におけるケーススタディ)", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2006.2

Diploma Design

(26) 三島 聡史、"歴史と未来の架け橋", 2006.2
(27) 三好 史晃、"故キヲ温ネテ新シキヲ知ル", , 2006.2,<平成17年度卒業設計奨励賞受賞>
(28) 八木 章徳、"blue in green", ,2006.2


故キヲ温ネテ新シキヲ知ル <平成17年度卒業設計奨励賞受賞>


April/2004-March/2005

Journal articles
(1) スーカン チッパンニャー,河本 順子,阿部 浩 和,吉田 勝行,"ラオス及びタイ中北部におけるテラワダ仏教寺院の平面構成要素," 日本建築学会,日本建築学会計画系論文集No582号, pp41-16, 2004.8
(2) 阿部 浩和,吉田 勝行,"建築設計図面に対する見積指摘内容と設計変更内容の関連,"日本建築学会,日本建築学会計画系論文集No.581号,pp49-54, 2004.7
(3) パタナ ポンティップ,河本順子,阿部浩和,吉田勝行,"ヴィエンチャン市における集合住宅の現状と住まい方,"日本建築学会,日本建築学会計画系論文集、No.585号, pp1-8, 2004.11
(4) 阿部浩和,吉田勝行,"設計演習の初期段階における具体化のプロセスに関する一考察,"日本建築学会、第5回建築教育シンポジウム論文集、pp81-86、2005.1
International Conference Papers
(5) Sitthivan Somchith, Anolac Vira, Abe Hirokazu,"Laotian Visualization Ability for Architecture," Proceeding of The 11th International Conference on Geometry and Graphics, pp274-278,August 2004.
(6) Hirokazu Abe, Somchith Sitthivan, Kensuke Yasufuku and Katsuyuki Yoshida,"Application of New Method for Graphic Science Education," Proceeding of The 11th International Conference on Geometry and Graphics, pp293-298,August 2004.
(7) Tsutomu TERADA, Masahiko TSUKAMOTO, Keisuke HAYAKAWA, Tomoki YOSHIHISA, Yasue KISHINO, Shojiro NISHIO, and Atsushi KASHITANI, ``Ubiquitous Chip: a Rule-based I/O Control Device for Ubiquitous Computing,'' Proc. of 2nd International Conference on Pervasive Computing (Pervasive 2004), pp. 238--253 (Apr. 2004).
Conference Papers
(8) 田口 ゆか、 阿部浩和、"住民意識から見た都市景観の構成に関する研究‐姫路市を事例として‐",平成16年度日本建築学会近畿支部研究報告集、第44号・計画系,pp753-756、2004.6
(9) Sitthivan Somchith,河本 順子,阿部 浩和、"ルアンプラパンの歴史的遺産保存地区におけるPSMVの現状と課題",平成16年度日本建築学会近畿支部研究報告集,第44号・計画系,pp821-824、2004.6
(10) 田口 ゆか、阿部浩和、"住民意識から見た都市景観の構成に関する研究―姫路市を事例として―",2004年度日本建築学会(北海道)学術講演論文集,No.7504、2004.8
(11) Boutdakham Thanomxay, 阿部浩和、"総合衛生管理製造過程(HACCP)が適用される食品工場の建築計画に及ぼす影響",2004年度日本建築学会(北海道)学術講演梗概集,No5135、2004.8
(12) 安福健祐、阿部浩和、山内一晃、吉田勝行、"避難シミュレーションシステムの開発と地下空間浸水時の避難に対する適用性",2004年度日本建築学会(北海道)学術講演梗概集,No5425、2004.8
(13) 安福健祐、阿部浩和、吉田勝行、"リアルタイムCGによる汎用可視化システムの開発― マルチエージェント型建築避難シミュレーションへの適用 ―"2004年度日本図学会本部例会学術講演論文集、2004.12
(14) 山内一晃、阿部浩和、"大手総合建設会社の新社 員に対する建築設計教育の概要"2004年度日本図学会本部例会学術講演論文集、2004.12
(15) SITTHIVAN SOMCHITH 、阿部浩和、"ラオス人の空間認識力に関する研究"、日本図学会関西支部例会学術講演論文集、20052
(16) 安福健祐、阿部浩和、吉田勝行、"汎用可視化システムの開発とVR装置への適用性"、日本図学会関西支部例会学術講演論文集、20052
(17) 寺田 努,塚本昌彦,祐成光樹,田口大悟,``ユビキタス環境構築のためのイベント駆動型小型デバイスAhroD,'' 電子情報通信学会2005年総合大会 (Mar. 2005,発表予定).
(18)  寺田 努,``ユビキタスコンピューティング環境構築のための入出力制御デバイス,'' 人工知能学会誌,Vol. 19, No. 4, pp. 410--417 (July 2004).
(19) 寺田 努,``農業・音楽・レース・司会 ~ ウェアラブル/ユビキタスシステムの実運用,'' ヒューマンインタフェースシンポジウム2004 パネルセッション " 現実の実感に向けて:あなたはデバイス派それともインタラクション派? " (Oct. 2004).
(20) 寺田 努,``ユビキタスとウェアラブル環境/映像情報端末,'' 映像情報メディア学会誌,Vol. 59, No. 1, pp. 16--20 (Jan. 2005).
2004年度特別研究報告・修士論文・博士論文

Master Thesis
(21) Boutdakham Thanomxay,"ヴィエンチャン特別市における戸建住宅の間取りと居住者意識に関する研究", 大阪大学大学院工学研究科 修士学位論文, 2005.2

Undergraduation Thesis

(22) 川内秀治、"都心部における建築物の地下鉄接続形態に関する研究 ‐バリアフリーの観点から‐", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2005.2
(23) 勝良康次郎、"大学キャンパスにおける屋外広場の利用実態と学生の意識に関する調査・研究 -大阪大学豊中キャンパスを事例として-", 大阪大学工学部 卒業研究報告, 2005.2

Diploma Design
(24) 川内秀治、"新大阪駅改造計画 ‐Parasitic Conversion‐", 大阪大学工学部 卒業制作, 2005.2
(25) 勝良康次郎、"underground city", 大阪大学工学部 卒業制作, 2005.2

新大阪駅改造計画 ‐Parasitic Conversion‐